「せ、先輩が作ったんですか……?これ」
「うん、一人暮らしした時とか大変にならないようにさ。」
えぇ………、それでここまでキラッキラな
もの作れる……?
こ、高級フレンチか何かですか、?
「この卵焼き貰っていー?」
「はい、どーぞ!」
「いただきます。」
大丈夫かな……?
口に合うといいんだけど…
「……、めっちゃ美味い…」
「よ、良かったっ……」
微妙な顔だったらどうしようと思ってたけど満面の笑みだぁっ……、
ちょっと……安心。
じゃあ、私も!
「先輩!このオムレツ頂いても…?」
「どーぞ。」
私は意を決して、美味しそうなミニオムレツを口に入れた。
お、美味しい………っっ、
「先輩!めっちゃおいしーです!!」
「ほんとー?良かったー」
前お店で食べたのより美味しいっ……!!
せ、先輩高スペ過ぎませんっ……?
心でそう思いながら
昼をすごした。
湊先輩と付き合って1週間
私は絶望のあまり固まっていた。
「いやだよぉっ……、優ちゃんっ……!」
「せっかくの人見知りを治すいい機会でしょー、もうっ」
「やなもんはやだなのっ……うぅ…」
「でも……ねぇ、決まってる事だし、、
私なんも出来ないわよ。」
この眉を困ったように端を下げる優ちゃんの言ういい機会というのは、
1年生宿泊体験会。
これは1年生がみんなと仲良くなるために、学校側が負担してくれるやつらしくて。
必ず行かなきゃなんないらしい。
人見知りの私には……無理すぎる……
「同じ班組めばいい話じゃん…」
「で、でもぉっ……うぅー」
やだやだっ………!!これで人間不信になったら先生呪うっ……!!
「ちよかー、ペア組もー。」
「ゆ、優ちゃじゃなくて…眞白さん、
俺と組んでください。」
ぺ、あ?
「えっ………と、ぺあって?」
「おい……聞いてなかったんか……」
「、これは男女ペア2つずつで班が組まれるんだよー。」
「へー……そなの?」
「うん、で、俺が誘ったの。」
「あっ、そーゆこと!じゃあ、よろしくお願いしますっ……!」
「うん、よろしくね。」
「えっと……芝浩介くんだよね。私でよければペア組んでください。」
「…!うん。」
察する。きっと芝くんの片思い。
でも芝くんかっこいいタイプだよね?
優ちゃんのタイプってこんな感じじゃなか
「ねぇ、………ちょこ?あなた…何か言いたいことでも?」
ひぇー……、周りの人みんな………怖いっ
「じゃ、この4人で組もー!」
「うんっ……!!」
そしてー、4人グループが出来たとさ…
☆
☆
☆
放課後。
「今日なんかあった?」
「えっ、なんで。」
「いつもより笑顔。」
ふっと笑う先輩の顔は妖艶で綺麗。
「宿泊体験で、朝日くんと組むことになったんです!優ちゃんは、優ちゃんが好きだと思われる男の子と組んで……、それでこの4人で
班になって知らない人あんまいないから嬉しいんですっ」
「………へぇ、宿泊…体験ね。」
「先輩もいったんですよねっ」
「うん、行ったよ。」
「誰と組んだんですか?」「…知りたい?」
「一応?みたいな。」「えっと……確か
美園?って言うやつが言い寄ってきてウザかったからそいつと。」
「………そうですか。」
聞いても意味なかった。だってわかんないもん。。。
「…………ちよか」
不機嫌なのが丸出しの声。
顔も口がへの字になってる……
「先輩…?どうかしたの……?」
「………ん、、家に着いたら話すよ。」
「ええっ………、今話して下さいっ…!」
「や、だ。」
笑顔でそう答える先輩は………
言いたくないって言うか言うのが面倒くさそうに感じる。
「……、話してー。」
「……………キス、してくれたらここでもいーよ」
「えっ………」
き、キスっ
無理無理無理っ………!
「ほら、してみなよ。」
グイッと迫ってくる先輩。
ニヤって笑う先輩。
この先輩はキケンだ。
「………っ、」
私はぐっと、胸板を押す。
あの時と同じ。ビクともしない。
「……、1回でいーから。」
悲しそうに……、子犬のように見つめる先輩
「…………っ、目閉じて下さいよっ…?」
「…ん、」
わ………、先輩目閉じてても絵になる…
「はーやーくー」「……っ、うぅ…」
「3ー2ーい」
もうやけくそだぁっ……!!
ちゅ…
「「…………」」
せ、……せせ、先輩キレてる………、、
そうだ……、私は口じゃなくて頬にキスした。
「…千代華。そんなお仕置ほしいの?」
「……っう、」
「千代華が悪いんだからな。」
そう言って車の中なのに押し倒された。
「……っ、ん、……っふぁ、………っぁ」
長くて深いキスをずーっとされる。
「………ひぁ………っん、、ぅ」
「今日はここまでにしてあげる。」
「………っはぁ、」
先輩のキス長いっ………
「あ゛ー、その顔やめてー。」
「………ふ………ぇ?」
「もっとしたくなるでしょ。」
「!!!はひっ……」
「ちょっと傷ついた。」
また今キスされると私っ………容量オーバー
になってしまうっ………
でも、やっぱ………、いやだめでしょっ…!
「…ん、着いた。いこー。」
そう言って先におりて、手を差し出す先輩。
その仕草がすっごく王子様に見えた。
っていうのは内緒。
♡
♡
♡
「で、はなしてーっ…!家着きましたよ」
「はいはい、膝に来たらね。」
「…………」
「嫌な顔しても無駄ー。」
うぬぬっ………、
恐る恐る近づく。
「ひゃ……っ、やめ……太ももやぁ……っ」
「んー、じゃ話すねー。」
「離すっ…!?やっ「そっちのはなすじゃないよー。」
ううっ………、
「俺と千代華付き合ってるでしょ、」
「は…はい。」
「んで、とーぜん浮気NGでしょ。」
「そうですね……」
浮気する相手すらいないし……
「んーと、言うの恥ずいな…」
「…??なんですか。」
「そのあさひくんに嫉妬したの、
俺が。」
「………?あっ、もしかして朝日くんのこと
先輩好きだったんですかっ…!」
「……違う。」「あれっ…」
先輩は何が言いたいの……っ?
「千代華がその男と組むって聞いて妬いたの。わーかーるー?」
「……………へっ、」
「……顔真っ赤ー」
ぼんっと赤くなった自分の顔。
わたしっ?
「とゆーことで、男子と仲良くしないでね」
「……………男子……、、仲良く…する人……い、る?」
「あさひくん。」
「………っ、あぁっ!朝日くんか。」
人見知りだから……っていうか
男子と仲良くするのあんまりないからなぁ…
「先輩っ、大丈夫です!朝日くんは、
ちょーぜつかわいー女の子に片思いしてるらしいですから!安心してくださいっ!」
「……はぁ……、だからだよ……」
「…?」
そういえば先輩はどのくらい恋愛してきたんだろ?ちょっと気になるっ
「あの先輩ってどのくらい恋愛経験あるんですかっ?」
「えー、、なんでそんなの聞くの?」
急にニヤニヤし始めた先輩。
わ……、、良くなかったなぁ
「他意はまったくないです!!」
「ふーん。ま、言うわけないんだけど。」
「っえ、なんでっ?」
「千代華が俺に好きって言ってくれたら言ってもいいけどー?」
……………どうゆう反応したらいいの…
「だから、早く俺に堕ちて。」
先輩の目は優しさもなく真っ直ぐ。
赤く染った瞳が光ってる。
普通に、恥ずかしい…っ
どうすればいーのっ…?
「ごめん。困らせた。キス…しよ。」
そう言うと私の唇に落とされるキス。
そのキスは甘ったるくて、
辛い気がした。
「千代華。」
私にキスを落とす唇が愛おしそうに呟いた。
ーーー
shortstory
辛くてヒリヒリ。
でもやっぱり甘い。
END
「わぁぁ………っ!!綺麗だねー!」
目を見開き、写真を撮る。
わたしたちの宿泊体験は、忙しく早い日々に乗せられて当日を迎えた。
最初は、もうやけくそだったんだけど
来てみると綺麗で言うことなし!
「千代華……、まだホテルついてないぞ」
私たちは朝からバスに乗り、目的地へと向かっていた。
噂によれば、私たちは長野県のホテルに行くみたい。
噂っていうのは、私が嫌すぎてなんもきいてなかったからです、( ◜ω◝ )
「むー、騒いだっていいじゃんっ」
「おいおい、大声だすなよー…」
「ビルばっかりの街に見飽きてたから、こーゆー緑がいっぱいのところすっごく綺麗…」
うっとりした目で見つめる私を半ば呆れたように笑いながら見てるのはペアの朝日くんで
ペアは隣の席になるらしい。
で、さらに通路を通してあはは……と軽く笑っているのは同じ班の芝くんと優ちゃんペア
「そんな扱いでいーの?あとから出てきた会長様にすぐ奪われちゃうわよ?」
「………っ、分かってる…、」
?
何の話をしてるの?
よくわかんないけど先輩の話?
そういえば先輩に…あんなこと言われたけど
私どうすればいいんだろ……
……
昨日
『ひゃ……先輩なにっ?』
『千代華、明日体験じゃん?』
『は、はい……そうですけど。』
『その、あさひくんには気をつけて。』
『……えっ?どうして?』
『ん、……とにかくあんまり2人きりには
なんないで。』
『……?…よくわかんないけど、分かりました。』
『……それでよし』
♡♡♡
ということがあって……、それと2人が話してたのが関係してる気がするの……気のせい?
うーん……
1人で唸っていると、乾いた1人の笑い声が聞こえる。
?
あっ……芝くんっ……
芝くんが悲しそうに、眉を下げてる。
朝日くんが、説教(?)優ちゃんにされるから……!!
私は悲しそうにする芝くんの代わりに朝日くんを睨みまくる。
「……な、なんだよ…」
「ふんっ、」「おい……」「ざまぁみろ聖」
そうして、みんなのピリピリが収まったのは
朝日くんが降参だ……というように
「すみませんでしたー、」
と言ってからだった。
「ね、トランプしない?」
芝くんが思いついたように言う。
「いいよー!何する?」
おっ、優ちゃんが乗った。これで安心。
「でもバス内じゃ、厳しくね?」
「じゃあ…UNOしよーぜ。」
「おーいいねー!しよしよ」
☆☆☆
そうしてUNOを楽しんでいた。
「……〜っ、はい!UNO!」
「は、はぁ?な、なんでそんなにはえーの?」
「朝日くんが枚数多いだけでしょ!優ちゃんと芝くんもう終わってるじゃんっ」
「ぐ………、、意味もないリバース…」
「はいっ、あがり!」
「朝日、弱……」「ね、聖やば…」
「なんか、お前ら酷くね……?」
「「ホントのこと言ってるだけだし…」」
「小声で言うなよ!傷つく!」
「…………、あっ、そういえばさー!」
芝くんが急に声をあげ、空気を変える。
額には、うっすら汗が浮かんでるし
朝日くんに目合わせないようにしてるのかな
とはいえ、なんだろ?
「生徒会長と、千代華ちゃんが付き合ってるって言うの聞いた事あるんだけど、
実際どーなの?」
私の方を首を傾げて聞いてくる。
「あー……えっとねー」
えっと…芝くんはしらないんだっけ?
「ふふふ、、浩介くん私が教えたげるよ、」
「え?ちょ、優ちゃんっ……」
止めても一切効かないタイプ……!!
優ちゃんたまにデマ流すから……!
あのね、と優ちゃんが口を開く。
「ちょこは、無理矢理恋人状態にさせられたんだけど今ではもうハマってきちゃって、
毎日溺愛してくる会長が気になり始めてるのよ⭐︎」
「うん………、最後ら辺デマ……」
「でも、ちょこかいちょーのこと好きなんじゃないの?顔赤らめるしぃー」
「わかんないもん………、恋愛経験0だし…」
私って湊先輩のこと好きなの?
確かにキスとか……色々されるしドキドキ普通にするし…強い抵抗もしてないし…けど、
「恋って……結局、よくわからなくて…」
「まぁ、いつかわかる!!」
優ちゃんがそう言う隣では芝くんがうんうんと言うように頷いてる。
芝くんは、優ちゃん、でしょ……
「まぁ、別にまだわかんなくていいじゃない?」
そうかな……、
私の事を撫でる朝日くん。
私、だけかぁ………
ちょっと落ち込む…、恋したら変われるのかなぁ……、
「………まぁ、重い空気が流れたところで、
ちょこの会長の秘情報を流すとしますか」
「…、それだけはやめてくださいませ優ちゃん様。」
「はいはーい!俺たちその話聞きたいです」
「はーい、容赦なく
「わぁーーー!!!?優ちゃんあそこにUFOが見えるよー!!?ほらいい景色とUFOが
あるよぉぉぉ」
☆
そうしてひとつの黒歴史が出来たとさ☆
ーーー
「………っうぐぅ………」
「早くして……ってば、ほら」
「うう……だってぇ……」
私たちの雑談バスタイムはもう終わり。
目的地につき、1つ目のポイントに来たのですが……
「こんな山きいてなぁ………いっ……って」
「聞いてなかっただけじゃね?」「うんそうだと思う。」「ちょこの自業自得」
「うっ……みんなで言われると傷つく…」
「分かるか、さっきの俺の気持ち。」
「まぁ、仕方ないよね。」「うん仕方ない」
うう……、運動神経おバカ………、、
共感してくれる人は居ないの……
「うう……、」
「さっきから、唸りすぎ……って、ちょこ!?」
「へっ……あ、うぇぇぇえ」
私はなんと山道から外れて崖の方を歩こうとしていた。
あ、あっ、あしばがなっ……
「千代華…!「ちーよか、だいじょぶ?」
咄嗟につぶった目のせいで、誰だかわかんない。
でも………だい、じょぶ…?
「っ…………あ、た、たたた小鳥遊くんっ…!!?」
「早く登ってみれば、落ちそうになってる人いるからびっくりした。」
「あっ、ありがとう………っ、命救ってくれて」
「大袈裟な……」
軽く笑ってから立たせてくれる小鳥遊くん。
「ご、ごめんね……迷惑かけて………って、
私たちが最初のクラスの班だから小鳥遊くんたちの班すっごく早くない………っ、」
「あー…、俺の班2人欠席、1人遅刻。」
「ええっ……!?」
そんなこと……あるのっ……?
「1人じゃ寂しーから一緒に行こ…?」
「う、うんっ……?」
よくわかんないけど、小鳥遊くんってうさぎみたい……だなぁ……
まぁいっか!
「あのぉー」
優ちゃんが手を挙げて言った。
「?はい、そこの人。」
どうしたんだろ。」
「会長は知ってる。けど、副会長まで絡んでくる理由はなんだ!?ちょこに執着しすぎじゃないっ!?」
ビックリマークとハテナ多かったな……
で、でも、どう言えばいいのでしょうか…っ
「ん、会長に千代華を守ってって命令された
四月一日家専属の執事家庭だからな。」
「「「……ま、まじ?」」」
聞いていたみんなが信じらんないという顔してこちらを見つめる。
「だから、ごめんね。千代華に付き纏ってます。」
「優ちゃん…!やましいことは無いから安心してねっ……!!」
私はハッキリ口にする。優ちゃんはまだポカーンとしてるけど。
「………やましいこと、ね。不純かもしれないけど」
?
ポカーンとしてる優ちゃんは、ハッとして戻り次は疑問を持った唸りに変えた。
「う、うーーん?(訳:え、じゃあなんでそんなにくっつくって言うかそんなに距離が必要なんだろ、まさかだけど副会長…)」
「…………ま、とりあえず、よろしく?」
「……う、うん!!」「「……うん、、」」
「………」
全員微妙な反応をしながらも、全員頷いた。
私たちは微妙な雰囲気を抱えながら、協力し山を登りきったのであった………
(元から全然高くない山。1時間でよゆーで着く。)
☆☆☆
「ふぅー…っ、温泉気持ちぃー!」
「そーだねっ、優ちゃん。」
「ホント生き返るわー!入学したばっかだし……、今日色々あったし……」
手を伸ばし爪を見る優ちゃんは、口をタコのように尖らせている。
可愛い………、
「ねぇー、ちょこ」「…どうしたの?」
「ちょこは、近くにいる男子とかってどう思う?」
「んー…ちょっとまだ喋りづらいし、
苦手な人は苦手かな……」
「じゃあ……聖とか浩介くんとかは?………あと小鳥遊くんとか……」
「……うーん、」
あんま考えてなかったなぁ……
「朝日くんは、意地悪だけど優しいし…、芝くんは、表情コロコロ変わるのがいいなって思うし、小鳥遊くんはー、助けてくれるし……、みんな優しい友達……って思うよ」
「そっか……あのね、私……さ、、」
「うん?」
物言いがハッキリしてる優ちゃんには珍しいくらいごにょごにょしてる。
悪口じゃないから。
私もう失敗しないよ…!
「優ちゃん、言いたいことあるんだったら
はっきり…言っていいんだよ……?」
「………うん、……その私…、
浩介のこと好きに…なっちゃった…」
アハハ、と笑っている優ちゃん。
顔赤いけど、きっと温泉だけのせいじゃないでしょ?
「……ふふ、そっか……、」
優ちゃんには、中学生なのにやっぱりすっごく綺麗で、モテるせいかくしてるからやっぱ
彼氏っていう存在が途切れなくて。
でも、最後の彼氏は1年前のクリスマス。
優ちゃんの14歳の誕生日の時に、彼氏の浮気発見で別れちゃったの。
優ちゃんは、悲しそうに「ちょこがいればいいやぁ…」って笑ってたけど。
私がいればって言っててくれたのに、
私なんも言えなかったんだ。怖かったから。
だから恋っぽい話題……私自身避けてたんだけど。
私は突如泣き始めてしまった。
「…え、ちょ、ちょこ?泣かないでっ!?」
「う…ぇ………、辛い時に慰められなくてっ………、優ちゃんっ………、よか、良かったぁっ………うっ……う゛〜……」
辛い時に、なんも言えなくてごめんなさい。
ってずっと謝りたかった。
「ごめ………んねっ……、よかっ……た…
ぅう゛〜……っ、」
「も〜泣かないでよ……つられ泣きしちゃうじゃない……っ」
ここの温泉広いから同じお風呂の班以外の子にはバレていないみたい。
「どどど、どしたのー!?優、千代華ちゃんっ……!!!」
「2人に泣かれるとこっちまでつられるよぉ……ううっ………」
「え!もしかして転んだ!?ここ滑るもんね!!」
…心配してくれる人が居てくれるって嬉しいんだなってちょっと感動。
「千代華」「優ちゃん」
私達は1度目を合わせて涙を拭く。
「…っ、ごめんねー、なんでもないよっ」
「ありがとうっ…心配してくれて」
「っぐはぁ………っ、天使2人にその笑顔はキツいって………」
「まじそれな…」
私達は、歯を出して笑った。
♡♡♡
「はぁー……、のぼせたかも…」
そう言って苦笑する優ちゃんの顔はほんとに赤い。
「慰められてたら、いつの間にか時間結構たっちゃってたね…」
私もちょっとのぼせてる…
「ちよかーー、ましろーー」
「「?」」
あ、朝日くんだ。
「班反省会の時間だから、食堂の机借りて
話そーぜ「優ちゃん、顔あっか……、のぼせた?」
あちゃちゃ……、朝日くんめっちゃ唇かんでる……
まぁ、ここは芝くんの会話に乗ろうかな……
「私はだいじょぶなんだけど、お風呂の最中
で色々と事件がありまして……長くなってしまいましたのよ……」
「そっか……って、え?」
「……ん……」
「あ、優ちゃんアウトだ…」
芝くんのスウェットを掴み胸に倒れ込む優ちゃん。
うほー、大胆ですねぇ……
「………」
芝くんはパニックで止まってるけど。
「おい、こうすけー」「……………っあ、ごめん。」
お、戻った
「ちよかちゃん……どうしたらいいと思う?」
「うーん……、部屋に運んで休ませるべきだと思う!」
「だよね……、」
でも優ちゃんのスウェットを掴む手の力が緩むことはなく……、
うーん……取れない。私がおんぶしようと思ったんだけど。
…………いやまてよ?もっといい方法があるじゃないか!!
「芝くん…、何やってもこれ多分無理だからさ…芝くん優ちゃん抱っこして運んでくれないかなっ…?」
「…………え、」
「お願いします……!」
「……………………うん。」
何か覚悟を決めたかのようにする芝くんは、
軽々と優ちゃんを持ち上げた。
あら、すごい。
優ちゃん……ちゃんと写真後で見せるね…
撮ってとおいたから……
そんなことを頭にうかべながら、隣の部屋の休憩室へ
運ぶ芝くんについて行った。
☆☆☆
「芝くん、これ氷枕と、水と、体温計!!持ってきたー!!それでなんだけど………、その優ちゃんのこと頼める?」
「え…?」
「そのー私、大浴場にちょっと忘れ物しちゃって……、戻んなきゃ……!!」
「俺も着いてくー、千代華。」
「あー、じゃ、先生に伝えに行ってくれる?さっき言うの忘れちゃって」
「ん、おっけー」
「じゃ、芝くん、お願いできますか……??」
「あーー……うん、任せて!」
「ありがとう…!なるべく早く帰ってくるね…!」
私は朝日くんの腕を掴み、そそくさと休憩室を出る。
「ふぅ………、」
「なぁ、千代華。」
「んー?」
「浩介さ眞白のことずっと好きで「やっぱり!?
好き好きオーラダダ漏れだったから、気になってたのーー!」
「しー……」
おっと……んんっ、
まだ休憩室の前だった。
「そっかー、やっぱり好きだったんだぁ」
「やっぱりって……その、好き好きオーラって
例えば?」
「えー…、朝日くんと優ちゃん話してる時さバスで。
すっごい悲しそうにしてたんだよ…!?芝くんの話相手勝手に朝日くんがとるからぁっ……!」
「だから、静かにしろって……、
あれ、話してるわけじゃねぇし……、説教受けてただけだし………、」
「知らないよっ…、朝日くんがそれ悪いじゃん、
結局………」
「まぁ、……それは置いといて……」「逃げたな…」
「眞白って………その、好きなやついんの?」
「………ぷっ」
「何笑ってんだよ……」
「いやー、真面目に恋バナしてるのちょっと笑えちゃって……あははっ……」
「…………ꐦ……で答えは?」
「もー……だいじょぶだよ、上手く行けば、ふたりのいい知らせがきけるからっ」
「…………つまり、」
「そーゆー事よ。さっき長くお風呂入ってたのは、
その話をしてたの、恋バナ、恋バナ。」
「………そっか、」
朝日くんは控えめに、でも嬉しそうに微笑む。
「いい知らせが聞けるといーね…!」
「まぁ、でも、浩介地味にヘタレだからなぁ……」
「酷くない、芝くん優しいよ。ドジで転んでみんな呆れてたのに、芝くん。気をつけてね、大丈夫?って
言ってくれたんだからー!」
「……、大丈夫か?」
「至って正常ですぅーーー」
「拗ねんな、拗ねんな……、」
ぽんぽんっと頭を撫で、優しい顔をする朝日くん。
こ、子供扱い……してんな……、
てか、そんな優しい顔初めて見たよ……
なんだか気恥しい………、
うう………はやくおわれぇーー
そう思っていたのに、朝日くんの手は背中にまわる。
えっ、あ、、えっ……と?
背中の方にまわしていない手で私の頬を優しく触る。
「ひゃっ……」
思ったより冷たい朝日くんの手にびっくりする。
「ど、どうしたのっ…?」
聞いても、無言なままの朝日くん。
や、やる人間違えてませんか、、
離れようと思った時、力強く抱きしめられる。
「好きだ。」
「………………へ、?」
時が止まったと思った。
朝日くんには、好きな人が……いて、
それが………えっと、わたし(?)で……え?
「ちょまって、朝日く「あの受験の日からすきだった。俺と付き合って欲しい。」
受験日……って、あの道教えてもらった日…、
「……っ、えっ……と、とりあえず離してっ…?」
「………、やだよ、離したら逃げるじゃん」
「…っ、逃げないから…あの、その……離してっ?」
「………わかった。」
力が緩み、離れる体。
やっと離してくれた……
でも、、……。
「な、会長より俺を選んで…?
俺、無理やりなんてしないし、幸せにする…」
「……っ、」
わたしは今の状況が飲み込めないでいた。
どうすれば、いい…の?
先輩とわたしは確かに偽カップル同然だ。
だからって………、でも……、
頭の中がぐるぐるして、パンクしそう。
失礼なことしちゃうけど、
わたしまだわかんないから……
「ごめん……っ、その今頭ぐるぐるしてて……その
……考えさせてください」
「………、まぁそーだよね、」
あははと笑う朝日くん。目には少し悲しみが
映っている。
「俺には……チャンス少しでも………ある?」
「…………、わたし、朝日くんのこと、頼れるお兄ちゃんみたいに思ってて……、」
「……うん、今はそれでもいい。だからこれからは意識して欲しい。俺本気だから。」
「はひっ」
「かーわい。」
ひょええっ………、
めっちゃ言葉甘いっ……
でも、……先輩と違ってドキドキ…しないんだ。
「…………困らせてごめん…、けど好きだから。」
「……っ」
みるみる顔が赤くなる。
「ん……、好きだよ。」
ふっと笑う朝日くん。
私の首筋近くに顔を埋められる。
「………ひゃあ……!?」
変な感覚とするとともに、チクっとした痛みがじんわりと走る。
私は思わず、彼の胸板をグッと押して後ずさる。
「なに……してっ……」
「鈍感な千代華は気づかないでしょ?だから、アピールより攻めた方がいーでしょ?」
えっ…?えっ……?
よくわかんない……っ、
けど、
「も、もうこんなことしないでさっ……
優ちゃん迎えに行こうっ……!!」
「ふっ、はいはい。」
そう言ってわたしたちは
早足で休憩室へ向かった。
そこを誰かに見られていたのも、知らずに……、
☆☆☆
ガララっ………、
「あっ………、チョコ!」
そう呼んで入ってくるなり私のことを抱きしめる優ちゃん。
「どうしたの?もしか、し、て………、」
「えへへ、……付き合うことになったよ」
わぁ……!今の優ちゃんすっごい…輝いてる、
「ちょっと優〜?」
「ごめんっ浩介くんっ」
優ちゃんは私から離れて、浩介くんを抱きしめる。
「浩介、呼び捨てはやー」
棒読みでいってるけど、朝日くん顔めっちゃ緩んでるよー?
「…、千代華ちゃん、ありがと。」
「ふふっ、いえいえ、」
「おーい、俺はー?」
「?」
優ちゃんすっごい笑顔。
良かったぁ………っ、
「ねー、聖は?あんたらも2人きりだったでしょー」
「あー……告白して、アタック中。」
「!!!まじ!?告ったの!」「おうっ」
え?え?な、にっ……
朝日くんが腰に手を回して体を寄せる。
ちょ、朝日くんってば……!!
「覚悟しとけ、千代華。」
「えっ……あ、ぅ…無理っ……」
「あー……、甘々な聖みてらんない……、
会議始め「ううううう、うん!!」
「千代華ちゃんどもりすぎだよ、」
そうして1日目が終わった。
ーーー
一方お留守番の生徒会長。
「あ゛ー、イラつく…」
『まぁまぁ、』
「聖?だっけ、なんなのそいつ」
『まぁ、確実に好きなんでしょうね、千代華のことが』
「……あ?なに、普通に呼び捨てしてんの?」
『………、別に』
四月一日湊は、千代華の状況報告として小鳥遊と電話していた。
『あ、かいちょー』
「………なに?もう切るけど」
『俺好きになっちゃいました。』
「………は?」
『その、聖ってやつと同じように全力で奪いに行き』
機械音が無駄に広い部屋に響く。
「最悪だ……、」
そう言って四月一日湊は、重いため息をつき頭を抱えた。
ーーー
ミントの刺激long story
第二章
fin
side 芝 浩介
わ……顔真っ赤だなー…つらそ
本当に大丈夫かな……
「優ちゃん〜……」
運んでいる最中千代華ちゃんが心配そうに彼女の名前を呼ぶ。
まじで大丈夫かな……、てか好きな女の子運ぶとか
………、死にそーー…、可愛い……
彼女の手がぎゅっと…俺のスウェットを掴み、
離さない。
可愛い……
てか、軽すぎない……
何食べてんだ……
歩き始めると彼女の髪ゴムがぱらっと取れ、いつもあげている前髪がピンがなかったせいか落とされる。
わ………いつもと違う感じ…する。
「………っ、う…ぅ…ん」
彼女の口から声が漏れる。
おっと……っと、
声に過剰になってしまう。
気をつけて運ばなきゃ……
と言っても隣の休憩室だけど、
☆☆☆
「……、」
なんで俺今1人なの。
それは、さっきまでの出来事を辿る。
2人が気を使ったのか休憩室から出て行き、
彼女と2人になってしまった。
女と男2人にさせんの…どうなの、
「………ん……」
「………優、」
起きてないことをいいことに呼び捨てしてみる。
……、やっべ、無性に恥ずかしくなってきた。
「……、こう、すけ……く、」
「……!」
俺の名前呼んでる……、嬉し……
心の中でちょっとガッツポーズ。
でも……、辛そう。
赤く頬は染まってるし、苦しそうな息遣いだ。
苦しい……で、思い出した。
この前千代華ちゃんが言っていた、彼女の過去。
ーーー
『優ちゃん、無理……してないかな。』
『どうして?』
『もう、高校生になったとはいえ、中学生の時にできたトラウマが消えてないんじゃないかなっ……て、
ごめんね!困らせるようなこと言って……」
『…ううん、なんか……俺もゴメン。』
『……、優ちゃんの、トラウマはね……、元彼に
浮気されたことなんだ………、』
『え……』
『………、あ、ゴメン!重い話しちゃった。……芝くんも、優ちゃんに無理しないよう言ってくれると助かる………、私なんもできなかったから、』
最後らへんは小声すぎて聞こえなかったけど、悲しそうな千代華ちゃんの声のトーンに、俺まで意気消沈した。
……俺が……、助ける。
俺はその言葉に強い意志を持った。
ーーー
「………、俺が……助けるから、」
彼女の小さな手に俺の手を合わせて言った。
………、俺声大きすぎたかも……、やばい……
俺は慌てて手を離し、近くにある椅子に座った。
少しだが、ピクッと手が動いたのがわかった。
やばい、起こしちゃったかも……、
「………ん、浩介くん…?」
薄く目を開き、俺の名を呼ぶ。
「あ……ゴメン、起こしちゃった…」
「……ん、大丈夫……、むしろ、起こしてくれてありがと」
柔らかい笑顔で笑うところは、初めてで胸が少し高鳴る。なんか……、男っぽくない?
じゃなくて……
「俺いると、寝づらいよね。千代華ちゃんが帰ってくるの部屋の外で待って」
る、よりも先に彼女が俺のスウェットの袖を引っ張ってベットに座らされた。
「…え、」
「やだ……、行かないで……」
俺の袖を掴んだまま、うるっとした目で上目遣いされる。
いつのまにか、体を起こしていたみたいだ。
…………まっ……、て。可愛すぎるんだが…?
「……」
俺は無言で立った。
「……え、浩介く……」
本当は行きたくないけど、これ以上いると彼女に何をするかわからない。
それが嫌われることになるわけで、彼女のトラウマになってしまったら…と、思うと怖いんだ。
「………、好きっ…!」
彼女か張り上げた声で言う。
振り返ると、耳まで赤く染まった顔を隠そうとしている。
「……、本気じゃないなら、言わないでくれると、」
思わず言ってしまう。
だって、優ちゃんと関わるようになったのは、ここ最近…、この宿泊施設の時から。
俺が好きになったのは、入学式だけど。
「……っ、本気だよっ…」
優ちゃんは顔を覗かせて真っ直ぐ俺の目を見る。
「………っ、ごめん」
え?優ちゃんが、俺を……好き?
……まじで?
