「大吉でしたわ!」
「わっ、俺もだ!」
「二人とも大吉だなんてすごいですわね」
思いがけない幸運に二人ともテンションが上がっていた。
毎年何となく引いているおみくじだが、いつもより嬉しかった。
誰かと一緒にいるだけでこんなにも楽しいのかと八重は実感する。
「大吉は持ち帰った方がいいんだっけ?」
「いえ、結果の良し悪しに限らず持ち帰っても結んでも良いのですよ」
「そうなのか」
「わたくしは必ず結んでおります。おみくじを結ぶのは、神様とのご縁を結んでより良い方向へと導くという意味がございますの」
「へぇー」
「もちろん自分で努力してこそですが、神様とのご縁を大切にする文化も素晴らしいと思いますわ」
そう言ってからハッとした。
何だか語ってしまって恥ずかしくなった。
「すみません、つまらないお話でしたわね……」
「え、何でだよ。すげー勉強になったけど」
「そうですか?」
「今まで何となく結んでたけど、ちゃんと意味があるんだな。そういうのちゃんと理解してる八重はすげーな」
「……!」
昔祖母に教えられたことをそのまま覚えていただが、そんな風に言ってもらえて嬉しかった。
「普通じゃない」八重のことをありのまま受け入れてくれることが、とても嬉しい。
「ありがとう、ございます……」



