あなたと普通でトクベツなこと。



 境内の隅っこの人目につかないところで、八重は一人泣きじゃくる。


「うっ、うっ……」


 こんなに自分の身の上を嫌だと思ったことはなかった。
 どんなに窮屈な思いをしていても、仕方のないことだと受け入れてきた。

 何故なら過保護でも両親にはしっかり愛情を注がれ、大切にされているとわかっていたからだ。

 狙われやすい身であることも重々承知している。
 だから多少不自由で窮屈でも、これが自分なのだと受け入れてきた。

 だけど、特別だからと線引きされるのは耐えられない。
 そのせいで明緋が貶められるのも耐えられない。

 ただ自分も普通の高校生と同じように、恋がしたいだけなのに――……。



「――ねぇ、どうしたの?」


 不意に背後から声をかけられた。
 思わず振り返ると、大学生くらいの男性二人組が八重のことを覗き込んでいる。


「泣いてんの?」
「俺たちが慰めてあげよっか?」
「……」


 関わり合いたくない八重は、男性たちから顔を背ける。放っておいて欲しいと思ったが、彼らは立ち去る気配がない。


「君みたいなかわいい子が泣いてんの、ほっとけないよ」
「俺と遊ばない?パーッと遊んで嫌なこと忘れようよ」