あれから数日、とにかく春野に会いにいこうと思った。


見舞いに来た俺をとても歓迎してくれ、「空が見たい」と言う春野のために、看護師さんの許可を得て、車椅子を押し、エレベーターで屋上まで上がった。


この病院の屋上が憩いの場になっていることを、俺は初めて知った。とても美しく整備され、落下防止柵もしっかり取り付けられている。


「いい天気だね。空がパァーっと明るくてスカッとする」


「本当に。綺麗だな」


そうは言ってみたものの、最近は空なんて見上げたことがなかった。俺の頭上に当たり前のように広がっているもの……その程度の感覚しかなかった。


「湊君が来てくれたから余計にそう思うのかな」


そうやって微笑む春野の顔は、本当に穏やかだった。


「足、痛む?」


「ううん。大丈夫」


「そっか、なら良かった。なあ、春野。最近、桜、元気無いんだ。学校でもずっと静かで……その原因、何か知ってる?」