恋愛的……だよね?そーじゃなかったら、ショックえぐい、んだ……けど、、
手で口を押さえる。
優ちゃんに酷いことを言いたくないから。
「ゆう、「私……、部屋帰るね、」
地味に震えている彼女の声。
よく見ると、彼女の目は涙で濡れていた。
頬に電気で光る涙の跡。
「え、優ちゃ、まだ寝て「ごめんっ……、私なんかがっ…」
ベットから降りようとして、よろける優ちゃん。
あっぶな……
急いで支える。
「まだ全快じゃないでしょ。」
素直に言ったんだ。
「私に…、優しくしないでっ……」
優ちゃんを……、傷つけた。
俺はなんて言ったらいいかわかんなかって
「優……‼︎」
ただ彼女の名前を呼んだ。
流石にびっくりしたのか動きがピタリ止まり、
肩だけがビクッと震えた。
「優、お願いだから俺から逃げないで……
逃げられるの悲しい。」
何が優ちゃんを傷つけたのかわかんないけど、優ちゃんの目から涙が1粒こぼれ落ちた。
「……っ、」
「逃げられるのやだ」
「なん、……で?私浩介くんなんて…浩介くんなんか
見たくないっ……!」
なぜそうなってしまったのか俺には分からない。
「優ちゃん、俺の顔ちゃんと見て」
優ちゃんは、さっきから目を合わせずに、下を向いて必死に合わせないようにしている。
いつも強くて頼りになる彼女が、自分の恋愛のことでこんなに弱くなるなんて……クソ元彼が
トラウマが優ちゃんを縛り付けてる。
「優ちゃ……優。」
「やっ………やぅ……、恋なんてやっぱしなきゃ良かった…っ、……っふ、」
止まらない涙と彼女の素直な言葉が、俺の心を暴れさせる。
今、恋……って言った?
「優、俺のことどう思ってるの?」
「……っ、嫌い」
「……、本当は?」
しばらく黙る彼女の目線に合わせ、屈む。
「……好きだよっ…、浩介くんと付き合いたいっ…のっ……!」
その言葉を聞いた時、俺は彼女の襟ぐりを引っ張り
唇を重ねた。
ゆっくりと離れると驚きからか、涙が止まった優ちゃん。
「…………え?」
「目パチパチしてるのかわいーね、」
「遊び……なのっ…?」
「ううん、違う。今のは、俺も同じだよって言ってるの」
「…………っえ、、あっ、え……っ」
混乱してあたふたしてる…、初めて見るなぁ
一度深呼吸をして俺に言う。
「つまり、あの……私の、こと?」
「………好きだよ、優ちゃん。俺と付き合ってください」
頬を軽く触り撫でる。
彼女は俺の手をとって
「…喜んでっ……!」
涙を堪えて微笑んだ。
「……ん、可愛すぎでしょ。」
「……へ?」
「好き好き好き……、まじで好き…」
「………っ」
赤面する優。顔を隠そうとするところを手を掴んだできないようにする。
「……っ、私も好きだよ…っ」
可愛い……、
ただの一目惚れだったけど、こんなに惚れ込むとは
思わなかった。
もう彼女以外に恋することはないけれど、
恋はするもんじゃなくて、落ちるもん。
それを学んだ。
前までは恋をしてたけど、君に
落ちたんだ。
ーーー
カカオ量高め?
fin
ーーー
第3章
塩チョコは涙出るうまさ short
ーーー「……、千代華なんかおかしい。」
「へっ……?そんなことで、「嘘つき」
宿泊体験が終わって1週間くらいがたった日。私はフツーに先輩のお家に来ていた。
終わって1週間ということは、朝日くんに告白されて1週間ということなわけで…
そう……、朝日くんにアタックされまくって、攻められているのだ。
……、こ、んなこと言ったら……先輩になんて……言われるか…・っ
「俺…、ちゃんと我慢したからキスさせて?」
「嫌って言ってもダメですよね?」
「よくわかってんじゃん…」
そう言って軽くキスする。
……?
あれ、これだけ?
「せ、先輩…っ?」「……ん?」
なんか先輩……冷たいっ…?
「宿泊体験中寂しくなかった?」
「さ、びしくなかった……もん。」
それは嘘で、毎日甘やかしてくれる先輩がいないとちょっと…悲しくて……
「千代華、そんな顔しないのー、襲っちゃうよ?」
「むっ……」
「まぁ、良いやー。……、イタズラしたいから首みーせて?」
ど、どう言うこと?
イタズラやなんだけど……
しかも私…首、苦手だ…し、
「……そんなガードしないのー、俺寂しかったんだからね」
「……っ、…」
「…………、赤いのが見えると思ったら……くそ、」
「……?な、に?」「……んーん、でもさ」
「男子にここ…、触られた?」
「………へっ…!?」
な、ななな、なんでわかるのっ……!?
でもこれ言ったら……、なんかされ……
「嘘つきはお仕置きだからねー」
「うっ……」
本当のことを言ったら怒るのは目に見えてる。
いや、でもきっとバレない…!!
「なんも、…何もないですっ…!」
「はい、嘘ついたね〜…バレッバレなんだよ…」
「ひぇ……っ、」
先輩怖いっ……、口調変わってるもん……
「……んっ、ふぁ……ぁっ……、」
「声、えっろ…」
強引で余裕のないキス。
いつもより、優しくない。あらい。
「やっ……ぅ、、先ぱ…っ、ふ…ぁ、
ほんとに…、どうしたんですかっ…!」
「………」
先輩の頭の優しい目はなくて、冷たくなっている。
いつも…こんなんじゃないのに、
「他の男できたの?」
「え?」
先輩なに言ってんの…?先輩…私の彼氏じゃないの?
「首、うーっすら、だけど赤い跡あるよ、」
「…え?な、何ですか…っ?それ、」
赤い跡って……何?虫刺され!?やだ……っ!
「キスマーク。」
「あー、………ってえ!?」
え?キスマークって……あの!?
い、………つ……って、まさか!?
朝日くんにあの時っ……!?
「……、顔青ざめてるけど……、他の男と遊んで楽しかったー?」
「ち、ちがうっ……!!これちがく…て、」
「良いから…嘘つかなくても、」
「嘘じゃな「あ、もう6時じゃん、そろそろ帰んなきゃね。」
私の話を遮り、帰ることを話す。
何で話逸らすのっ……?
違うのにっ……!!
「今家帰っても誰もいないからいい、先輩と話す。」
「……なんで?」
「……っ、ダメ…?」
先輩いつもなら帰したくないっ…て、言うじゃん、
この話するのはやなのっ…?
「………、」
気まずそうに眉を寄せている先輩。
何で…喋らないの。
扉に3回ノックをされる。
「失礼致します。小鳥遊です。」
「あっ、小鳥遊く「千代華…だめ、おいで。」
だめ……って?
小鳥遊くんの姿を見て駆け寄ろうとした時
先輩がそれを遮った。
え?な、なに……っ?
「小鳥遊くん、用事あってきたなら「いーから。」
ど、どう言うことで……?
「……かいちょー、言いましたよねー?俺容赦なくやらせてもらいますよー?」
た、小鳥遊くんっ……!?
「…、今ヨユーないんでしょ?頭冷やすついでってことで、俺千代華もらいますよ。」
「へっ……?」
「……行かないで、千代華」
「………っ、」
悲しそうに声をだす先輩。
……
「先輩、頭冷やしたら…?話何も聞いてくれない先輩……やだよ。」
「……っ、、」「かいちょーバイバイ♪」
パタン…
「…………」
沈黙が流れる。
「…小鳥遊くんありがと。」
「邪魔したいから入ったんだけど……な、」
あははと笑う小鳥遊くん。
「…?」「まぁ…いっか、休憩室くる?俺の」
「えっ……、あ、うん!」
☆
☆
☆
コト…
テーブルにカップが置かれる。
「はい、これお茶。」
「あ、ありがとうっ」
執事さんの休憩室なんだよね、
すっごいカッコいいシックな部屋だなぁ。
「さてと…、何でさっきすっごい不穏だったの?」
「えと……じつはね」
あったことを話した。
黙って聞いてくれたことでモヤモヤがちょっと消えた。
「ふーん…、あ、本当だうっすいけどあるね」
「………」
うー……、朝日くんに後で叱らなきゃ……
「ま、ゆっくりしてって」
「…!」「この部屋いろんなものあるし、休んでていーよ。」
「……いいの?」
「うん、どーぞ」
「じゃ……お言葉に甘えて…」
「だめ。だめだよ、」
この声…
「おー、かいちょー…きたんだ?」
「……千代華、ごめん…、話聞くから。」
せ、先輩は何がしたいんだろう……
でも、
「先輩っ」
私は先輩に駆け寄った。
来た瞬間私のことをぎゅっと抱きしめる先輩。
あはは、私も何がしたいんだろな……
「よし…行こ」
私は先輩に手を引かれ休憩室を出た。
「………、勝てそうにないな…、まぁ、できるだけやってみっかぁ……」
☆
☆
☆
そうして先輩の部屋に戻ってきた訳だ、が。
「も、……む……りっ、先輩っ…」
「……だめ、妬かせたお返しだよ」
「ん……っ、ふぁ……っは、」
「そんな声他の男に聞かせたらだめだからね、
わかった?」
「こ、こんなことするの先輩だけでっ…」
「キスマつけられてたくせに」
「急にされたから…わかんなくてっ…んっ、んぅ」
先輩のキスは止まらない。
先輩……きっと、経験多いんだ…な、
胸がぎゅっと締め付けられる。
先輩にとって私とのキスって…なに?
…………わ、私何考えて……っ、やめやめ!
この胸がズキズキする感覚が、
私にはまだ分からないままだった。
「先輩。」
ーーー
ぬるいような冷水?
fin
翌日、私はいつも通りに登校した。
下駄箱に靴を入れ、上履きに変えた時。
「あ…千代華ちゃん!」「おはよう、ちよかっち、」
「……、あ、おはよう!夢ちゃん、梨花ちゃん」
同じクラスの瀬戸里梨花ちゃんと亜城夢ちゃん。宿泊体験の時にすっごく親切にしてくれた美女さんたちだ。
でも急に話しかけてくるなんて、どうしたんだろう?
いや、話しかけられるのが嫌とかそう言うのじゃないんだけど……
「おはようっ、急でごめんなんだけど……」
夢ちゃんが、私に淡いピンクの洋封筒を渡してきた。
「これ、私に…?」
そう聞くと
「私じゃなくてね、……」「確か、美園先輩?だっけな、なんかねー、『これを羽瀬来千代華にに渡してくれ』って、言われたんだ」
「…みその…せんぱい?」
「そう、美園先輩……?美園先輩だよね夢。」
「うん、美園先輩だよ」
失礼だけど………
「美園先輩……って、誰だっけ…?」
「えっとねー、確か、生徒会長さんのファンクラブ長じゃなかったっけ?」
「そうそう!美園先輩って確か小さい商品会社の社長令嬢?じゃなかったかな」
「……あぁ……あの美園家の……」
とりあえず開けてみよう
内容は………
ーーー
放課後1人で生徒会室に来い。
ーーー
その一文だった。
「わ……なにこれ、、命令文とかひど。しかも一文だし。千代華っち私ついてこーか?」
……、これどう言うことなの?
「よくわかんないけど巻き込みたくないし…大丈夫!」
「………、なんか困ったことあったら言ってね!」
「たすけるからね!」
「……!2人ともありがとうっ…!」
それにしても……やだな、
迷惑はかけたくないし……穏便に済まそう。
後から登校してきた、優ちゃんたちにも何も言わないでいた。
☆
☆
☆
昼休み
「千代華。今日俺仕事あるから、先帰ってて」
「あ、はい!私も予定あるのでっ…」
「男じゃないよね?」
「ち、違うもんっ…」「女?なら言えるんじゃないの」
「……、先輩は知らなくていいのっ」
「なにそれ、傷つく」
私の唇に軽くキスを落とす。
「へっ……、あ、あのっ…ん、…っ」
キスをちゅ、ちゅ…と、連続で落とす先輩。
キスすぐする…かるいなぁ…
されすぎてもうわかんなくなっちゃった。
抵抗する意味も。
「一緒に帰れないから補充してんの、」
………てか、先輩が仕事って…珍しい。家で全部済ますか、朝全部やるって言ってるのに
嫌な…予感する。偶然…だよね、
嫌な予感がするけれど、……まぁ、いっか
私は考えを押し込んでキスをされ続けた。
「…、あ、今俺以外考えてたでしょ」
「へっ…?」
「キスこんなんじゃたりなくなっちゃった?」
「ちょ、ちがっ…」
そうして、甘い昼休みを過ごしたのでしたっ
湊side
6校時目。
もうそろそろ放課後。
俺にはやらなきゃ行けない仕事…というか接待がある。
千代華とは帰れない。
あいつ…、俺が四月一日だからって絡んできやがって……
まじ、最悪。
これでまた、千代華が危ない目にあったら俺は千代華と付き合ってる資格……
いや黒く考えちゃだめだ。
でも何だろうか……
胸騒ぎがさっきから止まない。
ーーー
湊side fin
千代華side
がららら……
係の仕事終わったしいこうっ!
「…ちょこ?どこ行くのー?」
「んー、ちょっと行きたいとこあって!みんな先帰ってて大丈夫だよ!」
「?わかった!浩介くん、行こ!」
「うん、千代華ちゃんまたね、」「またね!」「うんまたね!」
私は朝貰った……っていうか渡された?手紙をポケットの中に入れて、廊下を歩き始めた。
えーと……生徒会室は…こっち?だよね
昇降口と真反対のほうだもん!
まぁ、と言っても…全部、教室まだ覚えられてないんだけど……
誰もいない廊下を淡々と進む。
その中でも、女の子の高い笑い声のようなのが聞こえた。
「………〜〜くんったらぁ……つれないっ」
「はぁ……うるさい、声。」
生徒会室の方?かな、声が聞こえる。
声的に、2人……かな。
女の人なのは……美園先輩…かな?
もう1人って……
「湊…先輩っ?」
いや、気のせいだよね。あんな声低く…ないし、、
仕事するって言って……………
でも、それって生徒会し、つじゃ
嫌な……予感がする。
心臓がドクドクと変な高鳴り。
「し、失礼……しまーす」
そう言っても中から返事はない。
ドアノブに手をかけ開く。
中を見ると異様に豪華な絨毯。
わぁ……きれ
「もぉ、湊くんたら照れないのっ…」
い、
っ……み、な……と?
高級そうな赤い絨毯を辿る。
少し怖くて、壁に隠れながら中を覗き込む。
私……何、隠れてんだろ
目の前の事実を、認めなくなかった、みたい。
「湊くん、だぁーいすきだよっ……!」
多分、美園先輩。
湊先輩の膝に乗っかって…
キス……してた。
早く帰りたい。のに衝撃で足がすくんで動かない。
やだ、やだ、やだ,
そこで美園先輩が私に気付いたみたい。
彼女は余裕そうにふっと、笑って先輩の首に手を回し頬にリップ音をたてキスをした。
そうだ。彼女は私に見せつけているんだ。
「おい、やめろよ…リップついたし」
「えーだってぇ、ちゃんと拒否しないんだもぉん
ほら、さわってよぉ」
美園先輩の手が先輩の手を引っ張り胸を触らせる。
「ひゃん」「きも…」
「え〜?お子ちゃま彼女より色気も胸もあって最高でしょ〜?照れ屋さんなんだからっ」
「はいはい、その色気で他の男誘えば」
何で先輩は嫌なのにちゃんと拒否しないのっ?
美園先輩が彼女な訳じゃないのにっ…!
見たくないのにっ………!
私はその場から逃げ出して走った。
やだよっ……、
「………は?え、千代華?」
「んー?誰か来てたのぉー?」
「いつまでくっついてるつもり?さっさと離れろよ、
取引終了にすんぞ」
「…えー?やめてよぉてか、さっさと千代華チャン?だっけぇ?別れなよぉ〜…、つまんない子じゃん」
「は?」
「乱入してこなかったしぃーあの子湊くんに本気じゃないんでしょお?ね?み、な、と。」
「……お前が仕組んだのか」
そう話してるのも聞かずに
☆☆☆
「………っ、ふっ………うっ…」
無惨な泣き声が廊下に響く。
やだっ…………やだやたやだっ……
何で……っ、先輩は私の彼氏じゃないのっ……?
思わずうずくまる。
あ……れ、足音がする。
「何してんの、」
この声、
「っ……たかなし、くっ……うぁ…」
「………おっと、ほらおいで、」
「……っう〜ゔぁ……やだっ……」
「何が嫌なの」
私が嫌なこと……、何で泣いてるか……
「……っ、、せんぱいがっ……、他の女の子とキス……してたっ……こと、」
「…………」
小鳥遊くんは少し苦笑いをして私のことを軽く抱きしめた。
「はいはーい。そんなサイテー会長今いませーん」
ポンポンと背中を軽く叩いてさすってくれる。
私は、慰められるまま、小鳥遊くんに身を任せて泣く。
「………千代華。泣きながらでいいから聞いて」
「う、ん」
「俺、千代華のこと好きなんだ」
「……、私も小鳥遊くん頼りになるし好きだよ…?」
どうしたんだろう…慰めてくれてるのかな……
「俺、恋愛感情として千代華のこと好きだよ。」
「………っ……」
や………だ。このままだと、小鳥遊くんの優しさに甘えちゃう。
「……ごめんな、さいっ……!」
思いつく言葉はそれしかなかった。
「まぁそうだよね……、キスしてるとこみて傷ついてんだもんね」
そう……だ。
私先輩のこと……すき……なんだ。
先輩は私のこと嫌わないっ……て、思って…うぬぼれてたんだ……
先輩私なんかよりあの人がっ……いいんでしょ…
私自信ないよっ……、
「大丈夫だよ。千代華。会長千代華のこと大好きだから」
「……そう、かなぁ……」
「うん大丈夫。もし振られたら俺のほうおいで?」
「………、もう、逃げないっ……と、思う」
「あはは、思うなんだねー………逞しくなった?」
もう……私、怖くないもんっ……
ちょっと嘘かもだけど……
「………千代華?」
聞いたことない低い声が私に声をかけている。
「湊先ぱ、、い」
会いたくてたまらなかったけど、会いたくない人が私の背中側で冷たい視線を送っていた。
「2人で……何してんの?」
しょっぱい涙が一滴頬を伝った。
ーーー
しょっぱい涙
fin
塩チョコは涙出るうまさ
fin
ーーー
第4章
ボンボンショコラは大人な刺激
ーーー
「千代華?聞こえてんでしょ、なんで2人でいんの」
いつもより冷たいその声にびくりと肩を震わせる。
「かいちょー?かいちょーはなにしてた?」
「……、仕事だけど、」
美園先輩といたくせに…
「へぇー……、女と遊ぶって言う?」
「はぁ……?お前知ってんだろ、俺の代わりにしてくれんの?」
「しらないし、やですね。好きな子を不安にさせるとか無理だし、傷つけたらやじゃないですか。俺は会長じゃないんで。」
小鳥遊くん何言って……
先輩は一度、はぁ……と、ため息をついて話し始めた。
先輩今どう言う顔してるんだろ。
「………何がいいたい。俺が千代華傷つけてるとでも?」
「……千代華の顔見てもその言葉言えんのかよ、」
小鳥遊くんはすごく低い声を出し言った。
先輩は、しゃがんだんだろう。先輩の膝が見えた。
「……、ん、こっち向いて千代……か……って」
後ろを振り向かされた瞬間、言葉が出なくなる先輩。
「……ほら、わかったでしょ」
「……っ、何で泣いて」
「会長がきずつけたんだよ、」
小鳥遊くんに肩を組まれ胸のほうに寄せられる。
「千代華、先輩が女とキスしてるとこ見たんでしょ」
「………っ」
私は下に俯きながらコクン、と頷いた。
「あ゛ー千代華ちがう、勘違いしてる」
「………っ、あれを見て何勘違いしないと思うんですかっ……?リップほっぺについてますしっ……!」
「……っ、あ。」
ほら、心当たりがあるからそうやって拭えるんでしょ?
「もう……、やだ……っ、」
逃げないって決めたはずなのに…、
やっぱ……無理だ。
「せ、先輩なんてもうっ……」
「……っ、知らないっ……!!」
「……、頭冷やせっていったよね、会長。」
わかんないくらい走った。
廊下には、誰も拭ってくれない涙がポタポタと溢れるだけ。
でも、いつのまにか私は泣き疲れて寝てた。
スマホの通知なんて全部無視して。
☆☆☆
朝ごはんまともに食べれなかった。
頭ズキズキする、痛い……
フラフラと、下駄箱に靴を入れる。
「……ちよかっち?大丈夫?」「千代華ちゃん…!」
「あ、夢ちゃん……、梨花ちゃん…おはようっ」
「おはよう……って、目赤いし、フラフラしてるじゃん!大丈夫なの?」
「あー、多分?」
「千代華ちゃん…!あの、……これ!」
「……ん、どうかしたの?夢ちゃん。」
スマホを見せてくる夢ちゃん、
えーと……新聞部?
あー、新聞部のサイト……の投稿で
って……え?
「何で……これ、が、」
宿泊体験の時、朝日くんに抱きしめられた時の……
写真……、
「……あははー!」
前の方から、女の子たちが歩いてくる。
「やっぱ羽瀬来さんあそんでたんだぁー可愛い顔してビッチじゃーん、」
「うっわ、汚い女がなんで湊様と付き合えたんだろーねぇー?」
「気の迷いよ!美園先輩が引き剥がしてくれるしぃ」
………っ、
わざとらしい大きな声で私に言ってる。
違う、のに、
どうしよ、うっ……
あれ、美園先輩……っ、
「アンタ、湊いらないんでしょぉ?邪魔だから、そっちと付き合いなさいよ」
私にすれ違い様に耳打ちしてさっきの女の子たちみたいに笑っていってしまった。
「千代華…」
後ろに朝日くんがいた。
………っ、
ねぇ、違うって言ってよ…朝日くん。
そんな気まずそうな顔しないでさ。
「千代華ちゃん……、聖くんと付き合ってるの?」
心配そうな顔をして聞いてくる夢ちゃん。
「ち、違っ……、私先輩のことがっ……、」
どうしよう。私が今ここでこんなこと言ったって、
火に油を注ぐようなことになるんじゃ………
「…………っ、」
しかも…
《アンタ、湊いらないんでしょぉ?》
さっき言われた言葉がぐるぐる頭を回る。
あの時は気づいてなかっただけでっ……!勇気がなかっただけでっ………!
私は先輩のことが好き……なのにっ……!
「……っ、ごめんなさ……ぃっ……、」
私は注目から外されるところに行きたくて、ひたすら遠いところに逃げる。
好きなのに……っ、私が……全部全部っ……
逃げてばっかだからっ……
涙が昨日みたいにポロポロ流れる。
周りは噂する声が飛び交う。
私、どうすればいいのっ……?
ドンっ……、
「きゃっ……!」
いたた……
誰かとぶつかっちゃった…
「ごめんなさ……」
え………っ、
「千代華。」
湊、先輩……
まさかこの人とぶつかる…なんて、
先輩は昨日の冷めた目とは違くて………、
かな、しんでる……?
「ねぇ……、千代華。俺の彼女じゃなかったの?」
じゃあ……私はいつからせんぱいの彼女じゃなかったの……?
そういいたいのを抑える。
「先ぱ……っ、「じゃ、」
行かないで……っ、
喉まで声が出てるはずなのに、いざと言う時何も出ない。
やだっ……先輩っ……
「先輩っ……、、い、…ないでっ…!」
「………」
いっちゃやだよっ…!!
「バイバイ。」
先輩はそれだけ言ってどこかへいってしまった。
私には縋り付く力がなかった、みたい。
先輩……また、美園先輩のとこ……いくのっ?
「っつう、あ〜っ……ふっ、」
もうやだよ……、
「千代華っ………!!」
優ちゃん……、
珍しくあだ名じゃないんだね。
「優…………っ、私……どうすれ……ばっ……」
「わわわ、泣かないでぇ〜〜っ……!!話、聞く!きくからぁ〜っ……!」
私は優ちゃんに、背中をさすられながら一時間目をサボった。
☆
☆
☆
「ふむふむー…、まぁ、素直になんない千代華も悪いように感じるけど………まぁ、はい」
「ゔっ……、」
「かいちょーもかいちょーよ!何で千代華という彼女がいながら他の女とっ…!やっぱ裏があると思ったの…、やっぱクズはクズなのねっ……!!」
ッチ、と舌打ちする優ちゃんは、私が見る限りでは一番怒っていて……
普通に…怖いですなぁ、
バンっ!
「はいはーい、ちゅうもーく。」
「「???」」
た、小鳥遊くんっ……!
「小鳥遊くんじゃん? ちょーどいいわぁ、会長のことと、今のクラスの状況を教えてくれないかしら」
と優ちゃん。
「うんうん、いいよー!それと、君の彼氏浩介くんだっけ?心配してたよ。」
「浩介くん優しい……!あとでちゃんと挨拶いこーっと、まぁ今は千代華が優先だけど、」
優ちゃん……っ、ううっ……涙もんよ……、これ
「まぁまぁ、じゃ教えるかねー、会長のこと……」
「座ったら?」
「どーも、」
私の隣に小鳥遊くんが近距離で座る。
「「…………」」
まぁ……いっか、、
「はいはーい、なんで会長は美園るりのといたの?」
「んーと、家。まぁ、もう庶民もどりだろーけど、」
ど、どういうこと?
「ちゃんと説明してー」
「はいはい、。美園グループは、小さい会社だっての知ってるよね、」
「うん、」
「るりのは、社長である父に四月一日家に見初められるよう言われたんだろうな、んで途中で普通に惚れたんじゃないかと」
「がちか……」
だから、彼女である…私が狙われたんだ。
引き離すために。
「まぁ、だから彼女いんの知りながらあんな事完璧と言われる跡継ぎにしたんだからまぁ、家ごと潰れんだろうな、取引終了ーってこと、ざまぁ」
「……あははっ……、いい気味だわぁ……」
優ちゃんがさっきから怖くなってない…?
「千代華。」
小鳥遊くんが真剣な目で聞いてくる。
「なぁに?」
「千代華が今すべき事は?」
それ、は…誤解をとくためにも……
本心を伝えるためにも……
「先輩に告白……して、話…する」
「そうそう、それそれ」
「そ、う、な、る、と……」
「?」
優ちゃんどうしたんだろ?
「千代華、千代華に思い伝えてくれた人いるよ?」
「あっ、朝日くんの告白の返事……」
「やっぱ告白されてたのか」
曖昧な関係ずっと続けるのは良くない…か、
それに私が終わらせなきゃいけないことだし。
「じゃあ…、善は急げ…ね!」
「……んっ!?」
「今日実行しなきゃ、いつやるの!逃げないって決めたんでしょ…!!噂が薄いうちにやんなきゃ…!」
「そーだね、」
逃げない…
唾を1度ゴクリと飲んで
「……わかった、やる。」
そう返事した。
さっきまでの私なんてどこに行ったか分からない。
先輩……待ってて……
振り回してたのは私の方だった。
早く……先輩に会いたいです。
ーーー
恋に酔う
fin
色々話してから、行きたくないけど教室に戻った。
普通に開けたはずなのに、みんなには大きく音を立てて扉を開けてたように聞こえるみたい。
「……」
ザワザワしていたのが一変。
自習……だったみたい。
女の子が声を上げる。
「ねぇっ!羽瀬来さん。」
「……はい、」
「男と一緒に遊んで楽しかった?」
私のことを下に見るように、ニヤリと笑った。
「……っ」
予想してたけど、やっぱ…きついな、
でも逃げちゃダメ、私。
「千代華……」
朝日くん……
言うなら、今じゃない…の?
言わなきゃ……
「朝日……くん、」
「…うん、」
周りのみんなは黙って聞いてる。
中にはスマホを出して動画を撮っている人だっている。
「……、告白してくれて嬉しかった……」
「…うん、」
「……けど、ごめんなさい……、朝日くんとは付き合えません。」
「…うん、」
「朝日くんのこと、恋愛感情として見れない。」
「……」
「こんな形で返事して……ごめんなさい。」
「……もう、だいじょぶ。」
私の頭をポンと撫でて、力なく笑って黙った朝日くん。
「少しでも意識してくれた?」
「…う、ん」「ならいいや、ちゃんと伝えろよ会長に」
「うん、」
「言っとくけど、フったからって俺のこと避けたら許さねーぞ」
私の髪の毛をくしゃくしゃっとする朝日くん。
「む、……しないし、髪ぐちゃぐちゃじゃん!」
「なんか信じれねーな」「うるさいなぁっ」
少し笑みが溢れる。
……………、ん?待てよ今周りに人いるじゃん?やばい空気で…
「はいはーい!千代華と聖の友人Yとして言わせていただきますがー、出回ってる写真。聖が好きすぎたあまりに抱きしめてしまっただけであって、千代華には別に好きな人がいるので勘違い訂正しといて〜。あと……千代華のアンチ……、
もし勘違いを訂正しないんだったら…………お前らのはじゅかしーい情報全部流してやんよ?」
優ちゃん………ありがたいけどすっごく怖いよ……?
浩介くんは、ニコニコの笑顔で愛おしそうに見てるけど…周り、わたしにすっごく親切にしてくれた人以外?顔青ざめてるもん………
「んぁ?なんだぁ?この騒ぎは」
先生が勢いよく扉を開けて言う。
「……ごめんなさい。羽瀬来ちゃん」
席の戻る人で、私に通りがかりに謝る人たち。
……結局みんな優しい、じゃん、
まぁ、噂なんて…そんなもんなのか
そんなことを思いながら、優ちゃんに駆け寄る。
「優ちゃん!」「あれ、呼び捨てそういえば消えたなぁ」
「千代華!よくやった!」「ありがとうっ…、優!」
そうやって私はぎゅっと彼女を抱きしめた。
でも……、まだ私にはやんなきゃいけないことがある。
先輩、今度こそ私はあなたに想いを伝えます。
☆☆☆
放課後
「……っ、はぁ、…はぁ…」
昨日ぶり、何だよね。
すごく今の時間までの
『今日会長に、持ち出し禁止の生徒会PCに仕事入れて生徒会室にいさせるから、放課後になったらいきな』
生徒会室……小鳥遊くんが言ってることがあってるなら…いるはずだっ……
また……、美園さん…いるの、かな…
ごくりと唾を飲む、
喉にすうっと冷たい空気が通ったまま、ドアノブを掴んだ。
だ……大丈夫。
「……ふー……、」
深呼吸を一回してから、ドアノブを回す。
ガチャ……
「………、失礼します!」
少し声が震えながらもはっきりそう口にした。
返事……なんもない。
重い足を一生懸命動かす。
先輩いる……?本当に。
赤い絨毯が終わった時。胸がすごくどくどくとなるのを感じながら一歩を踏み出した。
「…………っえ?」
予想とは、期待を裏切るものなのか。
久しぶりにそう思った
先輩……いない。
先輩が座るであろうデスクを見た。
………、、これ、PC借り出し書だ。
……あはは、なに思ってたんだろ。先輩がわざわざここでするわけない……か、
涙がじわじわこみ上げてくるのを我慢して、窓を見た。
「……はぁ、、……っ」
息を一気に吐いて気づく。
………、あれ…
先輩の家の……車。
「……っ、行かなきゃ。」
私は生徒会室から飛び出す。
先輩……きっと…まだいる……っ!
昇降口までの廊下を走る。
見えた誰かの背中。先輩の髪色、髪型だ。
「……っ……、湊先ぱ、いっ……!!」
走りながら、大声で名前を呼ぶ。
「………は?」
振り返ろうとする先輩の顔はすごく驚いてた。
私はその驚いた先輩の体に抱きついた。
力強く、ぎゅっと、…離れないように。
「先輩っ…、」
「……何で」
冷たい声色。きっと顔もすごく怖い表情で、冷たい視線を送るんだろう。
でも、拒否しない。
私はそれが嬉しくて、また力を込めた。
きっと先輩には敵わないけれど。
「……っ、湊先輩に会いたくって……」
「………へぇ、何のために?」
先輩の声色はずっと同じで、低く威圧的だ。
私の好きな先輩は冷たい先輩じゃないよっ……、
「せ、先輩、わたしっ……」
逃げててごめんなさい。って言おうと思った。
けどそれをさえぎったのは、先輩じゃない
誰かの声だった。
「あれ?失敗した?変なとこ感良いんだね千代華」
………えっ……?
「空……?」
「小鳥遊、くんっ…?」
何で小鳥遊くんが…ここのに?
それに、失敗って……、
「これで、悲しんで壊れそうな千代華につけ入ろうとしたんだ、け、ど……、あはは、どういうこと?」
怖いくらいニコニコで私を見る小鳥遊くん。
私につけ入、る?
「朝日くんは、もう大丈夫でしょー?
