―――そうだ、雨。好きだった雨は、ある日を境にして大嫌いに変わった。―――
ずっとずっと好きだった。高校1年生の頃からずっと同じクラスでいつも優しかったかずさが。

「みーお!まーた辛気臭い顔してる〜」
「あ、かずさー、眠いよ〜」
「クラーい顔してると男逃げるよ〜?」
いつも周りを明るくしてる、かずさが好きだった、どうしようもないぐらいに。そう、私はレズビアン、俗に言う同性愛者だ。別に心が男という訳でもない、ただただ恋愛対象として女の子が好きな女の子なのだ。
そしてわたしの好きなかずさはモテる、ストレートでサラサラで、毎朝流さないトリートメントをしているという髪、太りすぎても痩せすぎでもない健康的な足、笑うと周りがお花の花びらが舞うような整った顔。そのかずさと対照的に、天パで毎朝クシで梳かすのも一苦労な髪、やせすぎでわざわざ先生から虐待の心配をされるような、ところどころアザがある肌、可愛げがなく、水分がないカラカラな肌。かずさを見た時、最初は「妖精みたいな子」の印象だった。こんな顔の私と正反対のかずさが奇跡的に蓮沼と藤枝で1年生から出席番号が前後だったのだ。