「それ言うなら、私の方が先だよ!」
横断歩道渡りきればここでそれぞれの家路を行くことになる。
車数の少ない道だから歩幅を小さくした。そして耳を澄ます。
「メイがあの時私に言った言葉。私それで決めることが出来たの!」
きっとあの放課後を言っているんだ。
「私、引っ越すことにしたの!」
あまりにも唐突で渡りきる前に足を止めた。
「……え?」
「ははっ、まー、そーなるよね。でもメイのお陰で踏ん切りがついたの」
私のおかげ……?
なんて言ったっけ?なにを言ったの……。
「 “自分の気持ち押し殺してまで生きなくていいんだよ。自分に正直でいいんだよ。そうじゃなきゃ見失っちゃうから。自分を” ってね!」
にひひと笑うエマがまたありがとうと言う。
なのに、なんで私は泣いているんだろう。温かい言葉なのに。悲しい。
「なんで、そんな大事なこと、言わないでいたの、っ」
「わわっ、なぜ泣く!?」
「泣きたくないよこっちだってっ、でも出てきちゃうんだもん、っぅ……」
「えーなんでぇ。困ったなぁ……えーっと……私中学卒業したら引っ越すんだよ?」
「ハ?」
今まで自分でも聞いた事のないどす黒い声が出たのを私はふとした瞬間に思い出すだろう。
そして、大切な友達に心を掴まれたことも。
いつまでも――。
Fine.