あとは、悪い雰囲気の会長だけだ。それに、まだ覚悟決まってないんでしょ?会長。」
「……は、」
小鳥遊くんを睨み、私がくっ付く体をさっと隠した先輩。
どうゆう…ことで…
「千代華。俺と付き合って?そんな冷たくなんかしないし。ね、俺の方がいいよ、」
そう言って私に近づいて、湊先輩の隠す手をのけて、抱きつく手をあっけなく取り、小鳥遊くんの胸に飛び込む私。
っ……、
「小鳥遊く、やめ「空って呼ぶこと。」
「あ、…ぅ、空くん……」
「いいこー。」
空くんに気をとられ、先輩の顔がみられない。
私がはなしにきたのは、先輩なのに、
全部小鳥遊くんにのせられてる……っ、
「……おい、空。千代華から離れろ。」
「……っ、先輩」「…こら、こっち向いて、」
「ひゃ、」
先輩に私の名前を呼ばれて顔を向けるが、顎にてをのせられて、小鳥遊くんに持ってかれる。
……っ、は、恥ずかし……、
顔近っ……、
心無しか胸が苦しい。
でも、、いつもの先輩にドキドキするような感覚じゃない。
「空、離せって言ってんだろ、」
「はぁ…?千代華から全部話聞いてるし、湊くんからやったんだろ、今だって泣かせてんのは湊くんだろ」
頭が、痛い。
「………っ、」
「それに、前言ってたじゃん。ーー…を奪ったのは、
湊くん…ーーろ?ーー…、、ばんなきゃ、千代華は
こうじゃなーー…!!」
え……?小鳥遊くんなんて言ってるの。
何で、先輩に怒鳴ってるの…?
「……っ、」
何でそんなに悲しい顔をするの先輩……
私、そんな先輩…みたくないよ、
「……千代華っ…?」
どんどん青ざめていく先輩の姿を見ながら、
私の意識はプツリと切れた。
大好きな優しい声が私を心配している。
ただ、温かいものに包まれているような感覚だけがした。
☆☆☆
湊side
「えーと、寝不足と日頃の疲労が溜まりに溜まっちゃったのかもしれないわ。熱が結構高いから。
薬、起きたら飲ませてあげて。」
それだけ言って、職員室は会議に行った。
「「…………」」
一緒にきた空は、俺と同じように沈黙を流す。
「……、俺の告白千代華すぐ断ったんだ。」
廊下であったあの時、と小さく呟いた空。
「………」
「もう逃げないって言ったんだ。」
「……何から、」
「湊くんから。湊くんに気持ちちゃんと伝えるって言ったんだ。」
「………!」
「ちゃんと話聞かなかったでもあると思うんだけど?この熱。」
そう言って空は千代華の額を触る。
「ということで、ちゃんと話しなよ。湊くん」
湊くん……ね、
「あぁ…」
空は中学生になるまで、ただの一つ年下の幼馴染だった。小さい頃から、『湊くん!』って俺を走って追いかけてくるよな可愛い幼馴染だった。
でも俺は、中学生の時から必要最低限親友以外と話さなくなった。
同級生とばっかりつるんでいた。
正直、人間に千代華にしか好意はなかった。
「千代華……」
なぁ、千代華。俺のことを抱きしめた理由は何?
自分が振るから、最後の慰め?
少し息づかいが荒い千代華。
あつ……
「……せんぱ……ぃ、」
千代華に触れた俺の手をぎゅっと自分の手で握った。
「………どうしたの」
心なしか鼓動が速くなっている気がする。
「……はぁ、……わたし、……」
この先の言葉ね多分この後の関係が決まるんじゃないか…って、そう感覚で思って。
つばをグッと飲み込んで彼女の手を優しく握る。
「せんぱ……いのこと…」
大好きです。
俺はその場でしゃがみ込む。
フニャッと笑う顔。
この言葉は、昔にも聞いたことがある。
『湊くんっ…!大好きだよ!』
『うん、俺も千代華のこと好きだよ。大好き。必ず
迎えにいくね。』
幼い頃のただの口約束。
それが俺にとってすごく大事なものだった。
俺は、千代華もと一緒に過ごしたいなら何だってしたい。
まぁ、俺が今回避けたんだけど。
世界で一番愛してる千代華のために。
これが……この言葉が嘘でも、夢でもいい。
「、俺も千代華のこと大好きだよ。」
千代華のことずっと愛するって誓う。
そう誓いながら彼女の赤い唇に俺の唇を重ねた。
そうすると、
幼い頃の大好きな笑顔が見えた気がした。
ーーー
愛に溺れる
fin先輩が、好きって言ってくれて。キスをしてくれた。
きっと……、私の願望が夢になったんだろうけど、
☆☆☆
「………ん、」
あれ?私廊下で倒れ…て。
それから……うぅ…ん、記憶がない。
ガバッと体を起こす。
ここは……、車?
「ん、……千代華…?」
せ、先輩っ……?
そうだ!先輩の車だ…!
「……熱は、」
「ひゃっ……、冷たっ……、」
先輩の手がおでこに触れる。
私……熱…あったの…?
「千代華……」「………っはい、」
冷たさのない声のホッとする。
「俺、やっぱ無理だ。」
「……む、り?」
私と付き合い続けるのが本当に無理になった……ってこと?
やだ……っ、
先輩が……っ、先輩が私のこと…堕としたんじゃん……っ、
「千代華のこ「私…ふら、れるの?」
「は?」
「、もうやだ、なの?」
「違う」
私じゃ…、ダメ、なの。
「何考えてんのか知らないけど、振るつもりなんてないし、むしろ俺が振られるかもね。」
「…え」
「………」
ど、いう…ことで、
「…好きだ。千代華のこと好きだ。諦められない。」
「……っ、先輩っ……!!」
私は思い切り先輩に抱きついた。
涙が一筋頰に流れる。
「先輩っ……、先輩っ……、私も大好きです…!!」
「……ほんとに?離さないけど」
そんなの、答えは決まってる。
「ずっと……離さないでくださいっ…!!」
「……!」
私は彼の頰にキスをした。
「…っこら。」
「……ダメでしたか?」
「あー、はいはい……、キスそんなにしたいの。」
「…したいですっ…!!」
「……、素直も、素直でやばいな………」
顔を一瞬背ける先輩。
「……キス、……だめ?」
「ん゛……ぬ、違う、違う。ただ、ちょっと待ってね」
?先輩はスマホを操作してどこかに電話をかけ始めた。
……なんか話してる。
…何話してんだろ。
「……はい、それで……はい、ありがとうございます。」
《じゃ、またねー、湊くん。》
《はい、では。》
近くによって聞く。
なんか、電話してる人…女の人だよ、ね?
「………よし、今日さ…って、どうしたの、そんなに顔膨らませて。」
「………女の人の声したもん…」
私って結構やきもち焼きなのかな。
女の人と電話するだけでやだ。
重くて嫌われたら…どうしよう。
「……、かけたの千代華のお母さんだよ。」
「……へっ?」
わ、私のお母さんっ……??
「もしかして、やきもち?かわいーね」
そう言って、頭を撫でてくる。
「そうですよ、やきもちですっ…」
ふんっと、先輩に背を向ける。
「………っひゃ…」
うなじをぺろっと舐められる。
「………っ、?いたっ……」
か、噛まれたぁっ……!?
「よし、……これで、おっけ」
「な…な…………なっ……!?」
ぺろっと舌舐めずりする先輩。
うわ……ぁ、色気が溢れて……る、っ…!
「ん……?もっとしてほしい?」
はいとも言ってないのに、シャツのボタンに手をかける先輩。
ぷちっ……
「っ……ばしょ、かんがえてっ……」
私は先輩の手をばっと引き剥がす。
すぐさまボタンを戻し、襟を整える。
「………んー、あ、今日俺の家で泊まりね。」
不満そうにしていたのを一変。
急に笑顔で言いはじめる先輩。
「………へっ!?」
そんな笑顔で爆弾落としてきた!
「さっき、許可もらったから。」
さっき電話してた理由って……それっ…?
「だから、夜をぞーんぶんに楽しもうね」
「……っ!」
どうやら、私の好きになった人は、溺愛がすごいみたいです。
両思いになった夜は、いつもと違くてキラキラしてた。
☆☆☆
心をこめた 千代華の思い
fin
ーーー
第5章
ホットチョコレートの甘い囁き
ーーー
「ちょっ……、先輩っ!?ほ、本気っ…?」
「冗談だと思ってた?」
「っ……、そんな顔しないでくださいっ…!私が悪いことしてるみたいじゃないですかぁっ……!!」
心外……いや、ショック…というような感情をそのまま出す先輩。
そんな顔されても……そんなの無理っ……!
今の状況を説明すると、ベットで押し倒されて、
制服のシャツのボタンを外されそうになっているところ。
「…ん、リボン邪魔。」
「……っ、」
プチっと外して、リボンをくわえわたしにリボンを見せる先輩。
体に乗っかられてるような体制だから先輩の顔が暗く見えて。
赤い目が狼みたいに光ってる。
別人に、見える。
「…ん、なんか言いたいことあるなら良いなよ。」
「あ……う……っ」
「先輩っ……も、むりぃっ……恥ずかしい……っ!」
「ん、ダイジョーブダイジョーブ。」
そう言いながらプチっとボタンを外す先輩。
逃げることもできないしっ……、
次胸のとこ見えちゃ……っ
「っ〜〜!!やぁ、っ先輩っ〜〜…っ!」
「ん、俺やなの?」
ボタンを直前で止められ、私の目を見てくる先輩。
「やっ……、」「じゃ、…別れたい?」
「へっ……?」
「ん、もう一度?俺のことやなら別れる?」
「それは違うもんっ……!!」「だって俺がや、って言ったじゃん」
せ、先輩っ、いま口角ちょっと上がったっ…!!
わざとだっ……
「先輩、いじわる〜っ……」
「それは前から知ってるじゃん。今更?」
ううっ………、それは確かに?
「はいはい、じゃボタン外すのはやめてあげる。」
顔にてを添えられて口付けをかわす。
噛み付くようなキス。
く、くるしいっ……!
「せ、んぱいっ…、も、むりれすっ……」
「喋れてないよー」
いつもよりやっぱ意地悪だよっ…!
「あの……せんぱいっ………、聞きたいことがあるんですっ……」
先輩と付き合えて、幸せだし、小鳥遊くんにああ言われだけど
やっぱり気になるんだ。
「……ん、」
「美園先輩とは何もないんですよねっ……?」
「美園………、あぁ美園、あいつか…」
最初は何?というように顔を傾げていたけれどすぐに思い出したみたい。
「先輩……キス、してた……」
「…………あー、ごめんて……、されると思ってなくて」
目を逸らし、髪をグジャッとする先輩。
「美園先輩から、その…、手紙で生徒会室に来いって言われて…っ、」
「あ゛ー、最後まで口割らんかったけど、そゆこと。だからいたんだ?あそこに噂で2人でいるって聞いたわけじゃなくて。」
「……え?いたの知って……?」
「ほら、このツインテールが見えたの。」
私の髪をくるくるといじる先輩
「………」
「ふーん、嫉妬?」
「………」
「黙秘は、肯定ってことで受け取るけど?」
「…………」
「かわいーなぁ」
頭を優しく撫でてくる。
「…先輩、可愛いの言い過ぎは軽くなりますよっ」
わたしは黙秘を外しそう言った。
可愛いって言われるの、嬉しいけど
爆発しちゃいそうなくらい恥ずかしいのっ……
あんましてほしくないっ……という意味を込めていったんだけど……
「へー…、可愛いって言われるの俺ならやなんだー…」
……、誤解してるしっ……!
「そうじゃなくって……っ!」
「じゃあ、何がそうじゃないの?教えてよ」
あー……、これでまんまとはめられたって……わけ…
「………、先輩に、言われると…ドキドキして爆発しちゃ、いそうになって…
だから、やめてくださ…いっ‼︎」
「へー、そんなかわいー理由なの。かわいーかわいー」
言ったそばからぁ……っ、
顔の熱がみるみる上がっていく感覚が……するっ……
また熱出そう……っ
「……今日、疲れたでしょ?もう寝る?」
なんでこんなにすぐに、察してくれるんだろう……っ
柔らかい笑みで私の頬を撫でる。
「ほら、おいで」
「………っ」
私は誘われるがまま、先輩の腕の中に飛び込む。
わたしはどこまでこの人に堕ちてるんだろ、
ぎゅっとされた温もりにおちる。
「……はい、よくできたね」
おでこに軽いキスをしてくる。
「言い忘れてたけど、髪を下ろしてるのもかわいーよね千代華。」
「……、」
眠い……、先輩がまた変なこと言ってる…?
「はい。おやすみ…」
そう言って、私の唇にそっとキスを落とされた。
***
湊side
はぁぁ………、やっぱ寝顔もさいっっこうに可愛い。
キスしたい………。
すれ違ったのはたった数時間だけれど、俺はそれでも辛かった。
だから、倒れた時はもし会えなくなったら……とか重く考えすぎて…
壊れるかと思った、
昔の事はまだ思い出さないで………
まだ……、せめて俺が卒業するまで。
すぅすぅ、と寝息が聞こえる。
理性保つのって得意だと思ったけど、意外ときっつい……
そっと彼女の頭を撫でながら考えた。
「………んー……、先輩っ……すきぃ……」
可愛すぎる俺の彼女。
ふにゃっと笑う千代華を1度抱きしめてから、少し離れて眠りについた。
湊side end
「………ん、………ふ、…ぁ、」
朝だー……起きなきゃー…、学校だー…
「おはよ、千代華」
甘い少しかすれた声が上から聞こえる。
今、どういう状況……?
「いやー……、1回ギュッてしてから寝ようって思って抱きしめたら俺が寝てる間に抱きしめてたらしくさー、…って千代華?」
「ひ、………え、」
恥ずかしい、なんと言ったらいいのだろう。
忘れてた、、私寝る時抱きつく癖があった…
「顔、あっか……、」
「っ……、うぅ、っ……」
「だーめ、目逸らさんでよ」
やだよ……恥ずかしいっ、、
「………く、」
「く?」
「癖で、………その抱きついちゃうの…っ」
「ふーん……かわいー癖だね?理由は?」
り、理由まで聞いてくるなんて……っ
いや、ちょっと話しずらいなっ…
「えっと……あの、……」
「……んー、尚大?」
ナオヒロ
えっ……なんで、知ってるの?
尚大とは私の1つ歳上のお兄ちゃん。
お兄ちゃんは、超がつくほどのシスコン。
「で、尚大が…なに?」
「えと……、あの、昔、病院で寝るのが怖かった時にお兄ちゃんが私が寝るまで抱っこしてくれてた、から……」
「…………」
「それで、ね寝起きとか寝てる時は…抱きついちゃう癖が…」
先輩なんか……拗ねてる?
「……えと、先輩……拗ねてる?」
「そーやって他の男にも抱きついたことあるわけ?」
ぷくっと頬を膨らます先輩。
か、かわ……
「千代華のばーか」
「……なっ…!?」
そう言って抱きしめる手を離し、私に背を向けた先輩。
勝手に拗ねてぇ……、、ふんっ
………っ、
「……先輩っ?」
「………」
無言貫きですか…
「キスしたいです…っ、」
「………やーだ」
勇気出して言ったのに、、
「やだはやだ…よ、」
そう言ってぎゅっと抱きつく。
「……なに、」
「なんで、怒るの…、キスも……
私のこと…………やなの、?」
「………は。」
「私先輩が別れるって言っても別れてやんないんだからっ……」
「……、」
なんで……なんも言ってくれないの、
「先輩、なんて…知らないもんっ」
私はベッドから出て、私服にも見える部屋着の上に長いカーデを羽織った。
「……、千代華、だめ。」
「知らない、」「こら、」
「…きゃ、」
腕をグイッと掴まれて先輩の腕の中。
「なに逃げてんだよ、」
「先輩無言なんだもん……っ、」
正直に答えた。
いや私もちょっと怒りすぎかなとは思ったけどさ……、
「尚大はまだいいとしてさ、……他の人にやったの?」
「あ、…えと2人だ…け、」
「誰?」
「優ちゃんと朝日くん、……です、」
「なんで、あいつなんだよ…」
「…なんか、いい、ましたか?」
「んーん、なにも」
「どうしてアサヒに抱きついちゃったの?」
「……っひ、」
太ももをさすられて反応してしまう。
「答えて、」
「保健室で寝てた時に、優ちゃんと朝日くんでお見舞い来てくれたんですけど、声が優ちゃんだから大丈夫かなって、気許しちゃって寝ぼけて、抱きつきました……」
あの時は優ちゃんにめっちゃ笑われた。
「優ちゃんはお泊まり会した時ですっ!」
「……へぇ………」
こころなしか、笑顔が黒く見える。
「抱きつくのはもう女友達とか家族だけだからね、」
「…………先輩は、?ダメなの?」
「……は、」
「…?」
「何その上目遣い、殺す気?」
「こ、殺す……!?」
「はぁ~……、とりあえず男には触らせないでね。」
「……先輩だから抱きつくんですもん…」
「………っ、そんなこと言ってアサヒに抱きついたくせに」
「その時は優ちゃんと勘違いしちゃっただけです、、先輩以外の男の子に抱きついたりしませんっ」
「……約束だからね、もし破ったら……」
「な、なんですか………?」
「……お楽しみで〜」「こ、こわいっ…」
ニヤリと笑う先輩にはもうさっきの冷たさなんてなかった。
これが私の好きな先輩だ。どんな先輩も好きだけどね、
「千代華のお望みのキスしよーよ」
「へ…さっきので充分で「俺がダメ」
そう言ってもらえて甘いキスの雨を降らす。
「あのっ……学校っ……!」
「聞いてないの?今日創立記念日ー」
「…………あ、わ、忘れてたっ……「ほらいくよー」
私はお姫様抱っこでベットに連れてかれ、甘い数時間を過ごした。
ーーー
情愛
END
「おめでとうー!」
家に戻ってきた後電話をすると、祝いに来てくれた優ちゃん。
「えへへ…っ優ちゃんありがとう」
少し笑ってそういった。
「てか中入って入ってーっ」
「おじゃましまーすっ!チョコの家久しぶりーっお泊まり会以来?」
「そーだねっ!」
確か卒業前のお泊まり会が最後なはず。
「相変わらず広いねー、はー」
「優ちゃん家の方が大きいでしょっ」
「まぁ、社長令嬢だしうちの方が贅沢に使うタイプだからねー」
「お父さんが大きすぎる家嫌いなんだって」
「へー、」
私たちは小さい頃にパーティーで会った。
それから仲良くなって今って感じ?
「社長令嬢だしね、、お互いこれから頑張ろ…」
「……う、はい」
私は、色々な事業を展開している会社の娘だ。
普通な生活をさせる社会勉強として、普通に過ごしていたけれどそろそろ勉強しないと……
成人でパーティーあるしっ
「今日チョコのお父さんお母さんはー?」
「ん、いるよー!書斎!」
「尚大先輩はー?」
「さっき家出てったんだっ」「そっか!」
「じゃ、挨拶したいから書斎行っていい?」「うんっ、行こう!」
優ちゃん家とは家同士で仲がいいんだ。だから私たちはすぐ仲良くなった。
だからお母さん達も優ちゃんのことを信用してる。
コンコンコンとノックしてから、
「失礼します。千代華です」
「どうぞ〜」
うわぉ、多分さっきまでイチャイチャしてたな、
「イチャイチャは仕事終わってからでしょーもうっ」
「…してねー、」
お父さんが言い訳のように呟く。
私の両親は、いわゆる恋愛結婚。
お母さんが病院の院長の長女で、お父さんが御曹司だったらしい。
で、お父さんがお嫁に入れたって言ってた。
「今日、優ちゃんが来てるんだーっ」
「ほんとだー、優ちゃんこんにちはー」
「こんにちはーっ、お久しぶりです!」
「久しぶりねーっゆっくりしていってね」
お母さんがにこにこで言う。
「はいっ!あ、そういえば報告があるんですけど……」
「どうしたの?」
うわっ……、お父さんのかっこよさが目立つ…
お母さんもお父さんも美人なのに私はどうしてその遺伝子を受け継がなかったの?
「あのですねーそこにいる千代華がー…」
もしかして、、先輩のこと話そうとしてる?
だったら私は黙っておこう、自分から話すのちょっと恥ずかしいし、
「彼氏が出来たんですよ」
「え」「…やっぱりねー、」
お父さんめっちゃ目見開いてるよ、、
お母さんは予想していたかのような反応を見せる、
なんか書斎の外から音が……
「千代華!彼氏出来ただって!??」
お、お兄ちゃん……!?
「落ち着いて尚大」
お母さんがすかさず指摘。
今跡継ぎだから勉強してるらしいもんね、
「そうか………、千代華が……」
「え、お父さんあからさまにショックしないでよ、、」
「千代華、千代華。彼氏の名前は?」
お母さんはやっぱり知ってるよね、昨日電話してたらしいし…
お兄ちゃんが目をキラキラにして名前を気にしてくる。
「………えと、四月一日湊………先輩、」
「……あの、四月一日のか…?」
お父さんはショックはどこかへ行ったみたい。けど、すごく驚いてる。
初めてこんなお父さんの表情変わってるの見たよ……
お兄ちゃんはちょっと悲しそうに笑ってたけど、すぐ怒り顔に変えて言った。
「……み、湊か……、あいつなんも言わずにアタックしやがったな……!!」
「ちょ、ちょっと待って……先輩知ってるの?お兄ちゃん」
「?知ってるぞ!昔のパーティで会って、今では親友だぞ」
そ、そうだったんだ……
「湊くんは雪くんの息子でしょう?」
「あぁ、雪の息子だ。」
せ、せつって誰?
「雪って言うのは俺の昔からの友人だよ」
お父さんが言う。
「え、えぇえ?」
私はよく分からなくて戸惑う。
まさかのみんな知ってる?
「あら〜?チョコ、これならすぐ結婚出来ちゃうんじゃなー「冷やかさないで優ちゃん……」
「でも、雪くんの息子で?あのスペックなら頼めるわ!」
お母さんまで……
「あー、雪?雪の家族とうちの家族でさー
あ、そうそう。じゃ、はい。またなー」
え?
「お、お父さんっ…?」
「いやー湊くんにはパーティーでしか会わないしちゃんと会ってみたかったんだ。尚大の友達だし、」
「湊の妹と気合うと思うぞ!千代華」
「先輩……妹いるんだ、」
私、知らないこといっぱいだ…
「ふふ、チョコもっと先輩のこと知りたいんだったら、これは大チャンスなんじゃない?」
「うっ……、たしか、に」
今度、色々聞いてみようかな、
と思っていたら、自分のスマホから音楽がなり始める。
「……あれ、湊先輩?」
「み、湊?俺も話したいわ…俺から電話かけると大体仕事してんだよ……だから全無視、、」
「い、いいけど、…とりあえず出るね」
私は震えるスマホを手に取り通話ボタンを押して、耳に当てた。
「もしもしっ」
《もしもし、千代華、今大丈夫?》
「あ、えと。今家族と優ちゃんに先輩のこと話してたんですっ」
《あ、そーなのか、……ん、じゃあ今度のの日曜さ、デートしよ、》
「へ……っ、あ、はい…!」
《じゃまたかけるね「ちょーっと待った先輩っ……!!」《…どした?》
「あの、お兄ちゃんが先輩と話したいことがあるっていって泣きそうです…」
《あー、じゃ後でかけてって言っといて。》
「は、はいっ!」
《ん、ありがと。大好き》
「へっ、《じゃ、またね》
ツーツーと、機械音がなる。
「……電話終わった?チョコ。……って
顔あっっか!!だいじょぶ!?」
「……う、ん」
「なーなー、湊なんて言ってた?」
「あ、お兄ちゃん……、電話お兄ちゃんがかけてだって…」
「!!よしかける!」
笑顔でかけて、書斎をそのまま出ていったお兄ちゃん。
「日曜デートですって?」
「え、」
「ちょっと聞いちゃったっ」
「じゃ、ご飯食べるの日曜の夜にするか」
わぉ、凄いスケジュール…だぁ、、
そう思いながらも、日が過ぎるのは早く
日曜日を迎えた。
「せ、先輩っ……!おまたせしましたっ」
「…ん、おはよ、千代華」
わぁ……っ、先輩かっこいいっ…
先輩は心配だからといって、駅前に集合するはずが迎えに来てくれたのだ。
そ、そんな弱くない…よ?私護身術習ってたし…けど……あの、きかなくて
「いつも可愛いけど……メイクしてる?」
「…!!は、はいっ!上手くないのでちょっとですけど……」
先輩に似合う女性になりたくて、メイクをちょこっとだけ始めた。
よく分からないからとりあえずプチプラコスメを最低限だけど
「じゃ、いこ。」「はいっ…!」
さりげなく手を絡めて、恋人繋ぎをしてくれるの……好き、だなぁ……
「……なーに、そんな見つめて。キス待ち?」
「……へっ?」
キス…!?ここで…!?
「ち、違いま……っ、」
先輩はそんな声もつゆしらず、
軽くキスをして唇をぺろっと舐めた。
「……っ、……う、」
「んー…あま、」
「……あ、ぅ……甘い……って、」
誰かに見られてたらどうするのっ……、、
「……だいじょーぶ、俺が千代華のキス後のかわいー顔見せるわけないもん」
「………?」
どーゆう事……?ま、いっかと呟いてから私の方を見る。
「てか、これ……グロス?なんか味する」
「………?わ、わかんないです…、お母さんに家出る直前に付けられて……、あっ
ポーチの中に入れられたかもっ…」
私はすぐポーチを取りだし、付けられたもののパッケージを探した。
私のコスメは全部無地だけど、入れられたやつはチェック柄が入ってたはずっ……!
あ、あっ…た、
けど
「…………、」
顔が真っ赤に染まっていく感覚。
lip gloss to apply before kissing.
キスする前につけるリップグロス。
そう書かれていた。
お母さんったらぁっ……!!
「千代華大丈夫そー?」
「ひ、ひぇ、」
赤く染った耳に囁かれる。
もっと恥ずかしい気分になるよ…
私は必死に顔を隠した。
「ちーよか、こっち向けー」
「うう……っ、ひゃ…っ、」
深くも浅くもないキスをされて、ゆっくり離れる唇。
「俺甘いの無理だけど、この甘いのならいける」
「……っ、」
なんか遠回しにつけさせようとしてるようなっ……!
「つけてあげるー」
「っ……ん、…、」
「はい、かーわい、」
「……うーーっ……、」
「照れちゃうのー?顔真っ赤っか」
ほっぺをもみもみとつまむ先輩。
「うるひゃいで……ふっ…!」
「嬉しーくせに」
「もうにゃまって……っ!」(黙って)
「わかった、」
「「……………」」
わ、ほんとに黙っちゃった……、
先輩はそっぽを向いて手も話しちゃった。
……や、
そうやって黙って欲しい訳じゃなくて、
言葉が足りない私が悪いか、
バカにしてくる先輩はやだ。だけど私のこと見てくれない先輩はもーっとやだよ、
すれ違ったあの時みたいに無視されてる感じがするから、
「……っ、意地悪嫌い……っ、」
言葉を間違えた。口下手な私がムカつくよ、
「…………」
「……せんぱいっ、こっちむいてっ……?」
そう言いながら先輩の手をぎゅっと掴む。
「……降参、スミマセンデシタ。」
「……それほんとに謝ってます?」
でも、いいや。これでこそいつもの先輩。
「そういや、今日食事すんだっけ?」
「は、はい!優ちゃんがお父さんに暴露しちゃって……その、急でごめんなさいっ」
「ううん、莉子さんは会ったことあるけど彼方さんは会ったことないから楽しみ。」
やっぱり、知ってるんだぁ……
「あの、お兄ちゃんって電話の時とかってあんな感じー…ですか?」
「あーうん、あいつ俺の事大好きだからさ
泣きつかれる感じか説教かみたいな
ま、塩対応な俺が悪いっちゃ悪いけど」
「……?先輩が、塩対応?いっつも甘くないですかっ?」
「千代華限定」
「そ、そーですかっ……」
さっきから、笑顔で見つめてくるよ…っ、
「せ、先輩……っ、」
「ん?」
「今日のデート楽しみましょうねっ…!」
「……うん、もちろん」
私たちは、駅へと向かった。
「すっ…ごぉい……!!綺麗っ…!」
「それなら良かった。」
今私たちのいるところは、最寄り駅から約20分程度のところにある海。
今日は晴れだからものすごく水面がキラキラしてて綺麗…!!(語彙力皆無…)
「千代華こーゆーとこ好きそーだと思って」
よ、よく分かっていらっしゃって……
「大好きです……っ!」
そう言って先輩の腕に抱きついた。
わ、ちょっと大胆だったかな……、、
「………、ちょっと離れよ「やですー、
あと私聞きたいことがあるんです。」
今日着てきた白いオフィショルワンピースが潮風に揺らされる。
「………なに?」「…先輩。」
入学式に感じた懐かしさ。
先輩が口にした昔。
それはどうしてもしっくりくるもので。
「先輩と私は……、
昔あったことがあって親しい関係だった。合ってますか…?」
「…………」
ずーっと…気になってた。話しそらされることもあったけどね、
「うん、そう。千代華と俺はよく遊んでた。」
やっぱりねー…思ったより、驚かないかも?
私が聞きたかったことは、
これだけじゃない。
「………なんでそんな昔のことなのに、私のことを…?」
私なんか……すぐ、……すぐに忘れちゃったのに、
「………、俺が初めて千代華と遊んだ時惚れたから。」
「……ほ、れた?」
「ポカンってしてる、あは。……昔、千代華のことを少しでも自分の力で幸せにしたい。千代華と恋がしたいって思ったから」
まぁ、千代華は覚えてなかったけどね。
そう言ってる先輩は笑ってたけど、少し苦しそうだった。…何でかわかんないけど。
恋……がした、い
『「千代華と幸せになってみたい」』
………そうだよ。
なんで、忘れてたんだろう……、
私はこれが初恋なんかじゃない。
ずー……っと、前から……、湊くんのこと
好きだったんだよ。
「………、私も湊くんと幸せに…なりたい」
「…………ふは、その感じだとちょっとは思い出したんだな」
「………今まで忘れててごめんね…っ、
大好きだよ……っ、」
少し驚いたような顔をしたけど、昔みたいな笑顔が見えた。
ーーー
「ねーね……っ、おにいちゃんっ!ちよかといっしょにあそんで……くれる?」
「………めんどくさい。」
「ちよか、おともだちみーんないなくなっちゃってね、ひとりなの……さみしいよ」
私は6歳だった。年長さんだったけど、親が忙しかったりお兄ちゃんが遊びに行ったりしてたせいでいつも1人だった。
遊ぶお友達だってすぐ帰っちゃうから。
だから年が近そうなベンチにただぼーっと座りながら勉強をしている男の子に声をかけた。
今思えばあの時の私は声をかけることくらい楽勝だったなぁ
「じゃ、お前も帰れば?」
「…………っ、おうち…だれもいないの……、ちよか……ひとりなの……、こわいよ………」
周りに人がずっといる生活だったから、1人なのが怖かった。寂しかった。
「……、俺と同じで1人か、」
「……?なんかいった…?おにいちゃん、き、きこえなかった……」
「何も言ってない。ほら遊ぶんだろ?」
「…!おにいちゃん遊んでくれるの……っ?」
「……お兄ちゃんじゃない、俺の名前湊」
「みなとくん!!わたしは、はせこちよかですっ…!」
「ふーん、じゃちよか何して遊ぶ?」
「んー…かくれんぼ!!」
「じゃ、俺隠れるから探せ」
「うんっ!わかった!」
昔はぶっきらぼうな感じで、甘い感じはあんまりなかった。
「行くよっ…!!」
公園を駆け回る。
「……み、みつかんなぁい……、どうしよ……っ、………って、ひゃっ……!?
わ、みなとくんっ……!!」
植木の茂みに隠れていて全然気づかなかった。
そしたらいつの間にかチャイムがなる。
「………あ、もう……かえらなきゃ…」
「……家の前まで一緒にいよう」
「……いいのっ?」「うん」
「ありがとうっ……!!」
ーーー
「……えっと…、みなとくんまたあそんで…くれる?」
「……っ、うん。遊ぼう」
「……!!やったぁ…っ、えへへ…」
それから毎週土曜日に遊ぶことになり、毎回遊んだ。
でもある日のこと。
「みなとくん、……こない」
いくら待っても来なかった。
初めて会ったあの日以来ずっと笑顔を見せてくれた湊くんが来なかった。
その事実に私は泣いてしまった。
「っ……、みなとく、…っ、うぇ、…」
その次の週もまたその次の週も来なくなっちゃった。
またねって言ってくれたのに、
「きょうもこなかった…。でもみなとくんにむかえにいくよっていったもん……だからわたしおりこうさんでまってる…もん」
そう思いながら忘れてしまった。
……って言うことなんだろう。
ーーー
「千代華大丈夫?」「……っはい!」
昔にひたっちゃったぁ……、
……なんだろう、モヤモヤする
まさかね、
「ね、先輩。私たちってほんとに入学式以来なんですか?」
「………さぁ、どうでしょう」
去年……だ、
うん、去年。
「先輩…、赤いストーンのピアス付けてましたか……?」
実は一時期の話だけど助けてくれた男の人を気になってた時期があった。
顔はフードで分からなかったけど、声は……似てた気がする。
と言っても私がわかるのはピアスをつけた男の人って言うことだけ。
違う……かな、
「つけて…たけど。どうして知ってんの?」
「…ふふっ」「なに?」
私どんだけ湊先輩のこと好きなの…?
