「知ってたよ。だって、引き出し開けてたの、わざとだから。あんなに開いてたら見たくなるよね、普通。だから、謝らなくていいよ」


「夢……どうして?」


「わからない。だけど、私も、何だか疲れちゃって。桜と話さない自分が、すごく最低に思えて。湊君に言われて、色々気持ちが変わった。でも、どうしても口では言えなかったから」


「お前ら、本当に素直じゃないな。2人とも、もうラクになればいいだろ?」


湊君の言葉に、私と夢は思わず目を合わせた。
ずっと黒い雲がかかっていた2人の瞳。
それも、今はもうどこかに消えていた。


「……あともう1つは?」


夢が尋ねた。


「あの日、私が夢に怪我をさせた。私がよろけたせいで、肩がぶつかって……夢が階段から落ちた。私は、怖くて何もできなくて。本当にごめん。夢の足を怪我させて、怖くて痛かったよね。学校に行けなくて、歩けなくて、つらくて、苦しかったよね。私、なんてひどいことしたんだろう」