改めて自分の家は普通じゃないなと感じていた。
「明緋さんが羨ましいですわ」
「え?」
「普通がわたくしには程遠いものですから」
ないものねだりをしても仕方ないと思いつつ、羨む気持ちはどうしてもある。
「じゃあさ、今日は普通なことしようぜ」
「え?」
「初詣で普通なこと!」
「!」
修学旅行の時もそうだった。
明緋はいつでも八重を知らない世界へ連れ出してくれる。
八重自身ではどうすることもできない不自由さから解放させてくれる。
そして胸が溢れんばかりのときめきをくれるのだ。
「はい、是非……!」
きっと今頃SPたちが血眼になって探しているし、両親も心配しているだろう。
念のため両親には「友達と会ったので少しお話してきます」と連絡しておいたが、それでも心配かけていることは間違いない。
――ごめんなさい、また八重は悪い子になります。
心の中で謝罪をしつつ、もう少しだけ明緋との時間を楽しみたいと思った。
「神社といえば、おみくじだろ!」
二人はおみくじ売り場へ行く。おみくじの筒をガシャガシャと振り、引いた番号のおみくじをもらう。