「なんでもありませんっ、今度そのピアスつけたところ見たいですっ…!」
「いーけど…も、なに?教えてよ」
「…わたしだけが知っておきたいんです。秘密ですっ」
先輩私言いたいことがあります。
「先輩と出会えて、恋できて良かったです…っ」
「……!」
驚いた顔をする湊くん。ふっと笑って少し潤む瞳。
この時はまだ分からなかった。
まだ知らない先輩と大事な記憶があったことに。
………赤く光ったピアスの意味も。
私は………まだなんもわかっちゃいない。
ーーー
再び実感するEND
海に行ったあと、色んなところを回りいつの間にか夜になっていた。
「先輩って妹さんいるんですか…?」
「ん、今中3」
「わぁっ……い、一個下だっ…!?」
「なんか嬉しそーだね」
「私妹タイプだってずーっと言われてて……後輩にもからかわれることがよくあったんです……」
「へー……ちなみにからかった後輩後で
言いなよ。」
「……?は、はいっ」
「……まぁでも実際妹だし、妹タイプだよねー、うん……あー」
「ど、同感っ、みたいな声出さないでっ…」
「んー…でも、お姉ちゃんになれるんじゃない?」
「ほ、ほんとですかっ……って本物になりたいんですって私……っ、」
でも、ワガママだしお母さんに迷惑だし……うぅ、…あぅ……
「義理の姉じゃダメなの?」
「……、っ?……!!!」
け、結婚……ってこと…っ、??
いやいやいやいや、この話はもう終わり終わり。
そんな………先のこと。
「………わかんないよ、」
先輩の隣にはちがう女性がいるかもしれないし、私の隣は違う人かもしれない…
っ、ダメダメ!とりあえず今の私の隣は先輩なんだからっ、
「……千代華?いくよ」「……っ、はい!」
お母さん達にこんな顔見せられないっ
笑顔笑顔っ、
「えーと、このビルの最上階にある和食屋さんらしいですっ」「ん、おっけ」
ビルの案内図を見ながら私の頭を撫でる。
くすぐったい……
「あ、エレベーターきた。乗るよ」
「はいっ」
多分お母さん達もう来てるよね……!
「わ……っ、おしゃれだー……」
「完全個室らしいけど何番だって?」
「あ、12番室です…!」
高級そうな和紙で貼られた障子を、
恐る恐る開ける。
「失礼します……」
そこには既に6人が座っていた。
「お、遅れてすみませ「「ちょーーかわいいっ……!!きゃぁぁあ…!!」」
「………へ?」
「うるせ」
綺麗な女性と美人な女の子が、私の方に近づいてくる。
「あなたが湊の彼女で、莉子の娘ねっ…!湊に聞いてたのより遥上の可愛さだっっ……!!」
「え、えと……ありがとうござ?「おにーちゃんの彼女ちょーーかわいいっ…!!お兄ちゃんずるいよぉぉ!!」
え、えと……??
「母さん、菜奈落ち着け、千代華が驚いてる」
「ごめんなさいね…千代華ちゃん」
「ご、ごめんなさい…、、」
綺麗に微笑む女性がきっと先輩のお母さんだ。
すっごい若いなぁ……
で、このロングヘアを巻いてる女の子が
妹さんだよねっ…!!
「初めまして…、湊の母 四月一日冬花です。湊がお世話になってるわ」
「初めまして〜っ千代華さんっ。わたしは湊の妹 四月一日 菜奈ですっ!千代華さんの一個年下です!!」
「は、初めまして……っ、羽瀬来 千代華です…、湊くんとお付き合いさせて頂いてます……っ」
ふ、フレンドリーな人で良かった……っ
「おっと、俺もか。はじめまして、湊の父の四月一日 雪です。よろしくね」
「よろしくお願いしますっ……!」
わぁ、先輩はものすごくお父さん似なんだなぁ……、笑った顔が良く似てる。
「……」「わっ…?先輩?」
先輩の手が私の視線をさえぎった。
「父さんじゃなくて俺だけを見てて」
「……?」
「はは、家族にも嫉妬か?お前俺に似たなぁ、」
「似すぎて、千代華が心配になるの」
「俺には愛する"妻"がいるんで」
「見てらんないよ、お兄ちゃんたち」
「辞めて……雪くん」
「???」
な、なんの話しをしてるんだろう……
と、とりあえずお母さん達に話しかけて来よう……!!
わたしは先輩の手を取り、お母さん達の方へ向かった。
「お兄ちゃんも来てたの……っ!」
「うん、着いていきたいってうるさくてねー尚大ったら、」
「……どうなのお兄ちゃんそれ……」
「………き、緊張してる千代華も可愛いなぁ」
「う、うるさいよ……、、」
「いやいやいやいや!!千代華さんちょー可愛いですっ!子猫って言うかなんかすっごい小動物感が癒しですっ、あっ、!わたしのことは好きに呼んでくださいね!」
「しょ、小動物…?え、と、、菜奈ちゃんっ…!」
「……くぅ、、お兄ちゃんの彼女は勿体ないよぉ、今からでも私のところに「菜奈、余計なこと言うな」
「ひぃ、」
わぁ……先輩怒ってる……っ
「ねぇねぇ千代華ちゃんほんとに湊でいいの?迷惑かけるし、束縛激しいし、泣かせるわよ?絶対。千代華ちゃん悲しむことがあるかもしれないし、、ね…
雪くんに似てるから危ないかもだし」
「俺の事危ないと思ってたんだ」
「ほ、ホントのことじゃん」
「えぇ……と、」
ちょっと言うの恥ずかしいけど……、
「……わたし多分先輩以外好きになれないです……っ、どんな風に接せられても、結局好きだった自分がいるから……だいじょぶです!」
「……千代華、…好き」
「……っ……、わ、私も、です…」
「あらら千代華の顔真っ赤っか」
「相当の惚れ込みだな…、………」
「彼方、親バカだなぁ」
「雪あなたも結構な親バカ」
互いの両親が何か話していたようだが、私の耳には入って来なかった。
だが、ぎゅっとされた感覚がして耳が正常に戻った。
「……おい湊。千代華を独り占めするな〜〜俺の妹だぞ」
「いや、俺の彼女だから。」
「……何このラブラブカップル……っ、私にも分けてよ……」
「尚大お前支えてくれる可愛い彼女欲しいって言ってたよな。んで菜奈お前、尚大のこと…「お兄ちゃんっ??これ以上言ったら許さないよ?」
「え、菜奈って俺の事…」
「ち、違くて…尚大先輩っ…」
あれ、菜奈ちゃん顔真っ赤っか……。
「……後で、一緒に話そ。」「…っ、はい」
新しい恋の予感……?
お兄ちゃん頑張れ……!!!
「……と、とにかくっ…!」
「湊と千代華ちゃん!!おめでとう〜〜っ…!!」
私たちは1度目を見合せてから、
微笑んだ。
ーーー
祝福END
「先輩っ……!!」「ん、どしたー?」
「どしたー?じゃないですよっ……!!あ、あ、ぁあ、あさ!!
どうしてくれるんですかっ……!!!」
私は怒っていた。
先輩の身勝手な行動に、
「公の場でキスしただけでしょ」
「だけ……って、うぅ、女子の嫉妬の怖さを知ってますかせんぱぁぁい……」
この出来事は朝に遡る。
「おはよー、千代華。」「あ、あさひく
「噂のアサヒくんですかー、お前彼氏じゃないのに、キスマつけるって何様のつもり」
は、はやっ…噛みつきが早すぎる…!!
「えー、俺は……千代華が幸せそうにくっついてたから剥がしてやろー…って思っただけですよ、せ、ん、ぱ、い、?」
あ、朝日くん??
「ま、俺から離せるもんならやってみな」
「上等だ。……千代華泣かされたら俺のとこ来るんだよ」
「…………へ?えっと……よくわかんない…」
「「…………」」
2人は何で戦ってるの?
「やばーイケメン2人がかり美女取り合いしてるーめっちゃうけるww」
「ああーみんなの千代華ちゃんがー」
「朝日くんがんばー…勝ち目ないだろうけどさ」
そんな声が周りから聞こえてくる。
????
「あ、一応……虫除けしてこっか?」
「………?」
悩んでいるのも束の間。
ちゅっとリップ音が立てられたあと、
男女の叫び声が響く。
「……千代華に手だしたらどうなるか…
考えときなよ」
それだけ言い残して、先輩は自分のクラスへと向かった。
「お、おい、千代華?」
「………せ、、」「せ?」
「先輩のばかぁぁぁっ……!!!」
わたしはちょー絶に怒り今に至る。
「あの後、女子にどれだけ質問とやら……考えるだけで辛いですよ……」
私はううっ…とうめき声をもらす。、
「ごめんて、でもあれで男が近寄んなくなるでしょ?」
「朝日くんと芝くんは声掛けてくれた…けど、」
「なんて?」
「朝日くんは、さっさと忘れろって言ってて、芝くんは頑張れー千代華ちゃんって言ってた。」
「ふーん……芝の方がよっぽどいい方だな」「朝日くんは「無理あいつ」
そ、即答と言うより、食い気味だよ……せんぱい………
「先輩っ……、今日はどうするんですか?」
「んー、俺の部屋ー」
わたしの髪をクルクル遊びながら、髪にキスをする。
「着いた。いこ。」
「きゃ……っ、」
急に持ち上げられて悲鳴をあげる。
「ごめんごめん。びっくりした?」
「こ、怖いんですよっ…これ、」
「怖がってるのもかわいーね」
くすくす笑ってる先輩は、私をちっちゃい子供をあやすように扱う。
むーー……
「とにかくおろして……っ」
「はいはい……」
ゆっくりおろされ、立つ。
とその先には、
小鳥遊…くんだ、
「………あ、、……っと、」
「………」
「先輩小鳥遊くんとちょっと……話したい。」
「………、5分だけだよ」
「ありがとう……っ、
小鳥遊くん…、ちょっと話したいっ」
「……おう。」
そう言い、先輩からちょっと離れた、中庭で話し始めた。
★★★
「小鳥遊く「多分一目惚れ。教室に行った時かな。」
「……、」
「人の心がほぼない塩対応の会長が、千代華を堕ちさせるのが嫌だって思った。渡したくないって……思った」
力のない笑いを顔に浮かべる小鳥遊くん。
「で、少しでも近づけるように…、好感度をあげるために、相談に乗った。」
「………」
そっか……そういうことだったんだね
「…わたし、自分ためだとしても相談乗ってくれる小鳥遊くんに救われたよっ、
ありがとう。嬉しかったよ…!」
「………っ、俺まだ「はい、5分。約束は守って。」
「ひゃっ………」
腕をぐっと掴まれ、あっという間に先輩の腕の中。
え……っ?ほんとにご、5分っ?
「あ、千代華、泣かされたらこっち来なよたっぷり甘やかしてあげる。」
「は?空なんぞに渡すかよ」
「………?ありがとう……?」
「じゃ、」
そういう小鳥遊くんの顔は、悲しそうに笑っていて…でも、嬉しそうだった。
「………はぁ、」
「せんぱい…?どうかしましたか?」
「……、俺が離れた時にどっか攫われちゃいそうだなって」
「……!ふふっ…、私先輩から離れませんよ…?」
「何笑ってんの真面目ですけどー」
棒読みだなぁ、
「私先輩以外好きになる気力も、何も全部ありません。離れませんっ、私ずっーと先輩の隣にいますっ」
「……あ゛ー…かわい、」
「……?どうしたんですか…?」
「………ううん、なんでもない大好き。」
「ふ、……不意打ち禁止です……っ、でも
私も大好きです。」
「………かわいーー、、ほら俺の部屋いこっか」
「……っはい!」
わたしは先輩の手をとる。
「………空より、いーっぱい甘やかすし、
溺愛するから。」
「………っ、」
う、うひゃぁ……っ、
せ、先輩の声囁かれる感じでやられると反応しちゃうし……、こ、言葉が……っ、
「……ふふ、いこっか」「………っ、」
☆☆☆
「ひぁ、……うっ…」
首筋っ……無理ぃ……っ、
「もやぁ……っ、、」
「でも気持ちいいでしょ。」
「ふ、、あっ……」
自分のいいところを分かってるかのように触ってくる。
……っう、う
「せん、ぱ……っ、「…ん?どした」
「きす……しよ……っ、」
「………ほんとかわいーね、お前」
頭をスルッと撫でて、唇をのせる。
「……ん、……っう、…ん、」
酸素が……足りない……っつ、
「まだ、へばっちゃだめ。」
「………っひゃぁう…っ?」
舌が熱に割り込み入ってくる。
おかげで私の口に残っている空気は全てない。
頭が……ふわふわして、きた。
「ちーよか、ほらまだへばっちゃダメだってば」
足と足の間に足を入れられて、支えられるような形になった瞬間だった。
「ひぁ、ぅ…!?」
今まで持っていた熱がパッと弾けたような感覚がした。
「……?、……?」
「……キスそんな気持ちよかったんだー体ビクビクしてるよ?」
「………っふ、…え、」
ずっと残っている気持ちよさとは裏腹に、目頭が熱くなって涙が落ちる。
悲しい訳じゃない、のに、
「あー、泣いちゃった……ベット行こ。
腰抜けたでしょ」
「………っ、、ぅう……」
さっきから腰に力が入らない。
動けないよ………、、
先輩は軽々と私を持ち上げてベットに置いた。
「……っはぁ、……」
ベット楽だぁ………っ、
「ちよか、太もも見えてる。」
「……ひゃ、見ないで……っ、」
スカートだった……ばかばかばか…っ、
「んっ、」
「ここ弱いんだ?」
「………っ、やぅ、、触るのダメぇ……っ、嫌いになっちゃう、もんっ……」
「……あれ、さっきの言葉はどーしたの」
「……っう、ぅ、」
私ずっと先輩の彼女ですって言った……、言ったけどぉ……っ、
「い、意地悪しないで……っ?」
「意地悪じゃないー、これは愛。」
「うぅ~~~っ……、ひどいっ……、」
意地悪が愛だなんて信じません〜っ……
「まーでも、ちょっと意地悪しすぎた?」
「ちょっとじゃないです!」
「はいはい。じゃ、千代華の好きなチョコ食べよ?」
「ちょ、チョコ……っ!!」
そういえば思い出した、私のあだ名のもう1つの理由。
優ちゃんと初めて会った時、私がチョコをものすごく大事そうに食べてたから付けられたんだ。
「チョコ、そんなに好きなの?」って言われるくらいキラキラな目で食べてたらしい。
今では恥ずかしい思い出……
「チョコ、好きでしょ?」「はい!!だーいすきですっ……!」
「失礼します。菓子をお持ち致しました。」
「……わぁっ…!お菓子だ……っ、」
「チョコレートを主に揃えております。お楽しみくださいませ。」
………なんだろう。言葉に疲れを感じる。
「お姉さん……っ名前は?」
「わたくし、、…ですか?」
「はいっ…、綺麗な青い目をしてるお姉さんのことですっ、」
「………っ、」
綺麗なサファイヤみたいな青い目だなぁ、
素敵。
「私は、、花と申します。」
「花さんっ、!チョコ好きですか…?」
「……あ、えっと……」
「…チョコって、目とか疲れがスッキリする効果がちょっとあるんですよっ、
花さん声が疲れてる。これだけでも食べてくださいっ…!」
「………あ、ありがとう……、!ございます」
「……………、!私失礼なことしちゃいましたっ!?ごごごごめんない……」
「いえ、とても嬉しいです。またチョコレートお持ちしますねっ」
「……、えへへ、待ってます…っ、」
「……、!し、失礼しますっ」
そう言って、先輩の部屋を出て行った。
「……千代華の人たらしが……」
「先輩……っ?なんで頭かかえてるんですか……?」
「あーーうん、なんでもない」
「花さん、またあえるといいなぁ」
「また来るよう言っとく。」
「ほんと……っ!?嬉しいっ………て、
先輩先輩っ…!!チョコ食べようっ…!」
「はいはい。」
「先輩っ、これなんか中入ってる」
「あ、それダ「……う、にがぁ……」
「……?これダメでしたかっ…!?」
「………それ、ウイスキーボンボンだよ。少量だろうけど。」
「う、いすきーボンボン……?えっ、あ、あのお酒入ってるやつ……っ!?」
「……空が入れたのか、……潰す。」
「あ、ぅ、せんぱ……いっ……、なんか喉
あついよぉ……っ、」
「あー……水飲んで。」
「水飲んでも……治んないっ……あつ、」
「………こっちおいで。」
甘い夜は、まだ始まったばかり。
そう言ってるように先輩の目は光ってた。
ーーー
大好き END
あっつ……ぅい。。
手でパタパタとして風を送るもそれがぜん……っぜん涼しくならない。
「千代華ほらもうちょっと飲んで。」
「せんぱぁ……い、頭ふわふわ、する」
「お酒まさかこんなに弱いとは……、、俺がいる時しか絶対だめだ。」
「………ぅ?」
先輩の言ってることが分からないって言うか頭に入らない……。。
今だったら、言いたいことも言えるかな……、、
「せんぱーい、だいすきっ……」
「うわっ」
私は先輩に飛びついた。
案の定びっくりしてるみたい。
「千代華…離れて…」
「なんでぇ……っ?先輩とくっつきたい…」
「あー、こりゃダメだ…」
手で顔を押さえる先輩。
もしかして…私………
「じゃまでし、たか?」
「……は?」
「わたしじゃま、ですか……?、」
先輩を……えっと、……疲れさせたくないもん……っ、
「だめ、絶対帰っちゃダメ、てかこの部屋から明日まで出ちゃダメだよ。」
「………?なんで…?」
「それは、千代華が……色気を大量に放出してるからっ…て、あーもう。」
よくわかんないけど、明日の朝まで先輩といっしょ?
うれしいっ、
「てことで今のうちにお風呂入ろ」
「おふろ?」
「そ、お風呂。そこの部屋に湯船あるから使っておいで。」
「………、せんぱいといっしょにいたい…」
「……っ、だめ。お風呂、行ってきて」
「……先輩といっしょに、いる」
「………あー、もうわかった一緒に入る?」
髪をかきあげながらそういった先輩は、色気が半端なんて。
酔いなんてぶわって飛んでった。ような感じがした。
「…………っ、……う、」
「ほら、恥ずかしいんでしょ。入ってきな。」
「……っ、は、はぁい、」
わたしは脱衣所に走りドアをバタンと閉めて、座り込んだ。
…………
「………っ、う………」
頭がクラクラする……、酔いのことがあってのぼせるのが早かったのか、も。
「あーー、……ほら冷たい水飲んで」
「……ありが、とごさ……います。」
「……んー、寝てな。そしたら酔いさめるよ。」
「……ん、わかっ…た、」
「じゃ、俺風呂入ってくる」
「……ふぁい、、」
わたしは1人の部屋で、水をコクンッと飲んだ。
「…っぷはぁ、」
美味しい……
わ、眠っちゃいそ……う、
先輩のこと……待って、いたかったのに……
そうやってわたしは軽く眠りについた。
☆☆☆
「……千代華、ねた?」
「…………ん、せんぱい…?」
「あ、起こした?ごめん」
わたしは頭を撫でられる。
「先輩っ………、えへへ……」
「……ものすごいデレ。いつもこんなの言わないのに。………かわい。」
「………っ、先輩、キス、したい…っ」
「……っ、、わかった。」
そう返事してくれたけど、ふってこない先輩の熱い唇。
そしたら急に指が唇をなぞってから口に入ってきて、
「………ふ、ぁ……?」
「……はー、かわい、、」
「……せんは……いっ、きす、した…ふぁ」
「………意地悪しちゃった。わかったキスね。」
そう言って指を抜いてくれる。
先輩は指をぺろっと舐めてから私の唇に自分の唇を押し付ける。
「ん……っ、ん……、んん……」
熱くて溶けちゃいそうな、キス。
またお腹にずんと熱が持った気がする。
すぐにはパッと弾けず、とじこもる感覚。
「………はぁ、あっつい」
お風呂上がりの少し濡れてる髪の雫が、ポタッと私の頬に落ちる。
上着を少しはだけさせて、見えた鎖骨がさらに私の熱を高めさせた。
「……っふぁ、」
「暑い?千代華」
「……っちょっ、と、、」
「んじゃ、はい。」
そう言って近くのテーブルに置いた私の飲んだ水を口に含み、
私の唇に運んだ。
冷たい水が喉を刺激する。
それが私を正気に戻らせて、
「……っ、せんぱぁ……いっ…」
「……ん、何。」
「好き……っ、」
「………俺も大好きだよ。」
そう言われた瞬間弾けた何か。
忘れられない、熱くて、
蕩けた夜だった。
ーーー
熱くて苦いチョコレートは
END
「あ、の……先輩…?」
「……んー、なに、」
最近、先輩はイチャイチャしてくれなくなった。
キスも恋人繋ぎも、ハグも……
なんなら、距離は前より遠くて。
………どうして、?
先輩いつもいる時近いし、手…繋いでくれるのに、
「先輩、ここどういうことですか…、」
「あーこれは…ここを代入して、」
勉強してる時さえ先輩は私の顔を見てくれない。
なんでなの……?
…っ、
「千代華…?どうした?体調悪い?」
「………う、…えっと、そういうわけじゃ…なく、て…」
やばい………
先輩の声が耳に入ってこないよ、
急いで、目の前の問題を終わらす。
「……うん、おっけー」
笑顔を向けてくれるのは
嬉しいんだけど……、
先輩は距離だけじゃない。
スマホをずーっと見てて、最近は誰かとメールをしているみたい……
たまーに先輩笑ってる、し…
もしかして、……女の人…?
っ……先輩は、私の彼氏、だもん…
だから、大丈夫……、
大丈夫だよ、私は。
先輩と、…付き合ってるもん、
でも、そう心に言い聞かせても私のモヤモヤは、
広がり続けていた。
…………「……どうして、」
「えー…、あのかいちょーが最近イチャイチャしてくれないだって?ほんとかい?それ。あんた達場所構わずイチャイチャしてるじゃん。」
「ほ、ホントだよ、てか……場所構わずイチャイチャなんてしないよっ…!………先輩が私に……距離とってるの……」
「ふーん……え、あ、あの会長が???」
私はその次の日優ちゃんに話をした。
優ちゃん曰く先輩は、私のくっつき虫らしい。
すっごい、驚いてるけど、…
「えー……なにぃ?チョコちゃんたらァ」
「な、なぁに?」
あまりにもニヤニヤしながら言うもんだから、思わず構える。
「欲求不満?」
「……………、っ、ち、違う違う!!!」
一瞬思考停止しちゃったよ……
「えー、キスがない関係は嫌なんでしょ?
構ってくれる先輩がいいなら、そうでしょ……、何が違うの?」
「…………言い方の問題だよ……っ!」
「……やーん、チョコちゃんのえっちー…、えろいーー」
「……やめてやめてーっ…!他の人に聞かれちゃうよ……っっ!」
「本当のことだしーぃ、」
いやそうなのかもしれないけど……っ、、!!
わ、わたしって……え、えっち…なんでしょうか?
「そういう優ちゃんはどうなのよっ…?」
芝くんとどういう感じなのか全然聞かないし、
「えー…と、もうしたはした。」
「したって…なにを?」
「そんなの……、」
「う、……うん?」
「キスのそれ以上よ、?」
「……ぐっ……ぅ、」
「え、してないの?」
「……っ、してないよ……っ、、」
「……あ、そもそも、チョコは純潔、
だもんねぇ〜」
「ぅお、大声で話す言葉じゃなぁぁい!!」
はい、私はキスのそれ以上をしたことがありません、、
だ、だって…そもそも、先輩が初めての先輩で、初恋…だもん、
「……ど、どうすればいいんでしょうか…っ?」
「え、そんなのえっちしてくれってたの「ハードルが高いですぅ………、、」
「んじゃ、誘うしかないなぁ…」
「……ひょぇ、」
「リピートアフターミーーー、さ、そ、う」
「………無理ですぅぅ……っっ、」
「まだ実行してないのに、、……じゃ、まず避けてる理由とキスしたいって言えばいいんじゃなーい?」
お気に入りの桃ジュースをずずっと飲みながら、ゆうちゃんは言う。
で、できるかなぁ……、、
でも、それくらいしかわたしできること、ない……よね、
「わ、わかっ…た、放課後言いに行く、」
「おー偉い偉い」
意気込む私に優ちゃんは頭を撫でた。
☆☆☆
キーンコーンカーンコーン……、
聞きなれたチャイム……を横に聞き長い廊下を早歩きする。
せ、先輩……どこかな、、
生徒会室……、
それとも教室……?かな、
「は、話…って、なにかな、湊くん」
あはは、嫌な予感しかしないなぁ。
私、…放課後って、ほーんと、運がないのかな、
3階の廊下から、中庭を見る。
そこには……
「美園先輩と、……湊先輩っ、
何やってるの……かな。」
かわいた笑みが少しこぼれて、
大丈夫だと思っていた目も耐えきれなくなり、涙目になる。
もしかして、先輩が最近メールしてたのってこういうことだったのかな、
避けたことも、私が嫌になったからだったのかな、
先輩は、私の彼氏、だよ、…ね?
私は…その場から逃げ出したくて、走り出す。
情けない、
今ならなんだ二人でいるんですか?って
言えるのに、
あの時の先輩と離れる時を思い出して、
それを拒否する。
あれかなー、
両思いになると冷めるってやつ、?
あはは、
なんにも、考えたくないや。
先輩の着信音には聞こえないふりをして、
私は家のベッドで静かに眠りについた。
『千代華。いなかったけど、帰りだいじょぶだった?』
♡♡♡
……ん、、あ……もう8時…か、
今日お母さんたちいないから、ご飯食べずに寝ちゃった……あはは、、
あれ、優ちゃんから連絡……と、先輩だ、
……先輩、ごめんなさい、
優ちゃんからは、
どう?伝えられた?電話で報告すること!
って来てた。
電話…しよう。
着信音が2回、3回となる。4回目がなろうとした時、
《もしもしー!千代華?どうだった!》
「あ……優ちゃん。……その、」
《……その調子だと、ダメだった?》
「え…っと、先輩、美園、先輩といて…」
《……はぁっ!?》
あからさまにきれたような声を出す。
小声であんの、、会長がぁと言っているみたい。
《……それで、逃げてきたってわけ?》
「……ぅう、はい。」
《全く…、先輩は私の!!って言いに行けばよかったじゃない》
「……えへへ、全く私ったら情けないよね」
《………》
「先輩あれかなぁ、両思いになると、冷めるって……やつなのかなぁ…」
黙ってると涙が滲んでくる気がして。
《………当たって砕けろ》
「…へ?」
《好きなら思いぶつけろー!バカ千代華ぁぁ》
「は、はいって、ば、ばかぁ!?」
電話の向こうで少し泣くような声が聞こえる。
「優ちゃん…?泣いてるの?」
《…な、泣いてないし…っ、》
「なんかあったの?」
「浩介、くんが…私のこと本当に好きかわからない…って、うぅ、ばかぁ……」
優ちゃん恋愛には奥手だからなぁ……
「……よし!2人で当たって砕けよ!!それなら……ねっ、?」
《………っすん、ゔん゛、明日決行ね》
「は、はいっ」
優ちゃんいつも、ありがとう。
ゆうちゃんがいるから、好きな人に…大切な人に想いを伝えられるよ。
「優ちゃん。、大好きだよ。またね」
《……うん、、またね。》
もう、クヨクヨしないよ、
そんな意味を込めて、通話を切る。
涙がすっとひいて、連絡しよう、
そう思った時だった。
ーー
「今から会いに行ってもいい?」
ーー
せんぱ、…い。
会いたい。会ってすぐに伝えなきゃ、
湊side
千代華に来週から……、、
この心地よい関係は、崩れる。
前と同じように、なんていかない。
伝えるのは、千代華があのことを知ってからにしようか。
そうなると、時間を考えて和解だなんて難しい。
そうすれば、きっと…きっと、離れられる。
……俺は、彼女なしで生きていけるのか?
終わることが決まっていたのに、千代華にあった理由は、少しでも、千代華の記憶に残りたかった。ただそれだけ。
君の初恋の相手になりたかった。
彼氏になりたかった。
一生愛する彼女との記憶は、一生の宝物。
「……先輩っ…!」
嘘、ついてばっかりだね。
本当のことも話さない。
でもこれだけは嘘じゃない。
「ごめん。千代華、好きだよ。」
欲求
END
「……っ、」
「千代華泣くの我慢したでしょ。目の周り赤い。」
視線を外す私の顔をしっかりおさえて、
私を捕える。
「……っせんぱい、」
「………ん、言いたいこと全部、言って」
「……っ、ハグしてくれないし、キスしてくれないし……っ、、誰かと連絡とって笑ってるみたいだしっ、、美園先輩と会って、たし……っ、」
「うん、ごめん。話すから。」
私のことをぎゅっと抱きしめてから、ぽんぽんと背中をさする。
「先輩っ、……私のこと、もうやだなの…っ、?」
「…あ゛ー違う違う」
「……っ?」
「……千代華のこと避けてたのは、千代華からなんかしてくれないかなーって思ったからだよ。」
「……っ、あ、」
わたし、が……
「いつも俺ばっかで、千代華から何かしてくれないかなー……、、っと」
先輩の目が見開いた気がする。
私が、触れるだけのキスをしたから。
「……っ、こ、こんなことしかできないけ、どっ…、先輩のことが一番好きです、
ずっと好きで、…っん、、」
「…足りない、もっと、」
手を絡めてくる。あぁ、幸せだ。
「……っすきぃ、」
「…ん、俺も」
ちょっと離れた時にだす、
吐息が、濡れた視線が、絡めてくる手が
好きだ。全部、好き。
「目、瞑らない。ちゃんと俺みて」
「…っふ……ぁ、」
息、足りない…よ、
「…ん、みなと……っ、」
「…っ、あ、ごめんごめん。」
「…っは〜…っ、はー…っ、」
一気に、吸ったら咳き込みそう。
キスの後は、先輩は背中をさすってくれる。
久しぶりの感覚に、泣きそう。
「……、はい、これ。」
「…え?」
見せられたのは、私のお母さんのトーク画面。
「こ、れ」
「そう。俺がみられなかった小学生の頃の写真。送ってもらった。」
「……っ、」「これで、元気もらえるので」
だから、よくメール開いて、、たの?
