甘酒であったまりながら八重は訊ねた。
「明緋さんはどんな年末年始を過ごしていましたの?」
「俺?別に普通だと思うぞ。ばあちゃん家で親戚一同集まって、大晦日は紅白見て年越しそば食って。元旦はおせち食ったな」
「楽しそうですわね」
「あと正月といえばお年玉だろ?うちなんか変でさ、クイズに正解していかないとお年玉が隠されてる場所がわからないっていう謎のゲームやらされるんだよ!普通にくれっつーの!」
「まあ、楽しそうではありませんか。わたくし、お年玉をいただいたことはありませんわ」
「えっマジで!?」
「正確にはお年玉という形でしょうか。毎年おじい様もお父様も直接口座振り込みですから」
「口座振り込みって……どんな額なんだよ」
正確にいくら振り込まれているのか八重も知らない。今年も振り込んでおいたよ、としか言われていない。
「一度高校生になったらいらないと言ったことがあるのですが、おじい様に大層落ち込まれてしまいまして……少額ならお願いします、と言ったのですが果たしていくらなのかわたくしも知りませんの」
「なんかすげーことだけよくわかった」
祖父も父も八重にはとことん甘い。加えて祖母や母が新しい洋服や着物を買いたがるので、毎年正月はモノで溢れがちになる。
その直前のクリスマスで大量のクリスマスプレゼントもあるというのに。



