『小説というのは、八割が嘘で残りの二割が小説家の本心でできている』
 そう言ったのは誰だったのだろうか。
 自分で思ったことだったのか、好きな小説家の言葉だったのか。
 今となったは分からないが、大切なのはその言葉で、誰が言ったのかではないような気がする。
 俺は自分のことを『俺』という。
 『私』や『僕』ではなく、『俺』。
 女子にしては珍しいと思う。
 自分で言うのはどうかと思うが。
 でも自分のことを呼ぶのは『俺』が一番しっくりくる気がする。
 俺は小心者だった。
 口先ばかりで特に実行に移すわけではない。
 だがどこかプライドが高く、強がりだった。
 そんな俺は自分を強く見せることのできる『俺』が一番好きだった。
 あぁ、自分のことではなく呼び方の話ね。
 俺はあまり自分が好きではないのだと思う。
 どこか客観的に感じるが、正直全て他人事のように思う。
 俺が生きようが死のうがどうでもよかったが、あわよくば死にたかった。
 生きることはひどく面倒だ。
 食事はエネルギーをすり減らすし、服を着替えることさえ億劫だった。
 学校なんかストレスの塊でしかない。
 最近は友達と話すことさえ面倒だ。
 うまく言葉が出てこなくなるし、いろいろ考えて話すことは思った以上に神経をすり減らすのだろう。
 たびたび倒れてしまいたくなる。
 何度も自殺未遂を起こした未来を想像する。
 自殺、ではなく自殺未遂、のあたりが臆病者だと俺を嘲笑っているようだ。
 だが自殺未遂を起こせば、きっと俺の世界が変わると本気で信じていた。
 ひどく滑稽だ。
 バカらしくて泣きたくなる。
 だが俺はそうまでしてでも、このつまらない世界を変えたかった。
 けして死にたいわけではなかった。
 たぶん。おそらく。
 もう無理から限界までの道のりが遠すぎる。
 俺は疲れたのだ。
 誰か助けてくれよ、