「美園…は、警告だよ、警告。」
「けいこ、く?」
「うん、千代華になんかしようとしてたみたいだから、釘刺し。」
「……、」
守ってくれてたの……、
何も知らなくて、わたし…、
余計に先輩に心配、かけて…
「ごめ「謝らないでよ、言ってなかった俺が悪い」
「……っ、守って、くれてありがと…うっ…」
「ん、俺も安心だし…」
?聞こえなかった、。
「なんか、いいま、した?」
「ううん、明日。迎えにくる。」
頭を撫でながらそう言う先輩。
「……んじゃ、帰るよ。」
「…っ、先輩、」
「…ん、……え」
「ま、…またあした…っ、」
「……いい逃げかよ、……、かわい。」
私は最後に、先輩の耳を引っ張って
『一生、好きですっ、』
って、言い逃げした。
ごめんね
end
「ねぇ、千代華。」
「はひぃ…っ、」
び、びっくりしたぁ……
「俺に言いたいことあんならちゃんと言わなきゃ」
「ぇえっ…?なんで、……ぅ、エスパー…っ?」
「顔がずーっとソワソワしてる。」
「へ、ぇ……っ、?」
そんな顔に出てたかな、、
そう、私はずっと先輩にききたいことがあった。
……先輩の過去。
私たちは、高校で再会した。
でもそれまでは知らない。
もっと…知りたい。
「あ、の…先輩の過去が、知りたいんです…」
湊side
「あ、の…先輩の過去が、知りたいんです…」
……そっちからきたか…
今日確かに、教えようと思ってた。
けど、千代華からだとは思わなかった。
「え?なんで?」
「せ、先輩と会うまでのことを知りたいんです……っ、昔とか、お願いします…っ」
「えー、そんな知りたいの?」
教える、これはただの時間稼ぎみたいなもの。
「知りたいです……っ、」
俺のシャツをぎゅっと握って、上目遣いしてくる姿は誰もが惚れるであろう姿。
「先輩は、…私の事なんでも知ってる、けど…、私は先輩のこと…、全然知らない、から……」
視線を落とす千代華の頭を撫でるのをぐっと我慢して、スマホをとった。
「……ん、ちょっと電話する。」
「……?、は、い」
『もしもし、湊?例のこと?』
「あぁ、俺はこの後仕事をいれてるんだ、だから、『…本当は嫌なんだろ』
「…は、」
『離れたくないんだろ。自分から教えるなんて…出来ないんだろ。』
「、……とにかく、頼む」
はぁ、とスマホの向こうから聞こえた溜息を聞こえなかった振りをして電話を切った。
部屋に戻ると、千代華と花サンが夢中で話していた。
「花さんっ、香り変わったっ!?」
「ふふ、そうです。入れ方だけでも香りが変わるんですよ。」
「へぇ〜……、私これ好きですっ」
「そうですか!では、これからはこちらの紅茶を用意させていただきますね。」
「ええ!ありがとうございます!!ち、ちなみになんて言う……紅茶で、、」
「ディンブラベースのアールグレイです。」
「でぃ、んぶら?アールグレイなんですね…っ!今度買ってみます!!」
「ふふ、良かったです気に入って貰えて。」
微笑ましい姿。思わず笑みがこぼれて、目を細める。
千代華がソーサーにカップをおいた時、
俺は声をかけた。
「ん、千代華終わったよ」
「あ、先輩…っ、花さんが紅茶について教えてくれてたんです…っ!」
「へー、楽しそう。」
「は、反応薄いですよ…、、」
「俺コーヒー派だもん。」
「ええ、苦いの何がいいんだぁ……、」
「お子ちゃまだね、まだ。」
「むぅーー」
かわいいなぁ、……一生、離れたくない。
「あ、花サン。お願いしたいことあるんだけど。」
「はい、なんでしょうか」
「確か、花さんってうちのガードの試験受けてたよね。」
「はい。基本的に給仕ですが、女性のためにと、そちらもとっておいたんです。」
さすが。
じゃあ、
「千代華の護衛、頼める?」
「……先輩?どーゆう事…」
「…んー、俺の過去知りたいんでしょ。だから1番知ってるやつから聞いた方が分かると思う。しかも俺、さっき行かないといけない仕事できてさ」
「なるほど…そういうことなら、わかり、ました」
ぎゅっと拳を握る姿は、緊張しているのが分かりやすく見える。
「じゃ、花さんよろしく頼みます。行く場所は、……んー、小鳥遊と一緒に行けば分かります。」
「承知致しました。小鳥遊にご連絡はお済みでしょうか?」
「はい。今部屋の外にいるはずです。」
「承知致しました。」
「せ、先輩…頑張って、ください」
「……ん、頑張る。ありがと」
頭を少し撫でてから、部屋を出た。
「会長。総長の家でOKだよね。」
「あぁ、楓には許可は降りてる。優希はもういるとの事だ。」
「…わかった。じゃあね。」
「ああ」
これで、千代華に嘘をつくのは終わり。
この関係も、
終わり。
千代華side
「こ、ここ?」
「うん。ただの御屋敷に見えるけど、中は凄いよ」
「…へぇ…っ、」
ただの御屋敷…ってなに、、めっちゃ立派なんだ、けど……
お花の紋様が門に施されており、立派な姿だ。
「……花さんは、「あれ、空じゃん」
「は、なんで、ここまで歩いてきて、」
「あー…ごめん、待ちきれなかった。」
「はぁ…?命狙われるぞ。」
「んー、優希に任せるよ笑」
「優希先輩優しいからって舐めすぎなんだよ。総長様が許さねぇぞ。」
な、なんの話し…??
こ、この人なの?
「あ、湊の」
「ああ。」
マダラ
「初めまして。湊の彼女さん。俺は、斑目
浪月。一応、1番隊特攻隊長だよー」
ロウガ
「はじめ、まして…っ、私は、羽瀬来千代華と、申します…っ、」
「かったいって……千代華リラックスしろ」
「無理無理…っ、私だって、人見知りだもん……、、」
「へー基本的に女子を放ったらかしにする空が……ねぇ?」
「うっせ…」
そうなの、?
「言っとくけど、…こいつだけ」
「ほぇー……、」
興味深そうにする斑目さん。
「んじゃ、お話はここまで。そこのメイドは、俺についてこい。優希なら、楓の隣の部屋にいるから」
「わかった。……花さん。浪月には気をつけて、」
「……は、はいっ……??」
「よし、千代華。行こう。」
「う、うん。わかった……」
そう言って門をくぐり、中に入った。
すごく……綺麗な庭園、
「あ、小鳥遊くん。先輩をよく知ってる人ってユウキさんって人ですか?」
「あーうん「俺のこと?」
「っひぇ…!」
「あ、ごめんね。驚かせちゃった?」
「だだだ、大丈夫ですっ、、」
さっき、、俺のことっていったけど、
「浪月が帰って来ないからさー、襲撃されたのかと思ってみにきちゃったよ。」
「浪月に限って、それはないかと。てか、優希先輩が逆に襲撃されたらどうすんすか。」
や、やっぱり…このひとが、
先輩のことをよく、知ってる人…
ユウキ、さん。
「うーん楓に頑張ってもらうしか。」
「浪月と同じようなことは言わないでいただきたく。」
「あはは、空はいつも通りの冷めかただなぁ」
くすくすと笑う姿は、誰もが綺麗と思うだろう。
「一応、浪月も俺と同じ2年で、先輩なんだけどなぁ。」
「……はぁ、あんな女遊びは知りませんよ。花さんが心配ですね。」
班目さんも、2年生……なんだ。
女遊び…か、それはちょっと花さんが心配。
班目さんに比べて、ユウキさんとの上下間がわかりやすくて、すごい人なんだな…って思わされる。
班目さんもすごいと、思うけど。
「あ、自己紹介まだだったね、
佐野優希。優しい希望と書いて優希だよ。
高2で、一応、副総長だよ。」
副総長……、リーダーの2番目の人ってこと、だよね?
「……えと、その隊長とか、副総長とか、
どういう、ことですか?」
「あー、わかんないよね。それも含めて、教えてあげるよ。湊の過去。」
「ありがとうございます、」
怪しく目を細めた気がしたけれど、それを無視して、私は
「おいで。」
という声について行った。
☆☆☆
「はい。これ甘めのアールグレイ」
「あ、ありがとうございますっ」
小鳥遊くんはこのお屋敷での仕事が残っているのに気づき、イライラしながらいなくなった。
つまり、この部屋にいるのは私合わせて2人だ。
「あの…」
「質問いっぱいしていいよー」
「ありがとうございます。その会長とはどういう関係で…?」
「あー、湊の婚約者の弟ー…」
「こ、婚約者……っ!?」
「あは、違う違う。じょーだん。幼なじみだよ。」
「あ、幼なじみ…かぁ、、」
び、びっくりしたぁ……、、
冗談がすぎるよ。
わぁ、美味しい…。先輩はブラックコーヒーが好きだけど、佐野さんは甘いのが好きなのかな。
「ねぇねぇ、ちよかちゃん。湊のことどれぐらいすき?」
「あ、えっと…いっぱいすき、です…?」
「そっかぁ、」
にこりとさっきとは違う笑いを見せる佐野さん。
「…、…っ?」
「湊はさ、感情のない王だって中学の頃呼ばれてたんだよ。」
王、様…?
私の見る先輩は、王子様…って感じだけど、
「多分いまもちょーっとあると思うけど、…いやあるけど、今とは比べ物にならないくらい黒いオーラがでててさ、誰も怖がって近づかなかったんだ。」
「………」
「笑顔なんて俺は少なくとも1回しか見た事ないよ。中学生の頃ね。小学生の時も全然笑わなかったし。」
笑わない、?
先輩が?
あんな優しく笑ってくれるのに、
「じゃ……えっとその1回って…」
「えーとね…湊は実は、暴走族の1人なんだ。」
ぼう、そうぞく…って、
いたんだ……。
「それで湊はまぁ、めんどくさいことは嫌って言って総長じゃなくて、内偵っていう位についたんだけどさ。」
「へ……へぇ……」
「それで、湊が、『俺はやらなきゃ行けないことがある。空に、内偵を頼む。たまに手伝うから降ろさせてくれ。』って言ったんだよ。」
やらなきゃ、行けないこと。
「それで、俺が湊に、『いいのかよ、族にいるお前楽しそうだったぞー』って言ったら、笑って『ありがと。楽しかった。けど俺には終わらせなきゃ行けないことがあるから』って言ってさ……」
それが、先輩が族をおりた理由と、笑った理由…?
「……ちなみにやらなきゃ行けないって言うのは、ちよかちゃん君に関係してるんだよ。」
………どういうこと、?
やらなきゃ行けない?終わらせなきゃ行けない?
何が、この心地よい関係を作って、きるっていうの?
………、、落ち着こう…
「………、湊先輩の赤いピアス」
「え?」
「先輩の赤いピアス……っ、」
「あれつけてたの中3だけど、知ってるんだ…?」
んー?と考える佐野さん。
「不良に絡まれた時に助けてくれたのが湊、先輩…で、赤いピアスが…見えた、から。」
「へー…」
「「…………」」
少し黙ると、口を開く。
「赤いピアスは、湊がちーいさいころに貰ったものだよ。
うちの中学校ピアスOKでさ、中学校に入った瞬間からつけてたんだ。
自分の起こしたことを…忘れないようにだったっけ?」
「先輩が…、起こした、こと?」
「あ、……教えて、なかったね。」
ちょっと悲しそうに笑った佐野さん。
なに、
「ちーいさいころ、最後に湊にあった時のことを覚えてる?」
「……曖昧ですけど、遊びに来てくれなくて、泣いた記憶があり、ます。この前それだけ、思い出したんです、小学生の頃も記憶がすごく、曖昧なんです。中学生は曖昧になることも少なくなりましたけど。」
「……そっか。じゃあ、許可は貰ってるし、遠慮なく言わせてもらうね。」
な、に……、許可、?
「千代華ちゃん。小さい頃が全然覚えてない理由、小学生の記憶がずっと曖昧になってしまう理由はね、」
何故かよくわからないけれど、唾をゴクリと飲む。
「記憶喪失と、一時的な海馬の低下が
ある事故によって起こされたから、だよ。」
「……へ、」
記憶喪失、?な、なにをいってるの、?
「湊との最後はそれじゃない。
1つの事故なんだよ。」
「…え、…、どうゆうことで、」
「湊の、、録音あるから。聞いて、」
そう言って佐野さんがスマホのボイスメモを開いて、「外行ってるから聞いてて。」
とドアの方に行きながら言った。
……パタン
足音が遠ざかる。
私は、再生ボタンを少し震える手で押した。
《 あーあー、あ、OK。優希じゃ、全部話せないだろうから、ボイスメモで笑》
電話の時みたいな感じの声。
《〜〜………〜〜〜〜〜〜〜…》
先輩の声をしっかり、聞いて。
何が、あったのかも全部。
私は、全部思い出した。
☆☆☆
「みなとくんなんでこないの…っ!…っ、っ、ふ…ぇ……ぅう…っ、」
「……ちよか。」
湊くんが来なくなって、1週間。
その日突然湊くんは現れた。
「みなとくん……っ?なんであそぶのやくそく、したのに…こなかったの…っ?」
「ごめん、、ほんとうにごめん。でも
もう行かなきゃ……」
湊くんは、引っ越しすることが前々から決まっていて、引っ越し準備、パーティーなどで忙しかったと、話した。
「……やだよ…っ、いかないで、…っ、」
「でも、…ごめん、また会えるから。ね?」
「み、…みなとくんのこときらいになっちゃうよ……っ、だいきらいになっちゃうよ……っ、?」
「……俺は、ずっと大好きだよ」
「……っ、じゃあ、この…お母さんからもらった…ピアス、?もっ…てて…っ、」
「…え、そんな大事なものでしょ。自分で…」
「また、会えたら返して…、」
「うん。わかった。わかったから泣き止んで…?」
「……っ、ずび、…っう、泣き止んだ…っ」
私は最後に、ハグがしたくて、
そう思って抱きついたの。そしたら、そしたら…
柵も何もない公園のような、、広場のような私たちのいる場所にね、湊くんの場所にね
車が、来たんだ。
道路じゃ、ないのに。
「……っ、みなとくんあぶな…っ!」
助けようとおもって。
突っ込んできた車の来る場所から、突き飛ばした。
きぃーーーーっ!!!と大きなブレーキ音。
それが、湊くんと私の最後となった。
千代華 外傷は軽傷にちかいが、頭を打ってしまい、昏睡状態に陥る。
湊 軽傷にちかいが安静が必要。
という感じだったらしい。
私は、最近の出来事の記憶を喪失。一時的な、海馬の低下。
となった……というわけ。
⭐︎⭐︎⭐︎
《俺は、千代華に助けられた。でも、危ない目に合わせた。そんな俺がそばにいちゃ行けない。ずっと縛り付けてたのに、今更すぎて笑えてくるでしょ?》
「、みなとく、…」
《ずっと好きだった。千代華が中心で世界が回る。けど別れよう。千代華はちゃんと幸せになって。》
私だって、先輩が中心で世界が回るの。
なんでよ、私は先輩のことを助けたくて、
助けて…、庇った、だけだよ、?
「…みなとくんが、悪い、わけじゃ…ないの。」
膝にのせている手にぽた、ぽた…と、涙が落ちる。
いや、だ
先輩私の事好きだって、言ったじゃん。
ねぇ、…どうして別れるなんて、いうの…っ
ずっと、同じことを再生し続けるスマホを
前に私は泣きじゃくる。
「…、千代華ちゃん。」
「…さの、、さん」
苦しそうな、唇をぎゅっと噛む佐野さんがこちらを見ていた。
「俺は親友、湊に笑っていてほしい。幸せになって欲しい。それは千代華ちゃんも一緒でしょ?」
「…っ、私と、一緒に、幸せじゃ…だめ、なん…ですかね、…っ、」
「…泣かないで。湊のところ、行こう。」
私の手を引いて、部屋を出る。
小鳥遊くんは、「かなわないな。」そう言って、私たちを呆然と見ていた。
☆☆☆
「千代華ちゃん。これは言うなって、言われてたことなんだけど。」
「…はい。」
「湊、明日の夜、日本を発つんだ。」
「……え、?」
「……、」
悲しそうに笑ってから、佐野さんは口を開く。
「これを機に、
フランスへ留学しに行くんだ。3年間。
生徒会長は、湊じゃなくて、空になる。」
あ、えないの…?
自分から会わないようにしてる、っていうわけ?
「泣いちゃ、ダメだよ。」
「は、い。」
「泣いちゃったら俺が疑われるしさー、
なにより、湊が見たいのは、千代華ちゃんの笑顔だよ。」
「……っは、い。」
「ほら、泣きそうになってる。はい。湊の家着いた。行こう。」
「はい。」
私は車を出て、インターホンを押す。
「、ちよか、です。湊、くんに会いに来ました。」
〈……千代華様ですね。門を開きます。〉
何度目かの唾を飲み。
歩き始めた。
佐野さんは、「がんばれ。」といって背中を押してくれた。
私が、きめなきゃ、……ちゃんと。
「…、千代華様。実は湊様は誰も人を入れないようおっしゃっていて、、」
「……ごめんなさいっ、」
「…え?」
「先輩!!入ります!!」
強行突破作戦でいこう。
「……は、千代華」
驚いたように目を見開いて。
でも、すぐ見る目がすぅと、冷たくなって。
手元には大きなスーツケースがあった。
「出ていって?」
「……っ、いやです!」
「…話、聞いたんでしょ。ずーっと嘘ついてる俺に軽蔑して言いに来た?それとも、
俺の事叩きに来た?」
「…、ちが…う、」
「じゃなに?俺、明日のために準備しなきゃ行けないんだけど。」
「……っ、私だって聞いて欲しいことがあるんだけどっ…!!」
ちょっと怒った。
確かに私に嘘ばっかついて。私と、一緒に幸せになるつもりなんて最初から無かったことに。
結婚とか、バッカみたい。あれも全部嘘だもんね
……話をきいてくれないんだ、
「先輩勘違いしないでよ…っ、私が勝手に、助けたくて…助けただけなの…っ!!先輩のせいなんかじゃない…っ…!!
私だって、先輩が中心でまわってるの…っ、私だって、…先輩のことが好きなの…っ、私だけじゃなくて、
先輩と一緒がいいの…っ…!!」
「…、、」
冷たい目は、悲しそうになる。
「でも、傷つけたことには変わりは無いし、明日俺が居なくなるのだって変えられないんだ。だから。別れるんだよ。」
「……っ、先輩最後まで嘘つくの…っ?」
私に好きって言ってくれたこと。
私に嫉妬してくれたこと。
私とすれ違った時の先輩が思ったこと。
全部嘘なんかじゃない。本当のことじゃないの?「は?」
「先輩が…っ、湊くんが…っ、
私と一緒にいたくないか、って聞いてるの……っ!!」
私が聞きたいのは事実じゃない。
湊くんの気持ちだよ。
わたしは湊くんに近づく。
「……最後のつもりなんでしょ、最後くらい嘘つかないで教えて、よ。」
手をギュッと掴む。わたしの涙は手に落ちる。
「……………最後、じゃない。」
顔を私の肩に押し付ける湊くん。
お願い
この時間が、続いて…くれないかな。静かに落ちる涙は、湊くんの服に染みていく。
「…、、どういうこと、?」
「………っ、俺千代華と一緒にいて、いいの」
「、……私が、一緒に……いたいの。」
湊くんのとなりがいい。
「………なら、最後じゃない。けど、これは嘘じゃないよ。」
「…ってことは、」
「俺も……、千代華と一緒に、いたい。」
……わたしは、それが聞きたかったんだ。
「…っ、ゔぅ〜……っ、」
「…泣くなよ。」
ちょっと冷たい感じ。
これがきっと、湊くんの素なんだと思う。
「……みなとく、すき…っ、」
「、うん。」
「だいすき…っ、」
「……うん、俺も。」
すき。
一緒に、いさせて
☆☆☆
「…目腫れてんじゃん。」
「…見ないで」
ふっと笑って私を持ち上げる。
「ひゃ…っ、…へへ、」
「………」
……悲しそうに笑わないで、
明日から湊くんがいなくなる。
その事実を分からせられる気がして、
「湊くん、あ、いしてます。」
好きとかじゃ足りないの。
「…ん、俺も」
「ちゃ、ちゃんと言ってくれなきゃやです…っ」
明後日の分も明明後日の分も全部ちゃんと言ってくれなきゃやだです…っ
「…っ、」
「明後日っ…、、隣で好きって言ってくれる湊くんは、いないんです。」
「…そうだね。」
「キスも、ハグも…っ、、恋人繋ぎも、
なくて…っ、」
「……うん。」
「先輩のこと好きすぎて…っ、
足りないんです……っ、」
「…………、俺も、
もう、無理。」
甘くて触れるだけのキス。
「……っ…ん…」
何回も続けられて、軽いキスなはずなのに
息が足りなくて、息切れする。
「…っはぁ、…っん、」
「…ん、ベットいこ、」
おでこにキスを落として、
ベットに私を置いた。
私の隣に先輩が寝転ぶ。
ギシ、と音が鳴る。
髪が顔にかかると、先輩の細くて大きい手が耳にかけてくれる。
「……ねぇ、……、ちよか、」
「……はい、?」
熱を持った熱い瞳でわたしをじっと見てくる。
「……キスの先、のことを考えたこと…ある?」
「……、」
「ないでしょ、俺さ、もう我慢できない、かも」
「…….……なら、」
「え、?」
「…っ、先輩なら、いいって…いったのっ」
「っ、え、」
酷く動揺してる顔。
「…痛くて、泣いちゃうかも、それでも?」
「…、好きだから、……ずっと、一緒が、いい…から、」
私はギュッと拳を作って、
目をつぶる。
「………、愛してるよ、千代華。」
瞼にやさしいキス。
顔の色んなところにキスを落とされる。
「…みなとくっ、くすぐった…」
「……、ありがと。」
確かに、怖かった。
けど、それより、嬉しかった。
時々辛くて、甘くて、ほんのり苦い。
チョコみたいだね。
知らない
END
尚大7歳
「ねぇ、何してるの。」
「……千代華の、」「…?あっ、自己紹介しないとな、俺は羽瀬来 尚大。羽瀬来グループの……まぁ、跡取りだ。」
「……俺は四月一日 湊。俺も、まぁ跡取り…だな。」
「四月一日…って、母さんたちが仲良い人の苗字だ!これから仲良くしようぜ!」
「…あぁ、」
初めて会った時の湊は、7歳とは思えない
……、同じ歳とは思えない、大人みたいな人だった。
全てが最初から完璧で、周りの大人は恐怖で遠ざけていたほどだった。
パーティで会ったうちで笑ったことは、
2回くらいしか無かった。他では一切笑わない。
なんて言うか、、壊れたロボットみたいだった。
初めて会ってから、4、5回くらいたった。
今日も俺の妹千代華が、悲しそうに笑いながら。遊びに行く。
どうやらいつも遊んでくれる人が来ないらしい。
今日も、俺は、遊ぶのを断った。
そして、俺は湊が来ると言っていた、パーティに向かう。
だが、来ない。いつまでも来ない。
母が血相を変えて、ドレスで走っていた。
それだけ、焦ってたってことだ。
「千代華が…、千代華が、事故にあったって……」
俺も、顔が青ざめた。
俺がいたらこんなことにはならなかったのか?って、
…いつも遊んでいる人をちょっと恨んだ。
病院に急いで向かう。
手当は終わっているらしく、病室に向かった。
俺は驚く。
頭に包帯をした湊の姿が、千代華の病室前で見たからだった。
「…み、みなと…?なんでおまえ、…」
包帯巻いてんだよ、って言おうとしたら、
「俺が、……いなければ、」
そう言って青ざめた、血の気の引いた顔を見せた。
「俺を、庇って千代華が…怪我した。俺の、せいだ……。。」
違う、悪いのはお前じゃない。きっと千代華だってそう思ってる。
庇った、…その事が正しいのなら、千代華はお前に謝って欲しくないはずだ。
「……お前、とりあえず、かえりな、顔の色、やばい。」
俺はそう言って湊を使用人の方へ、出した。
「……………、俺の、せいだって、いえなかった。」
これは今でも後悔してる。
そして俺は過保護になった。
記憶喪失が起きてしまった千代華に、もうそんな辛いことは起こさせないように、
でも、
そんなの無理だったんだ。
千代華と、湊は付き合っていた。
俺はその事に、妹のことを思えず、……絶望した。
いつだって、湊の人生を狂わすのは千代華だ。記憶喪失でなんにも知らない千代華が、湊のそばにいていいんだろうか、
いや、
そんな関係、いらないだろ?
そう思ったんだ。
だからあの時、電話して。
別れ、させたかった。
でもそんなの無理で。
千代華の記憶に残りたい。そういった。
留学で、初恋に傷をつければきっとずっと心に残る。
湊、お前はいつからそんなふうに、かんがえるようになったんだ。
耳にまだ残っているピアスの跡。
それが俺を異常に、俺を虚しくさせるんだ。
……わかってる、どんなことがあったって、きっとお前はずっと千代華が好きなんだろう
☆☆☆
「お兄ちゃんっ、結婚おめでと」
「、ありがと。」
なんだかんだ、俺たちはよくやってきたと思う。辛さを乗り越えて、心をほんの少し傷つけながら。
俺は今日最愛の人と結婚する。
君と出会った夜は、まだ辛さを思い出させる。でも、最愛の人と出逢えた日はきっと君がいなきゃ作れなかった。
嘘つきな君と俺は、ずっと友達でいたい。
そう、心から願う。
一途で嘘つきな君に、最大級のありがとう。
君と出会った夜
尚大side
END
……えーと、ここかな。
私は、19歳になった。
そう、あのいなくなった日から、3年の月日がたとうとしている。
卒業式、優ちゃんが号泣するから私涙堪えるの必死だったよ。
朝日くんでさえちょっと泣いてたし。
………最後に湊くんとあったのは、一昨年の卒業式。
と言っても、離れがたくなっちゃうから、
ハグと言葉を交わすだけだった。
でも、今日は違う。
やっと、
やっとちゃんと帰ってくる日なんだ。
卒業式が、成人式をしたんだよ。
大学生生活が始まったんだ。すごく楽しい。
湊くんがいない毎日が当たり前になった。
居ないとやっぱり、甘さが足りないね
告白されたことも、あったけど、ちゃんと断ったよ。湊くんがいるのでむりですって、
話したいこと、
ほーんとにいっぱい笑
空港のベンチで、空を眺める。
………ぎゅっと、願う。
大好きな彼に、
会えますように…って、
ピロンと着信音。
この湊くんだけにつけた着信音久しぶりだなぁ
、…やっと、
会えるね。
「………湊くん……っ!!」
「……、千代華、」
先輩はゲートから出て、人が少ないところに足を止める。
私はそれについていって、同じようにとまる。
振り返る時に見えた、赤く光るピアス。
「……千代華、」
「……はいっ、」
「……
会いたかった。」
私も………ずっと、ずっと……
「会いたかったよ…………っっ、」
大好きなんかじゃたりません。
一緒にいられなかった分、
愛してくれるでしょ?
最愛の人。
「千代華、俺と…結婚してください。」
「……っ……、はいっ……喜んで、」
右手薬指には、
白く光る宝石が、ずっと輝いていた。
☆☆☆
ーーー
「……千代華、」
「……もー、優ちゃん?泣かないの」
「そーだぞ、まだ始まってないしぃ」
「朝日うるさいわよ、、」
「朝日、優に話しかけちゃダメ」
「はいはい、束縛男が、」
「お前に言われたくねぇわ」
す、す……っごい、口論してるなぁ、、
今日は、晴れ舞台だ。私と、…湊くんの
そう…結婚式、
「……あーー、もう男子うるさいっ、
千代華!会ちょーのとこ行ってきな!!ていうか、着替えてきー!」
「は、はいっ…」
「では新婦様。ドレスに着替えましょう,」
「はい、いまいきますっ、じゃ、またね!」
「式場でー!!」
そう言ってわたしはメイクルームとかいう場所に入っていった。
ーーー
「とてもお似合いですよ…っ!!」
「あ、ありがとうございます…っ、」
大きめのフリルのついた純白レースのドレスをまとい、それにあったメイクをしてもらった。
やっぱり、素敵だなぁ…、、
コンコンコンと、3回ノックがかかる。
「千代華ー…家族できたわよ、ってあら
すごい綺麗じゃない。」
「ありがとうお母さん…!」
「千代華、似合ってるよー!」
「ふふっ、お兄ちゃんも、そのタキシード似合ってるよ!あ、次の結婚お兄ちゃんだと、いいね?それとも優ちゃんたちかなぁ」
「……あ、兄をバカにするんじゃないぞぉ、」
そう怒っているお兄ちゃんの後ろには私の1個したの女性が、1人上品に笑っている。
奈々ちゃん…、お兄ちゃんと、お幸せに
「……ちよか。綺麗だぞ」
ニコッと大人っぽく笑うお父さん。
………、うん、
「ありがとう…!」
「……千代華がいなくなるのは少し悲しいけど、湊くんと一緒なら、大丈夫だよ。
………幸せに、なりなさい。」
「………」
無口だけど、お父さんはちゃんと私を見てくれたよね。
「うん。私、今人生で……
1番幸せだよ。」
☆☆☆
「…千代華、」
「…湊くん、っ……」
「可愛い、…」
「ありがとう、…っ湊くんもかっこいいよ…っ、」
笑顔で微笑む。
いつも笑ってくれる君が好きだよ。
「……湊くん言ってなかったことがあるんだ。」
「ん、なに?」
「…………湊くんと私は、
お父さんと、お母さんになるんだ…っ」
「……っ、え、」
ふふ、そんな顔久しぶりに見た気がするよ。
実は昨日わかったんだ。
生理が全然来ないからほんっと、びっくりしたもん。
「………千代華、
一生そばにいて、俺の事、愛してね。」
「…うん。ずーーっとね。その代わり、
私に
とびきり愛をちょうだいね。」
そうして軽くキスを落とす。
私は、今1番の幸せものだと思う。
一途で嘘つきな先輩は、
ううん、一途でとびきりの愛をくれる湊くんは、私の事を1番愛してきます。
ちょっぴり嘘という苦味も残して、
溺愛という甘味を残すんだ。
「うん、一人暮らしした時とか大変にならないようにさ。」
えぇ………、それでここまでキラッキラな
もの作れる……?
こ、高級フレンチか何かですか、?
「この卵焼き貰っていー?」
「はい、どーぞ!」
「いただきます。」
大丈夫かな……?
口に合うといいんだけど…
「……、めっちゃ美味い…」
「よ、良かったっ……」
微妙な顔だったらどうしようと思ってたけど満面の笑みだぁっ……、
ちょっと……安心。
じゃあ、私も!
「先輩!このオムレツ頂いても…?」
「どーぞ。」
私は意を決して、美味しそうなミニオムレツを口に入れた。
お、美味しい………っっ、
「先輩!めっちゃおいしーです!!」
「ほんとー?良かったー」
前お店で食べたのより美味しいっ……!!
せ、先輩高スペ過ぎませんっ……?
心でそう思いながら
昼をすごした。
湊先輩と付き合って1週間
私は絶望のあまり固まっていた。
「いやだよぉっ……、優ちゃんっ……!」
「せっかくの人見知りを治すいい機会でしょー、もうっ」
「やなもんはやだなのっ……うぅ…」
「でも……ねぇ、決まってる事だし、、
私なんも出来ないわよ。」
この眉を困ったように端を下げる優ちゃんの言ういい機会というのは、
1年生宿泊体験会。
これは1年生がみんなと仲良くなるために、学校側が負担してくれるやつらしくて。
必ず行かなきゃなんないらしい。
人見知りの私には……無理すぎる……
「同じ班組めばいい話じゃん…」
「で、でもぉっ……うぅー」
やだやだっ………!!これで人間不信になったら先生呪うっ……!!
「ちよかー、ペア組もー。」
「ゆ、優ちゃじゃなくて…眞白さん、
俺と組んでください。」
ぺ、あ?
「えっ………と、ぺあって?」
「おい……聞いてなかったんか……」
「、これは男女ペア2つずつで班が組まれるんだよー。」
「へー……そなの?」
「うん、で、俺が誘ったの。」
「あっ、そーゆこと!じゃあ、よろしくお願いしますっ……!」
「うん、よろしくね。」
「えっと……芝浩介くんだよね。私でよければペア組んでください。」
「…!うん。」
察する。きっと芝くんの片思い。
でも芝くんかっこいいタイプだよね?
優ちゃんのタイプってこんな感じじゃなか
「ねぇ、………ちょこ?あなた…何か言いたいことでも?」
ひぇー……、周りの人みんな………怖いっ
「じゃ、この4人で組もー!」
「うんっ……!!」
そしてー、4人グループが出来たとさ…
☆
☆
☆
放課後。
「今日なんかあった?」
「えっ、なんで。」
「いつもより笑顔。」
ふっと笑う先輩の顔は妖艶で綺麗。
「宿泊体験で、朝日くんと組むことになったんです!優ちゃんは、優ちゃんが好きだと思われる男の子と組んで……、それでこの4人で
班になって知らない人あんまいないから嬉しいんですっ」
「………へぇ、宿泊…体験ね。」
「先輩もいったんですよねっ」
「うん、行ったよ。」
「誰と組んだんですか?」「…知りたい?」
「一応?みたいな。」「えっと……確か
美園?って言うやつが言い寄ってきてウザかったからそいつと。」
「………そうですか。」
聞いても意味なかった。だってわかんないもん。。。
「…………ちよか」
不機嫌なのが丸出しの声。
顔も口がへの字になってる……
「先輩…?どうかしたの……?」
「………ん、、家に着いたら話すよ。」
「ええっ………、今話して下さいっ…!」
「や、だ。」
笑顔でそう答える先輩は………
言いたくないって言うか言うのが面倒くさそうに感じる。
「……、話してー。」
「……………キス、してくれたらここでもいーよ」
「えっ………」
き、キスっ
無理無理無理っ………!
「ほら、してみなよ。」
グイッと迫ってくる先輩。
ニヤって笑う先輩。
この先輩はキケンだ。
「………っ、」
私はぐっと、胸板を押す。
あの時と同じ。ビクともしない。
「……、1回でいーから。」
悲しそうに……、子犬のように見つめる先輩
「…………っ、目閉じて下さいよっ…?」
「…ん、」
わ………、先輩目閉じてても絵になる…
「はーやーくー」「……っ、うぅ…」
「3ー2ーい」
もうやけくそだぁっ……!!
