後輩くんはいつも私と一緒にいたい

唐突な、
しかも今まで玄野くんに
あまりされたことのないタイプの
おねだりをされ、
私の頭の中は
たちまちはてなマークでいっぱいになった。



その疑問のままに、訊いてしまった。



「えっと……。なんで……?」



玄野くんが
幼稚園生や小学生ならわかるけど、
彼は今高校生だ。



自分でできないわけがない。



しかし玄野くんは、
それこそ子供のように、



「いいじゃん、それくらい」



と口を尖らせる。



「ほら、つけてよ。
 早くしないと、
 式始まっちゃうよ?」



最後には
私の言ったセリフを繰り返してくる。



確かにこのままでは
本当に入学式が始まってしまう。



見上げると
玄野くんは口をへの字に曲げていて、
なんだか本当に拗ねているような
表情である。



何やら機嫌を損ねているようだったが、
もしかして私、何かしただろうか?



考えてみるが、心当たりがない。



分からないことは、
やっぱり訊いてみるに限る。



「ねえ、何か怒ってる?」



しかし玄野くんは、



「別に」



そう答え、
その癖プイッと目をそらす。



否定の言葉とは裏腹に、
「俺、怒ってます」
を前面に出してくる。



髪が伸び、
まゆの形も凛々しい玄野くんは
大変にかっこよかったけれども、
その表情はちょっと幼くて、
なんだか私は
たちまち可笑しくなってしまった。



まぁいっか、
という気持ちになってしまったのだ。



確かにコサージュなんか、
私が付けようが誰が付けようが
かまわないものだ。