「なんかたまに五月蠅くなることない?」
「教室ならバカな奴らはいつだって五月蠅いですけど」
「そういうことじゃなくてさぁ」
「じゃあどういうことですか」
「うーん、とにかくそんな物理的な感じじゃないんだよ。もっとなんか、こう……人間にはどうしようもない五月蠅さ、みたいな」
「何一つわかりません」
「わかってよ!」
「そのつたない言葉だけで理解できたら天才ですよ」
「じゃあ君はバカだ。俺は天才。バーカバーカ」
「五月蠅いな。精神年齢小学生か」
「はっそんなありきたりな返ししか出来ないなんて可哀そうだな。……まって小学生にこの知能のまま戻れたら天才になれるのでは⁉」
「たぶん過去に戻れる装置を開発できたらその時点で天才ですよ」
「それもそうかぁ」




 目覚めると、ぬいぐるみが涙でぬれていた。
 もう彼女はいないのに、と古い恋愛ドラマの一説のようなことを思う。 
 これで彼女が生きていれば完璧なのだが生憎彼女は死んでいる。
 病死だった。
 彼女も膵臓をやられていたが、有名な小説の様に通り魔に殺されるようなことはなかった。
 最期までまっとうに生きた彼女。
 死んだのが彼女ではなく僕だとしたら。
 彼女は悲しんでくれたのだろうか?
 僕はうまく悲しむことができなかったから。
 彼女ならうまく悲しんでくれる気がする。
 とても優しい人だから。
 何度同じことを思ったのだろう。
 美しい花が摘まれていく世界だから、醜い僕が生き残ってしまったのだ。
 なんと残酷。
 醜い物から消えていけば、世界はもっと美しくなるはずだ。
 きっとそうしてくれない神様は最低。
 死ねばいいのだ。
 そうして僕はこの世から