ちゅ…
「「…………」」
せ、……せせ、先輩キレてる………、、
そうだ……、私は口じゃなくて頬にキスした。
「…千代華。そんなお仕置ほしいの?」
「……っう、」
「千代華が悪いんだからな。」
そう言って車の中なのに押し倒された。
「……っ、ん、……っふぁ、………っぁ」
長くて深いキスをずーっとされる。
「………ひぁ………っん、、ぅ」
「今日はここまでにしてあげる。」
「………っはぁ、」
先輩のキス長いっ………
「あ゛ー、その顔やめてー。」
「………ふ………ぇ?」
「もっとしたくなるでしょ。」
「!!!はひっ……」
「ちょっと傷ついた。」
また今キスされると私っ………容量オーバー
になってしまうっ………
でも、やっぱ………、いやだめでしょっ…!
「…ん、着いた。いこー。」
そう言って先におりて、手を差し出す先輩。
その仕草がすっごく王子様に見えた。
っていうのは内緒。
♡
♡
♡
「で、はなしてーっ…!家着きましたよ」
「はいはい、膝に来たらね。」
「…………」
「嫌な顔しても無駄ー。」
うぬぬっ………、
恐る恐る近づく。
「ひゃ……っ、やめ……太ももやぁ……っ」
「んー、じゃ話すねー。」
「離すっ…!?やっ「そっちのはなすじゃないよー。」
ううっ………、
「俺と千代華付き合ってるでしょ、」
「は…はい。」
「んで、とーぜん浮気NGでしょ。」
「そうですね……」
浮気する相手すらいないし……
「んーと、言うの恥ずいな…」
「…??なんですか。」
「そのあさひくんに嫉妬したの、
俺が。」
「………?あっ、もしかして朝日くんのこと
先輩好きだったんですかっ…!」
「……違う。」「あれっ…」
先輩は何が言いたいの……っ?
「千代華がその男と組むって聞いて妬いたの。わーかーるー?」
「……………へっ、」
「……顔真っ赤ー」
ぼんっと赤くなった自分の顔。
わたしっ?
「とゆーことで、男子と仲良くしないでね」
「……………男子……、、仲良く…する人……い、る?」
「あさひくん。」
「………っ、あぁっ!朝日くんか。」
人見知りだから……っていうか
男子と仲良くするのあんまりないからなぁ…
「先輩っ、大丈夫です!朝日くんは、
ちょーぜつかわいー女の子に片思いしてるらしいですから!安心してくださいっ!」
「……はぁ……、だからだよ……」
「…?」
そういえば先輩はどのくらい恋愛してきたんだろ?ちょっと気になるっ
「あの先輩ってどのくらい恋愛経験あるんですかっ?」
「えー、、なんでそんなの聞くの?」
急にニヤニヤし始めた先輩。
わ……、、良くなかったなぁ
「他意はまったくないです!!」
「ふーん。ま、言うわけないんだけど。」
「っえ、なんでっ?」
「千代華が俺に好きって言ってくれたら言ってもいいけどー?」
……………どうゆう反応したらいいの…
「だから、早く俺に堕ちて。」
先輩の目は優しさもなく真っ直ぐ。
赤く染った瞳が光ってる。
普通に、恥ずかしい…っ
どうすればいーのっ…?
「ごめん。困らせた。キス…しよ。」
そう言うと私の唇に落とされるキス。
そのキスは甘ったるくて、
辛い気がした。
「千代華。」
私にキスを落とす唇が愛おしそうに呟いた。
ーーー
shortstory
辛くてヒリヒリ。
でもやっぱり甘い。
END
「わぁぁ………っ!!綺麗だねー!」
目を見開き、写真を撮る。
わたしたちの宿泊体験は、忙しく早い日々に乗せられて当日を迎えた。
最初は、もうやけくそだったんだけど
来てみると綺麗で言うことなし!
「千代華……、まだホテルついてないぞ」
私たちは朝からバスに乗り、目的地へと向かっていた。
噂によれば、私たちは長野県のホテルに行くみたい。
噂っていうのは、私が嫌すぎてなんもきいてなかったからです、( ◜ω◝ )
「むー、騒いだっていいじゃんっ」
「おいおい、大声だすなよー…」
「ビルばっかりの街に見飽きてたから、こーゆー緑がいっぱいのところすっごく綺麗…」
うっとりした目で見つめる私を半ば呆れたように笑いながら見てるのはペアの朝日くんで
ペアは隣の席になるらしい。
で、さらに通路を通してあはは……と軽く笑っているのは同じ班の芝くんと優ちゃんペア
「そんな扱いでいーの?あとから出てきた会長様にすぐ奪われちゃうわよ?」
「………っ、分かってる…、」
?
何の話をしてるの?
よくわかんないけど先輩の話?
そういえば先輩に…あんなこと言われたけど
私どうすればいいんだろ……
……
昨日
『ひゃ……先輩なにっ?』
『千代華、明日体験じゃん?』
『は、はい……そうですけど。』
『その、あさひくんには気をつけて。』
『……えっ?どうして?』
『ん、……とにかくあんまり2人きりには
なんないで。』
『……?…よくわかんないけど、分かりました。』
『……それでよし』
♡♡♡
ということがあって……、それと2人が話してたのが関係してる気がするの……気のせい?
うーん……
1人で唸っていると、乾いた1人の笑い声が聞こえる。
?
あっ……芝くんっ……
芝くんが悲しそうに、眉を下げてる。
朝日くんが、説教(?)優ちゃんにされるから……!!
私は悲しそうにする芝くんの代わりに朝日くんを睨みまくる。
「……な、なんだよ…」
「ふんっ、」「おい……」「ざまぁみろ聖」
そうして、みんなのピリピリが収まったのは
朝日くんが降参だ……というように
「すみませんでしたー、」
と言ってからだった。
「ね、トランプしない?」
芝くんが思いついたように言う。
「いいよー!何する?」
おっ、優ちゃんが乗った。これで安心。
「でもバス内じゃ、厳しくね?」
「じゃあ…UNOしよーぜ。」
「おーいいねー!しよしよ」
☆☆☆
そうしてUNOを楽しんでいた。
「……〜っ、はい!UNO!」
「は、はぁ?な、なんでそんなにはえーの?」
「朝日くんが枚数多いだけでしょ!優ちゃんと芝くんもう終わってるじゃんっ」
「ぐ………、、意味もないリバース…」
「はいっ、あがり!」
「朝日、弱……」「ね、聖やば…」
「なんか、お前ら酷くね……?」
「「ホントのこと言ってるだけだし…」」
「小声で言うなよ!傷つく!」
「…………、あっ、そういえばさー!」
芝くんが急に声をあげ、空気を変える。
額には、うっすら汗が浮かんでるし
朝日くんに目合わせないようにしてるのかな
とはいえ、なんだろ?
「生徒会長と、千代華ちゃんが付き合ってるって言うの聞いた事あるんだけど、
実際どーなの?」
私の方を首を傾げて聞いてくる。
「あー……えっとねー」
えっと…芝くんはしらないんだっけ?
「ふふふ、、浩介くん私が教えたげるよ、」
「え?ちょ、優ちゃんっ……」
止めても一切効かないタイプ……!!
優ちゃんたまにデマ流すから……!
あのね、と優ちゃんが口を開く。
「ちょこは、無理矢理恋人状態にさせられたんだけど今ではもうハマってきちゃって、
毎日溺愛してくる会長が気になり始めてるのよ⭐︎」
「うん………、最後ら辺デマ……」
「でも、ちょこかいちょーのこと好きなんじゃないの?顔赤らめるしぃー」
「わかんないもん………、恋愛経験0だし…」
私って湊先輩のこと好きなの?
確かにキスとか……色々されるしドキドキ普通にするし…強い抵抗もしてないし…けど、
「恋って……結局、よくわからなくて…」
「まぁ、いつかわかる!!」
優ちゃんがそう言う隣では芝くんがうんうんと言うように頷いてる。
芝くんは、優ちゃん、でしょ……
「まぁ、別にまだわかんなくていいじゃない?」
そうかな……、
私の事を撫でる朝日くん。
私、だけかぁ………
ちょっと落ち込む…、恋したら変われるのかなぁ……、
「………まぁ、重い空気が流れたところで、
ちょこの会長の秘情報を流すとしますか」
「…、それだけはやめてくださいませ優ちゃん様。」
「はいはーい!俺たちその話聞きたいです」
「はーい、容赦なく
「わぁーーー!!!?優ちゃんあそこにUFOが見えるよー!!?ほらいい景色とUFOが
あるよぉぉぉ」
☆
そうしてひとつの黒歴史が出来たとさ☆
ーーー
「………っうぐぅ………」
「早くして……ってば、ほら」
「うう……だってぇ……」
私たちの雑談バスタイムはもう終わり。
目的地につき、1つ目のポイントに来たのですが……
「こんな山きいてなぁ………いっ……って」
「聞いてなかっただけじゃね?」「うんそうだと思う。」「ちょこの自業自得」
「うっ……みんなで言われると傷つく…」
「分かるか、さっきの俺の気持ち。」
「まぁ、仕方ないよね。」「うん仕方ない」
うう……、運動神経おバカ………、、
共感してくれる人は居ないの……
「うう……、」
「さっきから、唸りすぎ……って、ちょこ!?」
「へっ……あ、うぇぇぇえ」
私はなんと山道から外れて崖の方を歩こうとしていた。
あ、あっ、あしばがなっ……
「千代華…!「ちーよか、だいじょぶ?」
咄嗟につぶった目のせいで、誰だかわかんない。
でも………だい、じょぶ…?
「っ…………あ、た、たたた小鳥遊くんっ…!!?」
「早く登ってみれば、落ちそうになってる人いるからびっくりした。」
「あっ、ありがとう………っ、命救ってくれて」
「大袈裟な……」
軽く笑ってから立たせてくれる小鳥遊くん。
「ご、ごめんね……迷惑かけて………って、
私たちが最初のクラスの班だから小鳥遊くんたちの班すっごく早くない………っ、」
「あー…、俺の班2人欠席、1人遅刻。」
「ええっ……!?」
そんなこと……あるのっ……?
「1人じゃ寂しーから一緒に行こ…?」
「う、うんっ……?」
よくわかんないけど、小鳥遊くんってうさぎみたい……だなぁ……
まぁいっか!
「あのぉー」
優ちゃんが手を挙げて言った。
「?はい、そこの人。」
どうしたんだろ。」
「会長は知ってる。けど、副会長まで絡んでくる理由はなんだ!?ちょこに執着しすぎじゃないっ!?」
ビックリマークとハテナ多かったな……
で、でも、どう言えばいいのでしょうか…っ
「ん、会長に千代華を守ってって命令された
四月一日家専属の執事家庭だからな。」
「「「……ま、まじ?」」」
聞いていたみんなが信じらんないという顔してこちらを見つめる。
「だから、ごめんね。千代華に付き纏ってます。」
「優ちゃん…!やましいことは無いから安心してねっ……!!」
私はハッキリ口にする。優ちゃんはまだポカーンとしてるけど。
「………やましいこと、ね。不純かもしれないけど」
?
ポカーンとしてる優ちゃんは、ハッとして戻り次は疑問を持った唸りに変えた。
「う、うーーん?(訳:え、じゃあなんでそんなにくっつくって言うかそんなに距離が必要なんだろ、まさかだけど副会長…)」
「…………ま、とりあえず、よろしく?」
「……う、うん!!」「「……うん、、」」
「………」
全員微妙な反応をしながらも、全員頷いた。
私たちは微妙な雰囲気を抱えながら、協力し山を登りきったのであった………
(元から全然高くない山。1時間でよゆーで着く。)
☆☆☆
「ふぅー…っ、温泉気持ちぃー!」
「そーだねっ、優ちゃん。」
「ホント生き返るわー!入学したばっかだし……、今日色々あったし……」
手を伸ばし爪を見る優ちゃんは、口をタコのように尖らせている。
可愛い………、
「ねぇー、ちょこ」「…どうしたの?」
「ちょこは、近くにいる男子とかってどう思う?」
「んー…ちょっとまだ喋りづらいし、
苦手な人は苦手かな……」
「じゃあ……聖とか浩介くんとかは?………あと小鳥遊くんとか……」
「……うーん、」
あんま考えてなかったなぁ……
「朝日くんは、意地悪だけど優しいし…、芝くんは、表情コロコロ変わるのがいいなって思うし、小鳥遊くんはー、助けてくれるし……、みんな優しい友達……って思うよ」
「そっか……あのね、私……さ、、」
「うん?」
物言いがハッキリしてる優ちゃんには珍しいくらいごにょごにょしてる。
悪口じゃないから。
私もう失敗しないよ…!
「優ちゃん、言いたいことあるんだったら
はっきり…言っていいんだよ……?」
「………うん、……その私…、
浩介のこと好きに…なっちゃった…」
アハハ、と笑っている優ちゃん。
顔赤いけど、きっと温泉だけのせいじゃないでしょ?
「……ふふ、そっか……、」
優ちゃんには、中学生なのにやっぱりすっごく綺麗で、モテるせいかくしてるからやっぱ
彼氏っていう存在が途切れなくて。
でも、最後の彼氏は1年前のクリスマス。
優ちゃんの14歳の誕生日の時に、彼氏の浮気発見で別れちゃったの。
優ちゃんは、悲しそうに「ちょこがいればいいやぁ…」って笑ってたけど。
私がいればって言っててくれたのに、
私なんも言えなかったんだ。怖かったから。
だから恋っぽい話題……私自身避けてたんだけど。
私は突如泣き始めてしまった。
「…え、ちょ、ちょこ?泣かないでっ!?」
「う…ぇ………、辛い時に慰められなくてっ………、優ちゃんっ………、よか、良かったぁっ………うっ……う゛〜……」
辛い時に、なんも言えなくてごめんなさい。
ってずっと謝りたかった。
「ごめ………んねっ……、よかっ……た…
ぅう゛〜……っ、」
「も〜泣かないでよ……つられ泣きしちゃうじゃない……っ」
ここの温泉広いから同じお風呂の班以外の子にはバレていないみたい。
「どどど、どしたのー!?優、千代華ちゃんっ……!!!」
「2人に泣かれるとこっちまでつられるよぉ……ううっ………」
「え!もしかして転んだ!?ここ滑るもんね!!」
…心配してくれる人が居てくれるって嬉しいんだなってちょっと感動。
「千代華」「優ちゃん」
私達は1度目を合わせて涙を拭く。
「…っ、ごめんねー、なんでもないよっ」
「ありがとうっ…心配してくれて」
「っぐはぁ………っ、天使2人にその笑顔はキツいって………」
「まじそれな…」
私達は、歯を出して笑った。
♡♡♡
「はぁー……、のぼせたかも…」
そう言って苦笑する優ちゃんの顔はほんとに赤い。
「慰められてたら、いつの間にか時間結構たっちゃってたね…」
私もちょっとのぼせてる…
「ちよかーー、ましろーー」
「「?」」
あ、朝日くんだ。
「班反省会の時間だから、食堂の机借りて
話そーぜ「優ちゃん、顔あっか……、のぼせた?」
あちゃちゃ……、朝日くんめっちゃ唇かんでる……
まぁ、ここは芝くんの会話に乗ろうかな……
「私はだいじょぶなんだけど、お風呂の最中
で色々と事件がありまして……長くなってしまいましたのよ……」
「そっか……って、え?」
「……ん……」
「あ、優ちゃんアウトだ…」
芝くんのスウェットを掴み胸に倒れ込む優ちゃん。
うほー、大胆ですねぇ……
「………」
芝くんはパニックで止まってるけど。
「おい、こうすけー」「……………っあ、ごめん。」
お、戻った
「ちよかちゃん……どうしたらいいと思う?」
「うーん……、部屋に運んで休ませるべきだと思う!」
「だよね……、」
でも優ちゃんのスウェットを掴む手の力が緩むことはなく……、
うーん……取れない。私がおんぶしようと思ったんだけど。
…………いやまてよ?もっといい方法があるじゃないか!!
「芝くん…、何やってもこれ多分無理だからさ…芝くん優ちゃん抱っこして運んでくれないかなっ…?」
「…………え、」
「お願いします……!」
「……………………うん。」
何か覚悟を決めたかのようにする芝くんは、
軽々と優ちゃんを持ち上げた。
あら、すごい。
優ちゃん……ちゃんと写真後で見せるね…
撮ってとおいたから……
そんなことを頭にうかべながら、隣の部屋の休憩室へ
運ぶ芝くんについて行った。
☆☆☆
「芝くん、これ氷枕と、水と、体温計!!持ってきたー!!それでなんだけど………、その優ちゃんのこと頼める?」
「え…?」
「そのー私、大浴場にちょっと忘れ物しちゃって……、戻んなきゃ……!!」
「俺も着いてくー、千代華。」
「あー、じゃ、先生に伝えに行ってくれる?さっき言うの忘れちゃって」
「ん、おっけー」
「じゃ、芝くん、お願いできますか……??」
「あーー……うん、任せて!」
「ありがとう…!なるべく早く帰ってくるね…!」
私は朝日くんの腕を掴み、そそくさと休憩室を出る。
「ふぅ………、」
「なぁ、千代華。」
「んー?」
「浩介さ眞白のことずっと好きで「やっぱり!?
好き好きオーラダダ漏れだったから、気になってたのーー!」
「しー……」
おっと……んんっ、
まだ休憩室の前だった。
「そっかー、やっぱり好きだったんだぁ」
「やっぱりって……その、好き好きオーラって
例えば?」
「えー…、朝日くんと優ちゃん話してる時さバスで。
すっごい悲しそうにしてたんだよ…!?芝くんの話相手勝手に朝日くんがとるからぁっ……!」
「だから、静かにしろって……、
あれ、話してるわけじゃねぇし……、説教受けてただけだし………、」
「知らないよっ…、朝日くんがそれ悪いじゃん、
結局………」
「まぁ、……それは置いといて……」「逃げたな…」
「眞白って………その、好きなやついんの?」
「………ぷっ」
「何笑ってんだよ……」
「いやー、真面目に恋バナしてるのちょっと笑えちゃって……あははっ……」
「…………ꐦ……で答えは?」
「もー……だいじょぶだよ、上手く行けば、ふたりのいい知らせがきけるからっ」
「…………つまり、」
「そーゆー事よ。さっき長くお風呂入ってたのは、
その話をしてたの、恋バナ、恋バナ。」
「………そっか、」
朝日くんは控えめに、でも嬉しそうに微笑む。
「いい知らせが聞けるといーね…!」
「まぁ、でも、浩介地味にヘタレだからなぁ……」
「酷くない、芝くん優しいよ。ドジで転んでみんな呆れてたのに、芝くん。気をつけてね、大丈夫?って
言ってくれたんだからー!」
「……、大丈夫か?」
「至って正常ですぅーーー」
「拗ねんな、拗ねんな……、」
ぽんぽんっと頭を撫で、優しい顔をする朝日くん。
こ、子供扱い……してんな……、
てか、そんな優しい顔初めて見たよ……
なんだか気恥しい………、
うう………はやくおわれぇーー
そう思っていたのに、朝日くんの手は背中にまわる。
えっ、あ、、えっ……と?
背中の方にまわしていない手で私の頬を優しく触る。
「ひゃっ……」
思ったより冷たい朝日くんの手にびっくりする。
「ど、どうしたのっ…?」
聞いても、無言なままの朝日くん。
や、やる人間違えてませんか、、
離れようと思った時、力強く抱きしめられる。
「好きだ。」
「………………へ、?」
時が止まったと思った。
朝日くんには、好きな人が……いて、
それが………えっと、わたし(?)で……え?
「ちょまって、朝日く「あの受験の日からすきだった。俺と付き合って欲しい。」
受験日……って、あの道教えてもらった日…、
「……っ、えっ……と、とりあえず離してっ…?」
「………、やだよ、離したら逃げるじゃん」
「…っ、逃げないから…あの、その……離してっ?」
「………わかった。」
力が緩み、離れる体。
やっと離してくれた……
でも、、……。
「な、会長より俺を選んで…?
俺、無理やりなんてしないし、幸せにする…」
「……っ、」
わたしは今の状況が飲み込めないでいた。
どうすれば、いい…の?
先輩とわたしは確かに偽カップル同然だ。
だからって………、でも……、
頭の中がぐるぐるして、パンクしそう。
失礼なことしちゃうけど、
わたしまだわかんないから……
「ごめん……っ、その今頭ぐるぐるしてて……その
……考えさせてください」
「………、まぁそーだよね、」
あははと笑う朝日くん。目には少し悲しみが
映っている。
「俺には……チャンス少しでも………ある?」
「…………、わたし、朝日くんのこと、頼れるお兄ちゃんみたいに思ってて……、」
「……うん、今はそれでもいい。だからこれからは意識して欲しい。俺本気だから。」
「はひっ」
「かーわい。」
ひょええっ………、
めっちゃ言葉甘いっ……
でも、……先輩と違ってドキドキ…しないんだ。
「…………困らせてごめん…、けど好きだから。」
「……っ」
みるみる顔が赤くなる。
「ん……、好きだよ。」
ふっと笑う朝日くん。
私の首筋近くに顔を埋められる。
「………ひゃあ……!?」
変な感覚とするとともに、チクっとした痛みがじんわりと走る。
私は思わず、彼の胸板をグッと押して後ずさる。
「なに……してっ……」
「鈍感な千代華は気づかないでしょ?だから、アピールより攻めた方がいーでしょ?」
えっ…?えっ……?
よくわかんない……っ、
けど、
「も、もうこんなことしないでさっ……
優ちゃん迎えに行こうっ……!!」
「ふっ、はいはい。」
そう言ってわたしたちは
早足で休憩室へ向かった。
そこを誰かに見られていたのも、知らずに……、
☆☆☆
ガララっ………、
「あっ………、チョコ!」
そう呼んで入ってくるなり私のことを抱きしめる優ちゃん。
「どうしたの?もしか、し、て………、」
「えへへ、……付き合うことになったよ」
わぁ……!今の優ちゃんすっごい…輝いてる、
「ちょっと優〜?」
「ごめんっ浩介くんっ」
優ちゃんは私から離れて、浩介くんを抱きしめる。
「浩介、呼び捨てはやー」
棒読みでいってるけど、朝日くん顔めっちゃ緩んでるよー?
「…、千代華ちゃん、ありがと。」
「ふふっ、いえいえ、」
「おーい、俺はー?」
「?」
優ちゃんすっごい笑顔。
良かったぁ………っ、
「ねー、聖は?あんたらも2人きりだったでしょー」
「あー……告白して、アタック中。」
「!!!まじ!?告ったの!」「おうっ」
え?え?な、にっ……
朝日くんが腰に手を回して体を寄せる。
ちょ、朝日くんってば……!!
「覚悟しとけ、千代華。」
「えっ……あ、ぅ…無理っ……」
「あー……、甘々な聖みてらんない……、
会議始め「ううううう、うん!!」
「千代華ちゃんどもりすぎだよ、」
そうして1日目が終わった。
ーーー
一方お留守番の生徒会長。
「あ゛ー、イラつく…」
『まぁまぁ、』
「聖?だっけ、なんなのそいつ」
『まぁ、確実に好きなんでしょうね、千代華のことが』
「……あ?なに、普通に呼び捨てしてんの?」
『………、別に』
四月一日湊は、千代華の状況報告として小鳥遊と電話していた。
『あ、かいちょー』
「………なに?もう切るけど」
『俺好きになっちゃいました。』
「………は?」
『その、聖ってやつと同じように全力で奪いに行き』
機械音が無駄に広い部屋に響く。
「最悪だ……、」
そう言って四月一日湊は、重いため息をつき頭を抱えた。
ーーー
ミントの刺激long story
第二章
fin
side 芝 浩介
わ……顔真っ赤だなー…つらそ
本当に大丈夫かな……
「優ちゃん〜……」
運んでいる最中千代華ちゃんが心配そうに彼女の名前を呼ぶ。
まじで大丈夫かな……、てか好きな女の子運ぶとか
………、死にそーー…、可愛い……
彼女の手がぎゅっと…俺のスウェットを掴み、
離さない。
可愛い……
てか、軽すぎない……
何食べてんだ……
歩き始めると彼女の髪ゴムがぱらっと取れ、いつもあげている前髪がピンがなかったせいか落とされる。
わ………いつもと違う感じ…する。
「………っ、う…ぅ…ん」
彼女の口から声が漏れる。
おっと……っと、
声に過剰になってしまう。
気をつけて運ばなきゃ……
と言っても隣の休憩室だけど、
☆☆☆
「……、」
なんで俺今1人なの。
それは、さっきまでの出来事を辿る。
2人が気を使ったのか休憩室から出て行き、
彼女と2人になってしまった。
女と男2人にさせんの…どうなの、
「………ん……」
「………優、」
起きてないことをいいことに呼び捨てしてみる。
……、やっべ、無性に恥ずかしくなってきた。
「……、こう、すけ……く、」
「……!」
俺の名前呼んでる……、嬉し……
心の中でちょっとガッツポーズ。
でも……、辛そう。
赤く頬は染まってるし、苦しそうな息遣いだ。
苦しい……で、思い出した。
この前千代華ちゃんが言っていた、彼女の過去。
ーーー
『優ちゃん、無理……してないかな。』
『どうして?』
『もう、高校生になったとはいえ、中学生の時にできたトラウマが消えてないんじゃないかなっ……て、
ごめんね!困らせるようなこと言って……」
『…ううん、なんか……俺もゴメン。』
『……、優ちゃんの、トラウマはね……、元彼に
浮気されたことなんだ………、』
『え……』
『………、あ、ゴメン!重い話しちゃった。……芝くんも、優ちゃんに無理しないよう言ってくれると助かる………、私なんもできなかったから、』
最後らへんは小声すぎて聞こえなかったけど、悲しそうな千代華ちゃんの声のトーンに、俺まで意気消沈した。
……俺が……、助ける。
俺はその言葉に強い意志を持った。
ーーー
「………、俺が……助けるから、」
彼女の小さな手に俺の手を合わせて言った。
………、俺声大きすぎたかも……、やばい……
俺は慌てて手を離し、近くにある椅子に座った。
少しだが、ピクッと手が動いたのがわかった。
やばい、起こしちゃったかも……、
「………ん、浩介くん…?」
薄く目を開き、俺の名を呼ぶ。
「あ……ゴメン、起こしちゃった…」
「……ん、大丈夫……、むしろ、起こしてくれてありがと」
柔らかい笑顔で笑うところは、初めてで胸が少し高鳴る。なんか……、男っぽくない?
じゃなくて……
「俺いると、寝づらいよね。千代華ちゃんが帰ってくるの部屋の外で待って」
る、よりも先に彼女が俺のスウェットの袖を引っ張ってベットに座らされた。
「…え、」
「やだ……、行かないで……」
俺の袖を掴んだまま、うるっとした目で上目遣いされる。
いつのまにか、体を起こしていたみたいだ。
…………まっ……、て。可愛すぎるんだが…?
「……」
俺は無言で立った。
「……え、浩介く……」
本当は行きたくないけど、これ以上いると彼女に何をするかわからない。
それが嫌われることになるわけで、彼女のトラウマになってしまったら…と、思うと怖いんだ。
「………、好きっ…!」
彼女か張り上げた声で言う。
振り返ると、耳まで赤く染まった顔を隠そうとしている。
「……、本気じゃないなら、言わないでくれると、」
思わず言ってしまう。
だって、優ちゃんと関わるようになったのは、ここ最近…、この宿泊施設の時から。
俺が好きになったのは、入学式だけど。
「……っ、本気だよっ…」
優ちゃんは顔を覗かせて真っ直ぐ俺の目を見る。
「………っ、ごめん」
え?優ちゃんが、俺を……好き?
……まじで?
恋愛的……だよね?そーじゃなかったら、ショックえぐい、んだ……けど、、
手で口を押さえる。
優ちゃんに酷いことを言いたくないから。
「ゆう、「私……、部屋帰るね、」
地味に震えている彼女の声。
よく見ると、彼女の目は涙で濡れていた。
頬に電気で光る涙の跡。
「え、優ちゃ、まだ寝て「ごめんっ……、私なんかがっ…」
ベットから降りようとして、よろける優ちゃん。
あっぶな……
急いで支える。
「まだ全快じゃないでしょ。」
素直に言ったんだ。
「私に…、優しくしないでっ……」
優ちゃんを……、傷つけた。
俺はなんて言ったらいいかわかんなかって
「優……‼︎」
ただ彼女の名前を呼んだ。
流石にびっくりしたのか動きがピタリ止まり、
肩だけがビクッと震えた。
「優、お願いだから俺から逃げないで……
逃げられるの悲しい。」
何が優ちゃんを傷つけたのかわかんないけど、優ちゃんの目から涙が1粒こぼれ落ちた。
「……っ、」
「逃げられるのやだ」
「なん、……で?私浩介くんなんて…浩介くんなんか
見たくないっ……!」
なぜそうなってしまったのか俺には分からない。
「優ちゃん、俺の顔ちゃんと見て」
優ちゃんは、さっきから目を合わせずに、下を向いて必死に合わせないようにしている。
いつも強くて頼りになる彼女が、自分の恋愛のことでこんなに弱くなるなんて……クソ元彼が
トラウマが優ちゃんを縛り付けてる。
「優ちゃ……優。」
「やっ………やぅ……、恋なんてやっぱしなきゃ良かった…っ、……っふ、」
止まらない涙と彼女の素直な言葉が、俺の心を暴れさせる。
今、恋……って言った?
「優、俺のことどう思ってるの?」
「……っ、嫌い」
「……、本当は?」
しばらく黙る彼女の目線に合わせ、屈む。
「……好きだよっ…、浩介くんと付き合いたいっ…のっ……!」
その言葉を聞いた時、俺は彼女の襟ぐりを引っ張り
唇を重ねた。
ゆっくりと離れると驚きからか、涙が止まった優ちゃん。
「…………え?」
「目パチパチしてるのかわいーね、」
「遊び……なのっ…?」
「ううん、違う。今のは、俺も同じだよって言ってるの」
「…………っえ、、あっ、え……っ」
混乱してあたふたしてる…、初めて見るなぁ
一度深呼吸をして俺に言う。
「つまり、あの……私の、こと?」
「………好きだよ、優ちゃん。俺と付き合ってください」
頬を軽く触り撫でる。
彼女は俺の手をとって
「…喜んでっ……!」
涙を堪えて微笑んだ。
「……ん、可愛すぎでしょ。」
「……へ?」
「好き好き好き……、まじで好き…」
「………っ」
赤面する優。顔を隠そうとするところを手を掴んだできないようにする。
「……っ、私も好きだよ…っ」
可愛い……、
ただの一目惚れだったけど、こんなに惚れ込むとは
思わなかった。
もう彼女以外に恋することはないけれど、
恋はするもんじゃなくて、落ちるもん。
それを学んだ。
前までは恋をしてたけど、君に
落ちたんだ。
ーーー
カカオ量高め?
fin
ーーー
第3章
塩チョコは涙出るうまさ short
ーーー「……、千代華なんかおかしい。」
「へっ……?そんなことで、「嘘つき」
宿泊体験が終わって1週間くらいがたった日。私はフツーに先輩のお家に来ていた。
終わって1週間ということは、朝日くんに告白されて1週間ということなわけで…
そう……、朝日くんにアタックされまくって、攻められているのだ。
……、こ、んなこと言ったら……先輩になんて……言われるか…・っ
「俺…、ちゃんと我慢したからキスさせて?」
「嫌って言ってもダメですよね?」
「よくわかってんじゃん…」
そう言って軽くキスする。
……?
あれ、これだけ?
「せ、先輩…っ?」「……ん?」
なんか先輩……冷たいっ…?
「宿泊体験中寂しくなかった?」
「さ、びしくなかった……もん。」
それは嘘で、毎日甘やかしてくれる先輩がいないとちょっと…悲しくて……
「千代華、そんな顔しないのー、襲っちゃうよ?」
「むっ……」
「まぁ、良いやー。……、イタズラしたいから首みーせて?」
ど、どう言うこと?
イタズラやなんだけど……
しかも私…首、苦手だ…し、
「……そんなガードしないのー、俺寂しかったんだからね」
「……っ、…」
「…………、赤いのが見えると思ったら……くそ、」
「……?な、に?」「……んーん、でもさ」
「男子にここ…、触られた?」
「………へっ…!?」
な、ななな、なんでわかるのっ……!?
でもこれ言ったら……、なんかされ……
「嘘つきはお仕置きだからねー」
「うっ……」
本当のことを言ったら怒るのは目に見えてる。
いや、でもきっとバレない…!!
「なんも、…何もないですっ…!」
「はい、嘘ついたね〜…バレッバレなんだよ…」
「ひぇ……っ、」
先輩怖いっ……、口調変わってるもん……
「……んっ、ふぁ……ぁっ……、」
「声、えっろ…」
強引で余裕のないキス。
いつもより、優しくない。あらい。
「やっ……ぅ、、先ぱ…っ、ふ…ぁ、
ほんとに…、どうしたんですかっ…!」
「………」
先輩の頭の優しい目はなくて、冷たくなっている。
いつも…こんなんじゃないのに、
「他の男できたの?」
「え?」
先輩なに言ってんの…?先輩…私の彼氏じゃないの?
