去年の3月。
桜の蕾が膨らみ始めた頃の卒業式の日、
彼は言った。
「俺、これから勉強めちゃくちゃ頑張って、
先輩と同じ学校行くから!
絶対行くから!」
私と変わらない高さにある彼の、
深い色をした瞳の黒が、
私を見つめながらうるうると揺れていた。
今のもこぼれそうになる涙を
必死にこらえるようにしながら、
だけど口調はしっかりとして力強く、
彼はそう宣言したのだ。
私は何と答えたらいいのかわからなくて、
彼の目を見つめ返しながら
ただ頷くことしかできなかった。
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