明緋は普通のことをしようと言ってくれた。
確かにおみくじは神社では当たり前にあるもの。初詣におみくじを引く人も多い。
だけど明緋と一緒に大吉を引いて、一緒に境内におみくじを結んだことは普通なんかじゃなく、特別な思い出になった。
「あっ、御守りが買いたかったのを忘れていましたわ」
「御守りかぁ。確かにそれも普通っぽくていいな」
「行ってもよろしいでしょうか?」
「もちろん」
二人は御守りを買いに行く。
八重が欲しいのは合格祈願の御守りだが、合格祈願だけでも複数デザインがある。
どれがいいか迷ってしまう。
「誰にあげるんだ?」
「従妹です。もうすぐ入試ですの」
「そりゃあ大変だ」
「わたくしと同じ高校を受験するそうで、一緒に通えるのが楽しみですわ」
悩んだ挙句、金色の御守りを選んだ。何となく豪華でご利益がありそうだと思ったからだ。
「お待たせ致しました。明緋さんも何か買いましたの?」
「あ、ああ……まあな」
御守りが入っているであろう袋を持っていたが、何故か慌てたように隠してしまう。
「そろそろ……、」
「――あっ!いたぞ!八重お嬢様だ!」