「首、うーっすら、だけど赤い跡あるよ、」
「…え?な、何ですか…っ?それ、」
赤い跡って……何?虫刺され!?やだ……っ!
「キスマーク。」
「あー、………ってえ!?」
え?キスマークって……あの!?
い、………つ……って、まさか!?
朝日くんにあの時っ……!?
「……、顔青ざめてるけど……、他の男と遊んで楽しかったー?」
「ち、ちがうっ……!!これちがく…て、」
「良いから…嘘つかなくても、」
「嘘じゃな「あ、もう6時じゃん、そろそろ帰んなきゃね。」
私の話を遮り、帰ることを話す。
何で話逸らすのっ……?
違うのにっ……!!
「今家帰っても誰もいないからいい、先輩と話す。」
「……なんで?」
「……っ、ダメ…?」
先輩いつもなら帰したくないっ…て、言うじゃん、
この話するのはやなのっ…?
「………、」
気まずそうに眉を寄せている先輩。
何で…喋らないの。
扉に3回ノックをされる。
「失礼致します。小鳥遊です。」
「あっ、小鳥遊く「千代華…だめ、おいで。」
だめ……って?
小鳥遊くんの姿を見て駆け寄ろうとした時
先輩がそれを遮った。
え?な、なに……っ?
「小鳥遊くん、用事あってきたなら「いーから。」
ど、どう言うことで……?
「……かいちょー、言いましたよねー?俺容赦なくやらせてもらいますよー?」
た、小鳥遊くんっ……!?
「…、今ヨユーないんでしょ?頭冷やすついでってことで、俺千代華もらいますよ。」
「へっ……?」
「……行かないで、千代華」
「………っ、」
悲しそうに声をだす先輩。
……
「先輩、頭冷やしたら…?話何も聞いてくれない先輩……やだよ。」
「……っ、、」「かいちょーバイバイ♪」
パタン…
「…………」
沈黙が流れる。
「…小鳥遊くんありがと。」
「邪魔したいから入ったんだけど……な、」
あははと笑う小鳥遊くん。
「…?」「まぁ…いっか、休憩室くる?俺の」
「えっ……、あ、うん!」
☆
☆
☆
コト…
テーブルにカップが置かれる。
「はい、これお茶。」
「あ、ありがとうっ」
執事さんの休憩室なんだよね、
すっごいカッコいいシックな部屋だなぁ。
「さてと…、何でさっきすっごい不穏だったの?」
「えと……じつはね」
あったことを話した。
黙って聞いてくれたことでモヤモヤがちょっと消えた。
「ふーん…、あ、本当だうっすいけどあるね」
「………」
うー……、朝日くんに後で叱らなきゃ……
「ま、ゆっくりしてって」
「…!」「この部屋いろんなものあるし、休んでていーよ。」
「……いいの?」
「うん、どーぞ」
「じゃ……お言葉に甘えて…」
「だめ。だめだよ、」
この声…
「おー、かいちょー…きたんだ?」
「……千代華、ごめん…、話聞くから。」
せ、先輩は何がしたいんだろう……
でも、
「先輩っ」
私は先輩に駆け寄った。
来た瞬間私のことをぎゅっと抱きしめる先輩。
あはは、私も何がしたいんだろな……
「よし…行こ」
私は先輩に手を引かれ休憩室を出た。
「………、勝てそうにないな…、まぁ、できるだけやってみっかぁ……」
☆
☆
☆
そうして先輩の部屋に戻ってきた訳だ、が。
「も、……む……りっ、先輩っ…」
「……だめ、妬かせたお返しだよ」
「ん……っ、ふぁ……っは、」
「そんな声他の男に聞かせたらだめだからね、
わかった?」
「こ、こんなことするの先輩だけでっ…」
「キスマつけられてたくせに」
「急にされたから…わかんなくてっ…んっ、んぅ」
先輩のキスは止まらない。
先輩……きっと、経験多いんだ…な、
胸がぎゅっと締め付けられる。
先輩にとって私とのキスって…なに?
…………わ、私何考えて……っ、やめやめ!
この胸がズキズキする感覚が、
私にはまだ分からないままだった。
「先輩。」
ーーー
ぬるいような冷水?
fin
翌日、私はいつも通りに登校した。
下駄箱に靴を入れ、上履きに変えた時。
「あ…千代華ちゃん!」「おはよう、ちよかっち、」
「……、あ、おはよう!夢ちゃん、梨花ちゃん」
同じクラスの瀬戸里梨花ちゃんと亜城夢ちゃん。宿泊体験の時にすっごく親切にしてくれた美女さんたちだ。
でも急に話しかけてくるなんて、どうしたんだろう?
いや、話しかけられるのが嫌とかそう言うのじゃないんだけど……
「おはようっ、急でごめんなんだけど……」
夢ちゃんが、私に淡いピンクの洋封筒を渡してきた。
「これ、私に…?」
そう聞くと
「私じゃなくてね、……」「確か、美園先輩?だっけな、なんかねー、『これを羽瀬来千代華にに渡してくれ』って、言われたんだ」
「…みその…せんぱい?」
「そう、美園先輩……?美園先輩だよね夢。」
「うん、美園先輩だよ」
失礼だけど………
「美園先輩……って、誰だっけ…?」
「えっとねー、確か、生徒会長さんのファンクラブ長じゃなかったっけ?」
「そうそう!美園先輩って確か小さい商品会社の社長令嬢?じゃなかったかな」
「……あぁ……あの美園家の……」
とりあえず開けてみよう
内容は………
ーーー
放課後1人で生徒会室に来い。
ーーー
その一文だった。
「わ……なにこれ、、命令文とかひど。しかも一文だし。千代華っち私ついてこーか?」
……、これどう言うことなの?
「よくわかんないけど巻き込みたくないし…大丈夫!」
「………、なんか困ったことあったら言ってね!」
「たすけるからね!」
「……!2人ともありがとうっ…!」
それにしても……やだな、
迷惑はかけたくないし……穏便に済まそう。
後から登校してきた、優ちゃんたちにも何も言わないでいた。
☆
☆
☆
昼休み
「千代華。今日俺仕事あるから、先帰ってて」
「あ、はい!私も予定あるのでっ…」
「男じゃないよね?」
「ち、違うもんっ…」「女?なら言えるんじゃないの」
「……、先輩は知らなくていいのっ」
「なにそれ、傷つく」
私の唇に軽くキスを落とす。
「へっ……、あ、あのっ…ん、…っ」
キスをちゅ、ちゅ…と、連続で落とす先輩。
キスすぐする…かるいなぁ…
されすぎてもうわかんなくなっちゃった。
抵抗する意味も。
「一緒に帰れないから補充してんの、」
………てか、先輩が仕事って…珍しい。家で全部済ますか、朝全部やるって言ってるのに
嫌な…予感する。偶然…だよね、
嫌な予感がするけれど、……まぁ、いっか
私は考えを押し込んでキスをされ続けた。
「…、あ、今俺以外考えてたでしょ」
「へっ…?」
「キスこんなんじゃたりなくなっちゃった?」
「ちょ、ちがっ…」
そうして、甘い昼休みを過ごしたのでしたっ
湊side
6校時目。
もうそろそろ放課後。
俺にはやらなきゃ行けない仕事…というか接待がある。
千代華とは帰れない。
あいつ…、俺が四月一日だからって絡んできやがって……
まじ、最悪。
これでまた、千代華が危ない目にあったら俺は千代華と付き合ってる資格……
いや黒く考えちゃだめだ。
でも何だろうか……
胸騒ぎがさっきから止まない。
ーーー
湊side fin
千代華side
がららら……
係の仕事終わったしいこうっ!
「…ちょこ?どこ行くのー?」
「んー、ちょっと行きたいとこあって!みんな先帰ってて大丈夫だよ!」
「?わかった!浩介くん、行こ!」
「うん、千代華ちゃんまたね、」「またね!」「うんまたね!」
私は朝貰った……っていうか渡された?手紙をポケットの中に入れて、廊下を歩き始めた。
えーと……生徒会室は…こっち?だよね
昇降口と真反対のほうだもん!
まぁ、と言っても…全部、教室まだ覚えられてないんだけど……
誰もいない廊下を淡々と進む。
その中でも、女の子の高い笑い声のようなのが聞こえた。
「………〜〜くんったらぁ……つれないっ」
「はぁ……うるさい、声。」
生徒会室の方?かな、声が聞こえる。
声的に、2人……かな。
女の人なのは……美園先輩…かな?
もう1人って……
「湊…先輩っ?」
いや、気のせいだよね。あんな声低く…ないし、、
仕事するって言って……………
でも、それって生徒会し、つじゃ
嫌な……予感がする。
心臓がドクドクと変な高鳴り。
「し、失礼……しまーす」
そう言っても中から返事はない。
ドアノブに手をかけ開く。
中を見ると異様に豪華な絨毯。
わぁ……きれ
「もぉ、湊くんたら照れないのっ…」
い、
っ……み、な……と?
高級そうな赤い絨毯を辿る。
少し怖くて、壁に隠れながら中を覗き込む。
私……何、隠れてんだろ
目の前の事実を、認めなくなかった、みたい。
「湊くん、だぁーいすきだよっ……!」
多分、美園先輩。
湊先輩の膝に乗っかって…
キス……してた。
早く帰りたい。のに衝撃で足がすくんで動かない。
やだ、やだ、やだ,
そこで美園先輩が私に気付いたみたい。
彼女は余裕そうにふっと、笑って先輩の首に手を回し頬にリップ音をたてキスをした。
そうだ。彼女は私に見せつけているんだ。
「おい、やめろよ…リップついたし」
「えーだってぇ、ちゃんと拒否しないんだもぉん
ほら、さわってよぉ」
美園先輩の手が先輩の手を引っ張り胸を触らせる。
「ひゃん」「きも…」
「え〜?お子ちゃま彼女より色気も胸もあって最高でしょ〜?照れ屋さんなんだからっ」
「はいはい、その色気で他の男誘えば」
何で先輩は嫌なのにちゃんと拒否しないのっ?
美園先輩が彼女な訳じゃないのにっ…!
見たくないのにっ………!
私はその場から逃げ出して走った。
やだよっ……、
「………は?え、千代華?」
「んー?誰か来てたのぉー?」
「いつまでくっついてるつもり?さっさと離れろよ、
取引終了にすんぞ」
「…えー?やめてよぉてか、さっさと千代華チャン?だっけぇ?別れなよぉ〜…、つまんない子じゃん」
「は?」
「乱入してこなかったしぃーあの子湊くんに本気じゃないんでしょお?ね?み、な、と。」
「……お前が仕組んだのか」
そう話してるのも聞かずに
☆☆☆
「………っ、ふっ………うっ…」
無惨な泣き声が廊下に響く。
やだっ…………やだやたやだっ……
何で……っ、先輩は私の彼氏じゃないのっ……?
思わずうずくまる。
あ……れ、足音がする。
「何してんの、」
この声、
「っ……たかなし、くっ……うぁ…」
「………おっと、ほらおいで、」
「……っう〜ゔぁ……やだっ……」
「何が嫌なの」
私が嫌なこと……、何で泣いてるか……
「……っ、、せんぱいがっ……、他の女の子とキス……してたっ……こと、」
「…………」
小鳥遊くんは少し苦笑いをして私のことを軽く抱きしめた。
「はいはーい。そんなサイテー会長今いませーん」
ポンポンと背中を軽く叩いてさすってくれる。
私は、慰められるまま、小鳥遊くんに身を任せて泣く。
「………千代華。泣きながらでいいから聞いて」
「う、ん」
「俺、千代華のこと好きなんだ」
「……、私も小鳥遊くん頼りになるし好きだよ…?」
どうしたんだろう…慰めてくれてるのかな……
「俺、恋愛感情として千代華のこと好きだよ。」
「………っ……」
や………だ。このままだと、小鳥遊くんの優しさに甘えちゃう。
「……ごめんな、さいっ……!」
思いつく言葉はそれしかなかった。
「まぁそうだよね……、キスしてるとこみて傷ついてんだもんね」
そう……だ。
私先輩のこと……すき……なんだ。
先輩は私のこと嫌わないっ……て、思って…うぬぼれてたんだ……
先輩私なんかよりあの人がっ……いいんでしょ…
私自信ないよっ……、
「大丈夫だよ。千代華。会長千代華のこと大好きだから」
「……そう、かなぁ……」
「うん大丈夫。もし振られたら俺のほうおいで?」
「………、もう、逃げないっ……と、思う」
「あはは、思うなんだねー………逞しくなった?」
もう……私、怖くないもんっ……
ちょっと嘘かもだけど……
「………千代華?」
聞いたことない低い声が私に声をかけている。
「湊先ぱ、、い」
会いたくてたまらなかったけど、会いたくない人が私の背中側で冷たい視線を送っていた。
「2人で……何してんの?」
しょっぱい涙が一滴頬を伝った。
ーーー
しょっぱい涙
fin
塩チョコは涙出るうまさ
fin
ーーー
第4章
ボンボンショコラは大人な刺激
ーーー
「千代華?聞こえてんでしょ、なんで2人でいんの」
いつもより冷たいその声にびくりと肩を震わせる。
「かいちょー?かいちょーはなにしてた?」
「……、仕事だけど、」
美園先輩といたくせに…
「へぇー……、女と遊ぶって言う?」
「はぁ……?お前知ってんだろ、俺の代わりにしてくれんの?」
「しらないし、やですね。好きな子を不安にさせるとか無理だし、傷つけたらやじゃないですか。俺は会長じゃないんで。」
小鳥遊くん何言って……
先輩は一度、はぁ……と、ため息をついて話し始めた。
先輩今どう言う顔してるんだろ。
「………何がいいたい。俺が千代華傷つけてるとでも?」
「……千代華の顔見てもその言葉言えんのかよ、」
小鳥遊くんはすごく低い声を出し言った。
先輩は、しゃがんだんだろう。先輩の膝が見えた。
「……、ん、こっち向いて千代……か……って」
後ろを振り向かされた瞬間、言葉が出なくなる先輩。
「……ほら、わかったでしょ」
「……っ、何で泣いて」
「会長がきずつけたんだよ、」
小鳥遊くんに肩を組まれ胸のほうに寄せられる。
「千代華、先輩が女とキスしてるとこ見たんでしょ」
「………っ」
私は下に俯きながらコクン、と頷いた。
「あ゛ー千代華ちがう、勘違いしてる」
「………っ、あれを見て何勘違いしないと思うんですかっ……?リップほっぺについてますしっ……!」
「……っ、あ。」
ほら、心当たりがあるからそうやって拭えるんでしょ?
「もう……、やだ……っ、」
逃げないって決めたはずなのに…、
やっぱ……無理だ。
「せ、先輩なんてもうっ……」
「……っ、知らないっ……!!」
「……、頭冷やせっていったよね、会長。」
わかんないくらい走った。
廊下には、誰も拭ってくれない涙がポタポタと溢れるだけ。
でも、いつのまにか私は泣き疲れて寝てた。
スマホの通知なんて全部無視して。
☆☆☆
朝ごはんまともに食べれなかった。
頭ズキズキする、痛い……
フラフラと、下駄箱に靴を入れる。
「……ちよかっち?大丈夫?」「千代華ちゃん…!」
「あ、夢ちゃん……、梨花ちゃん…おはようっ」
「おはよう……って、目赤いし、フラフラしてるじゃん!大丈夫なの?」
「あー、多分?」
「千代華ちゃん…!あの、……これ!」
「……ん、どうかしたの?夢ちゃん。」
スマホを見せてくる夢ちゃん、
えーと……新聞部?
あー、新聞部のサイト……の投稿で
って……え?
「何で……これ、が、」
宿泊体験の時、朝日くんに抱きしめられた時の……
写真……、
「……あははー!」
前の方から、女の子たちが歩いてくる。
「やっぱ羽瀬来さんあそんでたんだぁー可愛い顔してビッチじゃーん、」
「うっわ、汚い女がなんで湊様と付き合えたんだろーねぇー?」
「気の迷いよ!美園先輩が引き剥がしてくれるしぃ」
………っ、
わざとらしい大きな声で私に言ってる。
違う、のに、
どうしよ、うっ……
あれ、美園先輩……っ、
「アンタ、湊いらないんでしょぉ?邪魔だから、そっちと付き合いなさいよ」
私にすれ違い様に耳打ちしてさっきの女の子たちみたいに笑っていってしまった。
「千代華…」
後ろに朝日くんがいた。
………っ、
ねぇ、違うって言ってよ…朝日くん。
そんな気まずそうな顔しないでさ。
「千代華ちゃん……、聖くんと付き合ってるの?」
心配そうな顔をして聞いてくる夢ちゃん。
「ち、違っ……、私先輩のことがっ……、」
どうしよう。私が今ここでこんなこと言ったって、
火に油を注ぐようなことになるんじゃ………
「…………っ、」
しかも…
《アンタ、湊いらないんでしょぉ?》
さっき言われた言葉がぐるぐる頭を回る。
あの時は気づいてなかっただけでっ……!勇気がなかっただけでっ………!
私は先輩のことが好き……なのにっ……!
「……っ、ごめんなさ……ぃっ……、」
私は注目から外されるところに行きたくて、ひたすら遠いところに逃げる。
好きなのに……っ、私が……全部全部っ……
逃げてばっかだからっ……
涙が昨日みたいにポロポロ流れる。
周りは噂する声が飛び交う。
私、どうすればいいのっ……?
ドンっ……、
「きゃっ……!」
いたた……
誰かとぶつかっちゃった…
「ごめんなさ……」
え………っ、
「千代華。」
湊、先輩……
まさかこの人とぶつかる…なんて、
先輩は昨日の冷めた目とは違くて………、
かな、しんでる……?
「ねぇ……、千代華。俺の彼女じゃなかったの?」
じゃあ……私はいつからせんぱいの彼女じゃなかったの……?
そういいたいのを抑える。
「先ぱ……っ、「じゃ、」
行かないで……っ、
喉まで声が出てるはずなのに、いざと言う時何も出ない。
やだっ……先輩っ……
「先輩っ……、、い、…ないでっ…!」
「………」
いっちゃやだよっ…!!
「バイバイ。」
先輩はそれだけ言ってどこかへいってしまった。
私には縋り付く力がなかった、みたい。
先輩……また、美園先輩のとこ……いくのっ?
「っつう、あ〜っ……ふっ、」
もうやだよ……、
「千代華っ………!!」
優ちゃん……、
珍しくあだ名じゃないんだね。
「優…………っ、私……どうすれ……ばっ……」
「わわわ、泣かないでぇ〜〜っ……!!話、聞く!きくからぁ〜っ……!」
私は優ちゃんに、背中をさすられながら一時間目をサボった。
☆
☆
☆
「ふむふむー…、まぁ、素直になんない千代華も悪いように感じるけど………まぁ、はい」
「ゔっ……、」
「かいちょーもかいちょーよ!何で千代華という彼女がいながら他の女とっ…!やっぱ裏があると思ったの…、やっぱクズはクズなのねっ……!!」
ッチ、と舌打ちする優ちゃんは、私が見る限りでは一番怒っていて……
普通に…怖いですなぁ、
バンっ!
「はいはーい、ちゅうもーく。」
「「???」」
た、小鳥遊くんっ……!
「小鳥遊くんじゃん? ちょーどいいわぁ、会長のことと、今のクラスの状況を教えてくれないかしら」
と優ちゃん。
「うんうん、いいよー!それと、君の彼氏浩介くんだっけ?心配してたよ。」
「浩介くん優しい……!あとでちゃんと挨拶いこーっと、まぁ今は千代華が優先だけど、」
優ちゃん……っ、ううっ……涙もんよ……、これ
「まぁまぁ、じゃ教えるかねー、会長のこと……」
「座ったら?」
「どーも、」
私の隣に小鳥遊くんが近距離で座る。
「「…………」」
まぁ……いっか、、
「はいはーい、なんで会長は美園るりのといたの?」
「んーと、家。まぁ、もう庶民もどりだろーけど、」
ど、どういうこと?
「ちゃんと説明してー」
「はいはい、。美園グループは、小さい会社だっての知ってるよね、」
「うん、」
「るりのは、社長である父に四月一日家に見初められるよう言われたんだろうな、んで途中で普通に惚れたんじゃないかと」
「がちか……」
だから、彼女である…私が狙われたんだ。
引き離すために。
「まぁ、だから彼女いんの知りながらあんな事完璧と言われる跡継ぎにしたんだからまぁ、家ごと潰れんだろうな、取引終了ーってこと、ざまぁ」
「……あははっ……、いい気味だわぁ……」
優ちゃんがさっきから怖くなってない…?
「千代華。」
小鳥遊くんが真剣な目で聞いてくる。
「なぁに?」
「千代華が今すべき事は?」
それ、は…誤解をとくためにも……
本心を伝えるためにも……
「先輩に告白……して、話…する」
「そうそう、それそれ」
「そ、う、な、る、と……」
「?」
優ちゃんどうしたんだろ?
「千代華、千代華に思い伝えてくれた人いるよ?」
「あっ、朝日くんの告白の返事……」
「やっぱ告白されてたのか」
曖昧な関係ずっと続けるのは良くない…か、
それに私が終わらせなきゃいけないことだし。
「じゃあ…、善は急げ…ね!」
「……んっ!?」
「今日実行しなきゃ、いつやるの!逃げないって決めたんでしょ…!!噂が薄いうちにやんなきゃ…!」
「そーだね、」
逃げない…
唾を1度ゴクリと飲んで
「……わかった、やる。」
そう返事した。
さっきまでの私なんてどこに行ったか分からない。
先輩……待ってて……
振り回してたのは私の方だった。
早く……先輩に会いたいです。
ーーー
恋に酔う
fin
色々話してから、行きたくないけど教室に戻った。
普通に開けたはずなのに、みんなには大きく音を立てて扉を開けてたように聞こえるみたい。
「……」
ザワザワしていたのが一変。
自習……だったみたい。
女の子が声を上げる。
「ねぇっ!羽瀬来さん。」
「……はい、」
「男と一緒に遊んで楽しかった?」
私のことを下に見るように、ニヤリと笑った。
「……っ」
予想してたけど、やっぱ…きついな、
でも逃げちゃダメ、私。
「千代華……」
朝日くん……
言うなら、今じゃない…の?
言わなきゃ……
「朝日……くん、」
「…うん、」
周りのみんなは黙って聞いてる。
中にはスマホを出して動画を撮っている人だっている。
「……、告白してくれて嬉しかった……」
「…うん、」
「……けど、ごめんなさい……、朝日くんとは付き合えません。」
「…うん、」
「朝日くんのこと、恋愛感情として見れない。」
「……」
「こんな形で返事して……ごめんなさい。」
「……もう、だいじょぶ。」
私の頭をポンと撫でて、力なく笑って黙った朝日くん。
「少しでも意識してくれた?」
「…う、ん」「ならいいや、ちゃんと伝えろよ会長に」
「うん、」
「言っとくけど、フったからって俺のこと避けたら許さねーぞ」
私の髪の毛をくしゃくしゃっとする朝日くん。
「む、……しないし、髪ぐちゃぐちゃじゃん!」
「なんか信じれねーな」「うるさいなぁっ」
少し笑みが溢れる。
……………、ん?待てよ今周りに人いるじゃん?やばい空気で…
「はいはーい!千代華と聖の友人Yとして言わせていただきますがー、出回ってる写真。聖が好きすぎたあまりに抱きしめてしまっただけであって、千代華には別に好きな人がいるので勘違い訂正しといて〜。あと……千代華のアンチ……、
もし勘違いを訂正しないんだったら…………お前らのはじゅかしーい情報全部流してやんよ?」
優ちゃん………ありがたいけどすっごく怖いよ……?
浩介くんは、ニコニコの笑顔で愛おしそうに見てるけど…周り、わたしにすっごく親切にしてくれた人以外?顔青ざめてるもん………
「んぁ?なんだぁ?この騒ぎは」
先生が勢いよく扉を開けて言う。
「……ごめんなさい。羽瀬来ちゃん」
席の戻る人で、私に通りがかりに謝る人たち。
……結局みんな優しい、じゃん、
まぁ、噂なんて…そんなもんなのか
そんなことを思いながら、優ちゃんに駆け寄る。
「優ちゃん!」「あれ、呼び捨てそういえば消えたなぁ」
「千代華!よくやった!」「ありがとうっ…、優!」
そうやって私はぎゅっと彼女を抱きしめた。
でも……、まだ私にはやんなきゃいけないことがある。
先輩、今度こそ私はあなたに想いを伝えます。
☆☆☆
放課後
「……っ、はぁ、…はぁ…」
昨日ぶり、何だよね。
すごく今の時間までの
『今日会長に、持ち出し禁止の生徒会PCに仕事入れて生徒会室にいさせるから、放課後になったらいきな』
生徒会室……小鳥遊くんが言ってることがあってるなら…いるはずだっ……
また……、美園さん…いるの、かな…
ごくりと唾を飲む、
喉にすうっと冷たい空気が通ったまま、ドアノブを掴んだ。
だ……大丈夫。
「……ふー……、」
深呼吸を一回してから、ドアノブを回す。
ガチャ……
「………、失礼します!」
少し声が震えながらもはっきりそう口にした。
返事……なんもない。
重い足を一生懸命動かす。
先輩いる……?本当に。
赤い絨毯が終わった時。胸がすごくどくどくとなるのを感じながら一歩を踏み出した。
「…………っえ?」
予想とは、期待を裏切るものなのか。
久しぶりにそう思った
先輩……いない。
先輩が座るであろうデスクを見た。
………、、これ、PC借り出し書だ。
……あはは、なに思ってたんだろ。先輩がわざわざここでするわけない……か、
涙がじわじわこみ上げてくるのを我慢して、窓を見た。
「……はぁ、、……っ」
息を一気に吐いて気づく。
………、あれ…
先輩の家の……車。
「……っ、行かなきゃ。」
私は生徒会室から飛び出す。
先輩……きっと…まだいる……っ!
昇降口までの廊下を走る。
見えた誰かの背中。先輩の髪色、髪型だ。
「……っ……、湊先ぱ、いっ……!!」
走りながら、大声で名前を呼ぶ。
「………は?」
振り返ろうとする先輩の顔はすごく驚いてた。
私はその驚いた先輩の体に抱きついた。
力強く、ぎゅっと、…離れないように。
「先輩っ…、」
「……何で」
冷たい声色。きっと顔もすごく怖い表情で、冷たい視線を送るんだろう。
でも、拒否しない。
私はそれが嬉しくて、また力を込めた。
きっと先輩には敵わないけれど。
「……っ、湊先輩に会いたくって……」
「………へぇ、何のために?」
先輩の声色はずっと同じで、低く威圧的だ。
私の好きな先輩は冷たい先輩じゃないよっ……、
「せ、先輩、わたしっ……」
逃げててごめんなさい。って言おうと思った。
けどそれをさえぎったのは、先輩じゃない
誰かの声だった。
「あれ?失敗した?変なとこ感良いんだね千代華」
………えっ……?
「空……?」
「小鳥遊、くんっ…?」
何で小鳥遊くんが…ここのに?
それに、失敗って……、
「これで、悲しんで壊れそうな千代華につけ入ろうとしたんだ、け、ど……、あはは、どういうこと?」
怖いくらいニコニコで私を見る小鳥遊くん。
私につけ入、る?
「朝日くんは、もう大丈夫でしょー?
あとは、悪い雰囲気の会長だけだ。それに、まだ覚悟決まってないんでしょ?会長。」
「……は、」
小鳥遊くんを睨み、私がくっ付く体をさっと隠した先輩。
どうゆう…ことで…
「千代華。俺と付き合って?そんな冷たくなんかしないし。ね、俺の方がいいよ、」
そう言って私に近づいて、湊先輩の隠す手をのけて、抱きつく手をあっけなく取り、小鳥遊くんの胸に飛び込む私。
っ……、
「小鳥遊く、やめ「空って呼ぶこと。」
「あ、…ぅ、空くん……」
「いいこー。」
空くんに気をとられ、先輩の顔がみられない。
私がはなしにきたのは、先輩なのに、
全部小鳥遊くんにのせられてる……っ、
「……おい、空。千代華から離れろ。」
「……っ、先輩」「…こら、こっち向いて、」
「ひゃ、」
先輩に私の名前を呼ばれて顔を向けるが、顎にてをのせられて、小鳥遊くんに持ってかれる。
……っ、は、恥ずかし……、
顔近っ……、
心無しか胸が苦しい。
でも、、いつもの先輩にドキドキするような感覚じゃない。
「空、離せって言ってんだろ、」
「はぁ…?千代華から全部話聞いてるし、湊くんからやったんだろ、今だって泣かせてんのは湊くんだろ」
頭が、痛い。
「………っ、」
「それに、前言ってたじゃん。ーー…を奪ったのは、
湊くん…ーーろ?ーー…、、ばんなきゃ、千代華は
こうじゃなーー…!!」
え……?小鳥遊くんなんて言ってるの。
何で、先輩に怒鳴ってるの…?
「……っ、」
何でそんなに悲しい顔をするの先輩……
私、そんな先輩…みたくないよ、
「……千代華っ…?」
どんどん青ざめていく先輩の姿を見ながら、
私の意識はプツリと切れた。
大好きな優しい声が私を心配している。
ただ、温かいものに包まれているような感覚だけがした。
☆☆☆
湊side
「えーと、寝不足と日頃の疲労が溜まりに溜まっちゃったのかもしれないわ。熱が結構高いから。
薬、起きたら飲ませてあげて。」
それだけ言って、職員室は会議に行った。
「「…………」」
一緒にきた空は、俺と同じように沈黙を流す。
「……、俺の告白千代華すぐ断ったんだ。」
廊下であったあの時、と小さく呟いた空。
「………」
「もう逃げないって言ったんだ。」
「……何から、」
「湊くんから。湊くんに気持ちちゃんと伝えるって言ったんだ。」
「………!」
「ちゃんと話聞かなかったでもあると思うんだけど?この熱。」
そう言って空は千代華の額を触る。
「ということで、ちゃんと話しなよ。湊くん」
湊くん……ね、
「あぁ…」
空は中学生になるまで、ただの一つ年下の幼馴染だった。小さい頃から、『湊くん!』って俺を走って追いかけてくるよな可愛い幼馴染だった。
でも俺は、中学生の時から必要最低限親友以外と話さなくなった。
同級生とばっかりつるんでいた。
正直、人間に千代華にしか好意はなかった。
「千代華……」
なぁ、千代華。俺のことを抱きしめた理由は何?
自分が振るから、最後の慰め?
少し息づかいが荒い千代華。
あつ……
「……せんぱ……ぃ、」
千代華に触れた俺の手をぎゅっと自分の手で握った。
「………どうしたの」
心なしか鼓動が速くなっている気がする。
「……はぁ、……わたし、……」
この先の言葉ね多分この後の関係が決まるんじゃないか…って、そう感覚で思って。
つばをグッと飲み込んで彼女の手を優しく握る。
「せんぱ……いのこと…」
大好きです。
俺はその場でしゃがみ込む。
フニャッと笑う顔。
この言葉は、昔にも聞いたことがある。
『湊くんっ…!大好きだよ!』
『うん、俺も千代華のこと好きだよ。大好き。必ず
迎えにいくね。』
幼い頃のただの口約束。
それが俺にとってすごく大事なものだった。
俺は、千代華もと一緒に過ごしたいなら何だってしたい。
まぁ、俺が今回避けたんだけど。
世界で一番愛してる千代華のために。
これが……この言葉が嘘でも、夢でもいい。
「、俺も千代華のこと大好きだよ。」
千代華のことずっと愛するって誓う。
そう誓いながら彼女の赤い唇に俺の唇を重ねた。
そうすると、
幼い頃の大好きな笑顔が見えた気がした。
ーーー
愛に溺れる
fin先輩が、好きって言ってくれて。キスをしてくれた。
きっと……、私の願望が夢になったんだろうけど、
☆☆☆
「………ん、」
あれ?私廊下で倒れ…て。
それから……うぅ…ん、記憶がない。
ガバッと体を起こす。
ここは……、車?
「ん、……千代華…?」
せ、先輩っ……?
そうだ!先輩の車だ…!
「……熱は、」
「ひゃっ……、冷たっ……、」
先輩の手がおでこに触れる。
私……熱…あったの…?
「千代華……」「………っはい、」
冷たさのない声のホッとする。
「俺、やっぱ無理だ。」
「……む、り?」
私と付き合い続けるのが本当に無理になった……ってこと?
