それから夢の入院生活が始まり、リハビリを拒否して、自分には未来はないと自暴自棄になった。
私も、自分のせいだと思い込んだ。
私が夢の未来を奪ったって……
一生、夢の側にいて支えなきゃって、本気で思った。


でも、夢は、私を憎んでたわけじゃなかったんだ。
前を向きたかったのに、それができなくて、歯がゆくて、苦しかったんだね。だから、私に冷たくすることでしか自分を保てなかったんだ。


きっと、湊君は、夢に「魔法の言葉」をかけてくれたんだね。夢が未来に羽ばたけるよう、固く閉じていたドアを開いてくれたんだ。


私も、湊君に励まされた。
一生懸命、私達のこと、考えて、悩んで、声をかけてくれたんだろう。
その思い、絶対に無駄にしちゃいけないよね。
このチャンスを逃したら、もう戻れなくなるから。


そう思えた瞬間――
あの日から閉ざしていた私の心が「生きてる」っていう感覚に包まれた。


私は、夢の大切な思いを引き出しの中にそっと閉まって、涙を拭いて病室を出た。