やだ……っ、
先輩が……っ、先輩が私のこと…堕としたんじゃん……っ、
「千代華のこ「私…ふら、れるの?」
「は?」
「、もうやだ、なの?」
「違う」
私じゃ…、ダメ、なの。
「何考えてんのか知らないけど、振るつもりなんてないし、むしろ俺が振られるかもね。」
「…え」
「………」
ど、いう…ことで、
「…好きだ。千代華のこと好きだ。諦められない。」
「……っ、先輩っ……!!」
私は思い切り先輩に抱きついた。
涙が一筋頰に流れる。
「先輩っ……、先輩っ……、私も大好きです…!!」
「……ほんとに?離さないけど」
そんなの、答えは決まってる。
「ずっと……離さないでくださいっ…!!」
「……!」
私は彼の頰にキスをした。
「…っこら。」
「……ダメでしたか?」
「あー、はいはい……、キスそんなにしたいの。」
「…したいですっ…!!」
「……、素直も、素直でやばいな………」
顔を一瞬背ける先輩。
「……キス、……だめ?」
「ん゛……ぬ、違う、違う。ただ、ちょっと待ってね」
?先輩はスマホを操作してどこかに電話をかけ始めた。
……なんか話してる。
…何話してんだろ。
「……はい、それで……はい、ありがとうございます。」
《じゃ、またねー、湊くん。》
《はい、では。》
近くによって聞く。
なんか、電話してる人…女の人だよ、ね?
「………よし、今日さ…って、どうしたの、そんなに顔膨らませて。」
「………女の人の声したもん…」
私って結構やきもち焼きなのかな。
女の人と電話するだけでやだ。
重くて嫌われたら…どうしよう。
「……、かけたの千代華のお母さんだよ。」
「……へっ?」
わ、私のお母さんっ……??
「もしかして、やきもち?かわいーね」
そう言って、頭を撫でてくる。
「そうですよ、やきもちですっ…」
ふんっと、先輩に背を向ける。
「………っひゃ…」
うなじをぺろっと舐められる。
「………っ、?いたっ……」
か、噛まれたぁっ……!?
「よし、……これで、おっけ」
「な…な…………なっ……!?」
ぺろっと舌舐めずりする先輩。
うわ……ぁ、色気が溢れて……る、っ…!
「ん……?もっとしてほしい?」
はいとも言ってないのに、シャツのボタンに手をかける先輩。
ぷちっ……
「っ……ばしょ、かんがえてっ……」
私は先輩の手をばっと引き剥がす。
すぐさまボタンを戻し、襟を整える。
「………んー、あ、今日俺の家で泊まりね。」
不満そうにしていたのを一変。
急に笑顔で言いはじめる先輩。
「………へっ!?」
そんな笑顔で爆弾落としてきた!
「さっき、許可もらったから。」
さっき電話してた理由って……それっ…?
「だから、夜をぞーんぶんに楽しもうね」
「……っ!」
どうやら、私の好きになった人は、溺愛がすごいみたいです。
両思いになった夜は、いつもと違くてキラキラしてた。
☆☆☆
心をこめた 千代華の思い
fin
ーーー
第5章
ホットチョコレートの甘い囁き
ーーー
「ちょっ……、先輩っ!?ほ、本気っ…?」
「冗談だと思ってた?」
「っ……、そんな顔しないでくださいっ…!私が悪いことしてるみたいじゃないですかぁっ……!!」
心外……いや、ショック…というような感情をそのまま出す先輩。
そんな顔されても……そんなの無理っ……!
今の状況を説明すると、ベットで押し倒されて、
制服のシャツのボタンを外されそうになっているところ。
「…ん、リボン邪魔。」
「……っ、」
プチっと外して、リボンをくわえわたしにリボンを見せる先輩。
体に乗っかられてるような体制だから先輩の顔が暗く見えて。
赤い目が狼みたいに光ってる。
別人に、見える。
「…ん、なんか言いたいことあるなら良いなよ。」
「あ……う……っ」
「先輩っ……も、むりぃっ……恥ずかしい……っ!」
「ん、ダイジョーブダイジョーブ。」
そう言いながらプチっとボタンを外す先輩。
逃げることもできないしっ……、
次胸のとこ見えちゃ……っ
「っ〜〜!!やぁ、っ先輩っ〜〜…っ!」
「ん、俺やなの?」
ボタンを直前で止められ、私の目を見てくる先輩。
「やっ……、」「じゃ、…別れたい?」
「へっ……?」
「ん、もう一度?俺のことやなら別れる?」
「それは違うもんっ……!!」「だって俺がや、って言ったじゃん」
せ、先輩っ、いま口角ちょっと上がったっ…!!
わざとだっ……
「先輩、いじわる〜っ……」
「それは前から知ってるじゃん。今更?」
ううっ………、それは確かに?
「はいはい、じゃボタン外すのはやめてあげる。」
顔にてを添えられて口付けをかわす。
噛み付くようなキス。
く、くるしいっ……!
「せ、んぱいっ…、も、むりれすっ……」
「喋れてないよー」
いつもよりやっぱ意地悪だよっ…!
「あの……せんぱいっ………、聞きたいことがあるんですっ……」
先輩と付き合えて、幸せだし、小鳥遊くんにああ言われだけど
やっぱり気になるんだ。
「……ん、」
「美園先輩とは何もないんですよねっ……?」
「美園………、あぁ美園、あいつか…」
最初は何?というように顔を傾げていたけれどすぐに思い出したみたい。
「先輩……キス、してた……」
「…………あー、ごめんて……、されると思ってなくて」
目を逸らし、髪をグジャッとする先輩。
「美園先輩から、その…、手紙で生徒会室に来いって言われて…っ、」
「あ゛ー、最後まで口割らんかったけど、そゆこと。だからいたんだ?あそこに噂で2人でいるって聞いたわけじゃなくて。」
「……え?いたの知って……?」
「ほら、このツインテールが見えたの。」
私の髪をくるくるといじる先輩
「………」
「ふーん、嫉妬?」
「………」
「黙秘は、肯定ってことで受け取るけど?」
「…………」
「かわいーなぁ」
頭を優しく撫でてくる。
「…先輩、可愛いの言い過ぎは軽くなりますよっ」
わたしは黙秘を外しそう言った。
可愛いって言われるの、嬉しいけど
爆発しちゃいそうなくらい恥ずかしいのっ……
あんましてほしくないっ……という意味を込めていったんだけど……
「へー…、可愛いって言われるの俺ならやなんだー…」
……、誤解してるしっ……!
「そうじゃなくって……っ!」
「じゃあ、何がそうじゃないの?教えてよ」
あー……、これでまんまとはめられたって……わけ…
「………、先輩に、言われると…ドキドキして爆発しちゃ、いそうになって…
だから、やめてくださ…いっ‼︎」
「へー、そんなかわいー理由なの。かわいーかわいー」
言ったそばからぁ……っ、
顔の熱がみるみる上がっていく感覚が……するっ……
また熱出そう……っ
「……今日、疲れたでしょ?もう寝る?」
なんでこんなにすぐに、察してくれるんだろう……っ
柔らかい笑みで私の頬を撫でる。
「ほら、おいで」
「………っ」
私は誘われるがまま、先輩の腕の中に飛び込む。
わたしはどこまでこの人に堕ちてるんだろ、
ぎゅっとされた温もりにおちる。
「……はい、よくできたね」
おでこに軽いキスをしてくる。
「言い忘れてたけど、髪を下ろしてるのもかわいーよね千代華。」
「……、」
眠い……、先輩がまた変なこと言ってる…?
「はい。おやすみ…」
そう言って、私の唇にそっとキスを落とされた。
***
湊side
はぁぁ………、やっぱ寝顔もさいっっこうに可愛い。
キスしたい………。
すれ違ったのはたった数時間だけれど、俺はそれでも辛かった。
だから、倒れた時はもし会えなくなったら……とか重く考えすぎて…
壊れるかと思った、
昔の事はまだ思い出さないで………
まだ……、せめて俺が卒業するまで。
すぅすぅ、と寝息が聞こえる。
理性保つのって得意だと思ったけど、意外ときっつい……
そっと彼女の頭を撫でながら考えた。
「………んー……、先輩っ……すきぃ……」
可愛すぎる俺の彼女。
ふにゃっと笑う千代華を1度抱きしめてから、少し離れて眠りについた。
湊side end
「………ん、………ふ、…ぁ、」
朝だー……起きなきゃー…、学校だー…
「おはよ、千代華」
甘い少しかすれた声が上から聞こえる。
今、どういう状況……?
「いやー……、1回ギュッてしてから寝ようって思って抱きしめたら俺が寝てる間に抱きしめてたらしくさー、…って千代華?」
「ひ、………え、」
恥ずかしい、なんと言ったらいいのだろう。
忘れてた、、私寝る時抱きつく癖があった…
「顔、あっか……、」
「っ……、うぅ、っ……」
「だーめ、目逸らさんでよ」
やだよ……恥ずかしいっ、、
「………く、」
「く?」
「癖で、………その抱きついちゃうの…っ」
「ふーん……かわいー癖だね?理由は?」
り、理由まで聞いてくるなんて……っ
いや、ちょっと話しずらいなっ…
「えっと……あの、……」
「……んー、尚大?」
ナオヒロ
えっ……なんで、知ってるの?
尚大とは私の1つ歳上のお兄ちゃん。
お兄ちゃんは、超がつくほどのシスコン。
「で、尚大が…なに?」
「えと……、あの、昔、病院で寝るのが怖かった時にお兄ちゃんが私が寝るまで抱っこしてくれてた、から……」
「…………」
「それで、ね寝起きとか寝てる時は…抱きついちゃう癖が…」
先輩なんか……拗ねてる?
「……えと、先輩……拗ねてる?」
「そーやって他の男にも抱きついたことあるわけ?」
ぷくっと頬を膨らます先輩。
か、かわ……
「千代華のばーか」
「……なっ…!?」
そう言って抱きしめる手を離し、私に背を向けた先輩。
勝手に拗ねてぇ……、、ふんっ
………っ、
「……先輩っ?」
「………」
無言貫きですか…
「キスしたいです…っ、」
「………やーだ」
勇気出して言ったのに、、
「やだはやだ…よ、」
そう言ってぎゅっと抱きつく。
「……なに、」
「なんで、怒るの…、キスも……
私のこと…………やなの、?」
「………は。」
「私先輩が別れるって言っても別れてやんないんだからっ……」
「……、」
なんで……なんも言ってくれないの、
「先輩、なんて…知らないもんっ」
私はベッドから出て、私服にも見える部屋着の上に長いカーデを羽織った。
「……、千代華、だめ。」
「知らない、」「こら、」
「…きゃ、」
腕をグイッと掴まれて先輩の腕の中。
「なに逃げてんだよ、」
「先輩無言なんだもん……っ、」
正直に答えた。
いや私もちょっと怒りすぎかなとは思ったけどさ……、
「尚大はまだいいとしてさ、……他の人にやったの?」
「あ、…えと2人だ…け、」
「誰?」
「優ちゃんと朝日くん、……です、」
「なんで、あいつなんだよ…」
「…なんか、いい、ましたか?」
「んーん、なにも」
「どうしてアサヒに抱きついちゃったの?」
「……っひ、」
太ももをさすられて反応してしまう。
「答えて、」
「保健室で寝てた時に、優ちゃんと朝日くんでお見舞い来てくれたんですけど、声が優ちゃんだから大丈夫かなって、気許しちゃって寝ぼけて、抱きつきました……」
あの時は優ちゃんにめっちゃ笑われた。
「優ちゃんはお泊まり会した時ですっ!」
「……へぇ………」
こころなしか、笑顔が黒く見える。
「抱きつくのはもう女友達とか家族だけだからね、」
「…………先輩は、?ダメなの?」
「……は、」
「…?」
「何その上目遣い、殺す気?」
「こ、殺す……!?」
「はぁ~……、とりあえず男には触らせないでね。」
「……先輩だから抱きつくんですもん…」
「………っ、そんなこと言ってアサヒに抱きついたくせに」
「その時は優ちゃんと勘違いしちゃっただけです、、先輩以外の男の子に抱きついたりしませんっ」
「……約束だからね、もし破ったら……」
「な、なんですか………?」
「……お楽しみで〜」「こ、こわいっ…」
ニヤリと笑う先輩にはもうさっきの冷たさなんてなかった。
これが私の好きな先輩だ。どんな先輩も好きだけどね、
「千代華のお望みのキスしよーよ」
「へ…さっきので充分で「俺がダメ」
そう言ってもらえて甘いキスの雨を降らす。
「あのっ……学校っ……!」
「聞いてないの?今日創立記念日ー」
「…………あ、わ、忘れてたっ……「ほらいくよー」
私はお姫様抱っこでベットに連れてかれ、甘い数時間を過ごした。
ーーー
情愛
END
「おめでとうー!」
家に戻ってきた後電話をすると、祝いに来てくれた優ちゃん。
「えへへ…っ優ちゃんありがとう」
少し笑ってそういった。
「てか中入って入ってーっ」
「おじゃましまーすっ!チョコの家久しぶりーっお泊まり会以来?」
「そーだねっ!」
確か卒業前のお泊まり会が最後なはず。
「相変わらず広いねー、はー」
「優ちゃん家の方が大きいでしょっ」
「まぁ、社長令嬢だしうちの方が贅沢に使うタイプだからねー」
「お父さんが大きすぎる家嫌いなんだって」
「へー、」
私たちは小さい頃にパーティーで会った。
それから仲良くなって今って感じ?
「社長令嬢だしね、、お互いこれから頑張ろ…」
「……う、はい」
私は、色々な事業を展開している会社の娘だ。
普通な生活をさせる社会勉強として、普通に過ごしていたけれどそろそろ勉強しないと……
成人でパーティーあるしっ
「今日チョコのお父さんお母さんはー?」
「ん、いるよー!書斎!」
「尚大先輩はー?」
「さっき家出てったんだっ」「そっか!」
「じゃ、挨拶したいから書斎行っていい?」「うんっ、行こう!」
優ちゃん家とは家同士で仲がいいんだ。だから私たちはすぐ仲良くなった。
だからお母さん達も優ちゃんのことを信用してる。
コンコンコンとノックしてから、
「失礼します。千代華です」
「どうぞ〜」
うわぉ、多分さっきまでイチャイチャしてたな、
「イチャイチャは仕事終わってからでしょーもうっ」
「…してねー、」
お父さんが言い訳のように呟く。
私の両親は、いわゆる恋愛結婚。
お母さんが病院の院長の長女で、お父さんが御曹司だったらしい。
で、お父さんがお嫁に入れたって言ってた。
「今日、優ちゃんが来てるんだーっ」
「ほんとだー、優ちゃんこんにちはー」
「こんにちはーっ、お久しぶりです!」
「久しぶりねーっゆっくりしていってね」
お母さんがにこにこで言う。
「はいっ!あ、そういえば報告があるんですけど……」
「どうしたの?」
うわっ……、お父さんのかっこよさが目立つ…
お母さんもお父さんも美人なのに私はどうしてその遺伝子を受け継がなかったの?
「あのですねーそこにいる千代華がー…」
もしかして、、先輩のこと話そうとしてる?
だったら私は黙っておこう、自分から話すのちょっと恥ずかしいし、
「彼氏が出来たんですよ」
「え」「…やっぱりねー、」
お父さんめっちゃ目見開いてるよ、、
お母さんは予想していたかのような反応を見せる、
なんか書斎の外から音が……
「千代華!彼氏出来ただって!??」
お、お兄ちゃん……!?
「落ち着いて尚大」
お母さんがすかさず指摘。
今跡継ぎだから勉強してるらしいもんね、
「そうか………、千代華が……」
「え、お父さんあからさまにショックしないでよ、、」
「千代華、千代華。彼氏の名前は?」
お母さんはやっぱり知ってるよね、昨日電話してたらしいし…
お兄ちゃんが目をキラキラにして名前を気にしてくる。
「………えと、四月一日湊………先輩、」
「……あの、四月一日のか…?」
お父さんはショックはどこかへ行ったみたい。けど、すごく驚いてる。
初めてこんなお父さんの表情変わってるの見たよ……
お兄ちゃんはちょっと悲しそうに笑ってたけど、すぐ怒り顔に変えて言った。
「……み、湊か……、あいつなんも言わずにアタックしやがったな……!!」
「ちょ、ちょっと待って……先輩知ってるの?お兄ちゃん」
「?知ってるぞ!昔のパーティで会って、今では親友だぞ」
そ、そうだったんだ……
「湊くんは雪くんの息子でしょう?」
「あぁ、雪の息子だ。」
せ、せつって誰?
「雪って言うのは俺の昔からの友人だよ」
お父さんが言う。
「え、えぇえ?」
私はよく分からなくて戸惑う。
まさかのみんな知ってる?
「あら〜?チョコ、これならすぐ結婚出来ちゃうんじゃなー「冷やかさないで優ちゃん……」
「でも、雪くんの息子で?あのスペックなら頼めるわ!」
お母さんまで……
「あー、雪?雪の家族とうちの家族でさー
あ、そうそう。じゃ、はい。またなー」
え?
「お、お父さんっ…?」
「いやー湊くんにはパーティーでしか会わないしちゃんと会ってみたかったんだ。尚大の友達だし、」
「湊の妹と気合うと思うぞ!千代華」
「先輩……妹いるんだ、」
私、知らないこといっぱいだ…
「ふふ、チョコもっと先輩のこと知りたいんだったら、これは大チャンスなんじゃない?」
「うっ……、たしか、に」
今度、色々聞いてみようかな、
と思っていたら、自分のスマホから音楽がなり始める。
「……あれ、湊先輩?」
「み、湊?俺も話したいわ…俺から電話かけると大体仕事してんだよ……だから全無視、、」
「い、いいけど、…とりあえず出るね」
私は震えるスマホを手に取り通話ボタンを押して、耳に当てた。
「もしもしっ」
《もしもし、千代華、今大丈夫?》
「あ、えと。今家族と優ちゃんに先輩のこと話してたんですっ」
《あ、そーなのか、……ん、じゃあ今度のの日曜さ、デートしよ、》
「へ……っ、あ、はい…!」
《じゃまたかけるね「ちょーっと待った先輩っ……!!」《…どした?》
「あの、お兄ちゃんが先輩と話したいことがあるっていって泣きそうです…」
《あー、じゃ後でかけてって言っといて。》
「は、はいっ!」
《ん、ありがと。大好き》
「へっ、《じゃ、またね》
ツーツーと、機械音がなる。
「……電話終わった?チョコ。……って
顔あっっか!!だいじょぶ!?」
「……う、ん」
「なーなー、湊なんて言ってた?」
「あ、お兄ちゃん……、電話お兄ちゃんがかけてだって…」
「!!よしかける!」
笑顔でかけて、書斎をそのまま出ていったお兄ちゃん。
「日曜デートですって?」
「え、」
「ちょっと聞いちゃったっ」
「じゃ、ご飯食べるの日曜の夜にするか」
わぉ、凄いスケジュール…だぁ、、
そう思いながらも、日が過ぎるのは早く
日曜日を迎えた。
「せ、先輩っ……!おまたせしましたっ」
「…ん、おはよ、千代華」
わぁ……っ、先輩かっこいいっ…
先輩は心配だからといって、駅前に集合するはずが迎えに来てくれたのだ。
そ、そんな弱くない…よ?私護身術習ってたし…けど……あの、きかなくて
「いつも可愛いけど……メイクしてる?」
「…!!は、はいっ!上手くないのでちょっとですけど……」
先輩に似合う女性になりたくて、メイクをちょこっとだけ始めた。
よく分からないからとりあえずプチプラコスメを最低限だけど
「じゃ、いこ。」「はいっ…!」
さりげなく手を絡めて、恋人繋ぎをしてくれるの……好き、だなぁ……
「……なーに、そんな見つめて。キス待ち?」
「……へっ?」
キス…!?ここで…!?
「ち、違いま……っ、」
先輩はそんな声もつゆしらず、
軽くキスをして唇をぺろっと舐めた。
「……っ、……う、」
「んー…あま、」
「……あ、ぅ……甘い……って、」
誰かに見られてたらどうするのっ……、、
「……だいじょーぶ、俺が千代華のキス後のかわいー顔見せるわけないもん」
「………?」
どーゆう事……?ま、いっかと呟いてから私の方を見る。
「てか、これ……グロス?なんか味する」
「………?わ、わかんないです…、お母さんに家出る直前に付けられて……、あっ
ポーチの中に入れられたかもっ…」
私はすぐポーチを取りだし、付けられたもののパッケージを探した。
私のコスメは全部無地だけど、入れられたやつはチェック柄が入ってたはずっ……!
あ、あっ…た、
けど
「…………、」
顔が真っ赤に染まっていく感覚。
lip gloss to apply before kissing.
キスする前につけるリップグロス。
そう書かれていた。
お母さんったらぁっ……!!
「千代華大丈夫そー?」
「ひ、ひぇ、」
赤く染った耳に囁かれる。
もっと恥ずかしい気分になるよ…
私は必死に顔を隠した。
「ちーよか、こっち向けー」
「うう……っ、ひゃ…っ、」
深くも浅くもないキスをされて、ゆっくり離れる唇。
「俺甘いの無理だけど、この甘いのならいける」
「……っ、」
なんか遠回しにつけさせようとしてるようなっ……!
「つけてあげるー」
「っ……ん、…、」
「はい、かーわい、」
「……うーーっ……、」
「照れちゃうのー?顔真っ赤っか」
ほっぺをもみもみとつまむ先輩。
「うるひゃいで……ふっ…!」
「嬉しーくせに」
「もうにゃまって……っ!」(黙って)
「わかった、」
「「……………」」
わ、ほんとに黙っちゃった……、
先輩はそっぽを向いて手も話しちゃった。
……や、
そうやって黙って欲しい訳じゃなくて、
言葉が足りない私が悪いか、
バカにしてくる先輩はやだ。だけど私のこと見てくれない先輩はもーっとやだよ、
すれ違ったあの時みたいに無視されてる感じがするから、
「……っ、意地悪嫌い……っ、」
言葉を間違えた。口下手な私がムカつくよ、
「…………」
「……せんぱいっ、こっちむいてっ……?」
そう言いながら先輩の手をぎゅっと掴む。
「……降参、スミマセンデシタ。」
「……それほんとに謝ってます?」
でも、いいや。これでこそいつもの先輩。
「そういや、今日食事すんだっけ?」
「は、はい!優ちゃんがお父さんに暴露しちゃって……その、急でごめんなさいっ」
「ううん、莉子さんは会ったことあるけど彼方さんは会ったことないから楽しみ。」
やっぱり、知ってるんだぁ……
「あの、お兄ちゃんって電話の時とかってあんな感じー…ですか?」
「あーうん、あいつ俺の事大好きだからさ
泣きつかれる感じか説教かみたいな
ま、塩対応な俺が悪いっちゃ悪いけど」
「……?先輩が、塩対応?いっつも甘くないですかっ?」
「千代華限定」
「そ、そーですかっ……」
さっきから、笑顔で見つめてくるよ…っ、
「せ、先輩……っ、」
「ん?」
「今日のデート楽しみましょうねっ…!」
「……うん、もちろん」
私たちは、駅へと向かった。
「すっ…ごぉい……!!綺麗っ…!」
「それなら良かった。」
今私たちのいるところは、最寄り駅から約20分程度のところにある海。
今日は晴れだからものすごく水面がキラキラしてて綺麗…!!(語彙力皆無…)
「千代華こーゆーとこ好きそーだと思って」
よ、よく分かっていらっしゃって……
「大好きです……っ!」
そう言って先輩の腕に抱きついた。
わ、ちょっと大胆だったかな……、、
「………、ちょっと離れよ「やですー、
あと私聞きたいことがあるんです。」
今日着てきた白いオフィショルワンピースが潮風に揺らされる。
「………なに?」「…先輩。」
入学式に感じた懐かしさ。
先輩が口にした昔。
それはどうしてもしっくりくるもので。
「先輩と私は……、
昔あったことがあって親しい関係だった。合ってますか…?」
「…………」
ずーっと…気になってた。話しそらされることもあったけどね、
「うん、そう。千代華と俺はよく遊んでた。」
やっぱりねー…思ったより、驚かないかも?
私が聞きたかったことは、
これだけじゃない。
「………なんでそんな昔のことなのに、私のことを…?」
私なんか……すぐ、……すぐに忘れちゃったのに、
「………、俺が初めて千代華と遊んだ時惚れたから。」
「……ほ、れた?」
「ポカンってしてる、あは。……昔、千代華のことを少しでも自分の力で幸せにしたい。千代華と恋がしたいって思ったから」
まぁ、千代華は覚えてなかったけどね。
そう言ってる先輩は笑ってたけど、少し苦しそうだった。…何でかわかんないけど。
恋……がした、い
『「千代華と幸せになってみたい」』
………そうだよ。
なんで、忘れてたんだろう……、
私はこれが初恋なんかじゃない。
ずー……っと、前から……、湊くんのこと
好きだったんだよ。
「………、私も湊くんと幸せに…なりたい」
「…………ふは、その感じだとちょっとは思い出したんだな」
「………今まで忘れててごめんね…っ、
大好きだよ……っ、」
少し驚いたような顔をしたけど、昔みたいな笑顔が見えた。
ーーー
「ねーね……っ、おにいちゃんっ!ちよかといっしょにあそんで……くれる?」
「………めんどくさい。」
「ちよか、おともだちみーんないなくなっちゃってね、ひとりなの……さみしいよ」
私は6歳だった。年長さんだったけど、親が忙しかったりお兄ちゃんが遊びに行ったりしてたせいでいつも1人だった。
遊ぶお友達だってすぐ帰っちゃうから。
だから年が近そうなベンチにただぼーっと座りながら勉強をしている男の子に声をかけた。
今思えばあの時の私は声をかけることくらい楽勝だったなぁ
「じゃ、お前も帰れば?」
「…………っ、おうち…だれもいないの……、ちよか……ひとりなの……、こわいよ………」
周りに人がずっといる生活だったから、1人なのが怖かった。寂しかった。
「……、俺と同じで1人か、」
「……?なんかいった…?おにいちゃん、き、きこえなかった……」
「何も言ってない。ほら遊ぶんだろ?」
「…!おにいちゃん遊んでくれるの……っ?」
「……お兄ちゃんじゃない、俺の名前湊」
「みなとくん!!わたしは、はせこちよかですっ…!」
「ふーん、じゃちよか何して遊ぶ?」
「んー…かくれんぼ!!」
「じゃ、俺隠れるから探せ」
「うんっ!わかった!」
昔はぶっきらぼうな感じで、甘い感じはあんまりなかった。
「行くよっ…!!」
公園を駆け回る。
「……み、みつかんなぁい……、どうしよ……っ、………って、ひゃっ……!?
わ、みなとくんっ……!!」
植木の茂みに隠れていて全然気づかなかった。
そしたらいつの間にかチャイムがなる。
「………あ、もう……かえらなきゃ…」
「……家の前まで一緒にいよう」
「……いいのっ?」「うん」
「ありがとうっ……!!」
ーーー
「……えっと…、みなとくんまたあそんで…くれる?」
「……っ、うん。遊ぼう」
「……!!やったぁ…っ、えへへ…」
それから毎週土曜日に遊ぶことになり、毎回遊んだ。
でもある日のこと。
「みなとくん、……こない」
いくら待っても来なかった。
初めて会ったあの日以来ずっと笑顔を見せてくれた湊くんが来なかった。
その事実に私は泣いてしまった。
「っ……、みなとく、…っ、うぇ、…」
その次の週もまたその次の週も来なくなっちゃった。
またねって言ってくれたのに、
「きょうもこなかった…。でもみなとくんにむかえにいくよっていったもん……だからわたしおりこうさんでまってる…もん」
そう思いながら忘れてしまった。
……って言うことなんだろう。
ーーー
「千代華大丈夫?」「……っはい!」
昔にひたっちゃったぁ……、
……なんだろう、モヤモヤする
まさかね、
「ね、先輩。私たちってほんとに入学式以来なんですか?」
「………さぁ、どうでしょう」
去年……だ、
うん、去年。
「先輩…、赤いストーンのピアス付けてましたか……?」
実は一時期の話だけど助けてくれた男の人を気になってた時期があった。
顔はフードで分からなかったけど、声は……似てた気がする。
と言っても私がわかるのはピアスをつけた男の人って言うことだけ。
違う……かな、
「つけて…たけど。どうして知ってんの?」
「…ふふっ」「なに?」
私どんだけ湊先輩のこと好きなの…?
「なんでもありませんっ、今度そのピアスつけたところ見たいですっ…!」
「いーけど…も、なに?教えてよ」
「…わたしだけが知っておきたいんです。秘密ですっ」
先輩私言いたいことがあります。
「先輩と出会えて、恋できて良かったです…っ」
「……!」
驚いた顔をする湊くん。ふっと笑って少し潤む瞳。
この時はまだ分からなかった。
まだ知らない先輩と大事な記憶があったことに。
………赤く光ったピアスの意味も。
私は………まだなんもわかっちゃいない。
ーーー
再び実感するEND
海に行ったあと、色んなところを回りいつの間にか夜になっていた。
「先輩って妹さんいるんですか…?」
「ん、今中3」
「わぁっ……い、一個下だっ…!?」
「なんか嬉しそーだね」
「私妹タイプだってずーっと言われてて……後輩にもからかわれることがよくあったんです……」
「へー……ちなみにからかった後輩後で
言いなよ。」
「……?は、はいっ」
「……まぁでも実際妹だし、妹タイプだよねー、うん……あー」
「ど、同感っ、みたいな声出さないでっ…」
「んー…でも、お姉ちゃんになれるんじゃない?」
「ほ、ほんとですかっ……って本物になりたいんですって私……っ、」
でも、ワガママだしお母さんに迷惑だし……うぅ、…あぅ……
「義理の姉じゃダメなの?」
「……、っ?……!!!」
け、結婚……ってこと…っ、??
いやいやいやいや、この話はもう終わり終わり。
そんな………先のこと。
「………わかんないよ、」
先輩の隣にはちがう女性がいるかもしれないし、私の隣は違う人かもしれない…
っ、ダメダメ!とりあえず今の私の隣は先輩なんだからっ、
「……千代華?いくよ」「……っ、はい!」
お母さん達にこんな顔見せられないっ
笑顔笑顔っ、
「えーと、このビルの最上階にある和食屋さんらしいですっ」「ん、おっけ」
ビルの案内図を見ながら私の頭を撫でる。
くすぐったい……
「あ、エレベーターきた。乗るよ」
「はいっ」
多分お母さん達もう来てるよね……!
「わ……っ、おしゃれだー……」
「完全個室らしいけど何番だって?」
「あ、12番室です…!」
高級そうな和紙で貼られた障子を、
恐る恐る開ける。
「失礼します……」
そこには既に6人が座っていた。
「お、遅れてすみませ「「ちょーーかわいいっ……!!きゃぁぁあ…!!」」
「………へ?」
「うるせ」
綺麗な女性と美人な女の子が、私の方に近づいてくる。
「あなたが湊の彼女で、莉子の娘ねっ…!湊に聞いてたのより遥上の可愛さだっっ……!!」
「え、えと……ありがとうござ?「おにーちゃんの彼女ちょーーかわいいっ…!!お兄ちゃんずるいよぉぉ!!」
え、えと……??
「母さん、菜奈落ち着け、千代華が驚いてる」
「ごめんなさいね…千代華ちゃん」
「ご、ごめんなさい…、、」
綺麗に微笑む女性がきっと先輩のお母さんだ。
すっごい若いなぁ……
で、このロングヘアを巻いてる女の子が
妹さんだよねっ…!!
「初めまして…、湊の母 四月一日冬花です。湊がお世話になってるわ」
「初めまして〜っ千代華さんっ。わたしは湊の妹 四月一日 菜奈ですっ!千代華さんの一個年下です!!」
「は、初めまして……っ、羽瀬来 千代華です…、湊くんとお付き合いさせて頂いてます……っ」
ふ、フレンドリーな人で良かった……っ
「おっと、俺もか。はじめまして、湊の父の四月一日 雪です。よろしくね」
「よろしくお願いしますっ……!」
わぁ、先輩はものすごくお父さん似なんだなぁ……、笑った顔が良く似てる。
「……」「わっ…?先輩?」
先輩の手が私の視線をさえぎった。
「父さんじゃなくて俺だけを見てて」
「……?」
「はは、家族にも嫉妬か?お前俺に似たなぁ、」
「似すぎて、千代華が心配になるの」
「俺には愛する"妻"がいるんで」
「見てらんないよ、お兄ちゃんたち」
「辞めて……雪くん」
「???」
な、なんの話しをしてるんだろう……
と、とりあえずお母さん達に話しかけて来よう……!!
わたしは先輩の手を取り、お母さん達の方へ向かった。
「お兄ちゃんも来てたの……っ!」
「うん、着いていきたいってうるさくてねー尚大ったら、」
「……どうなのお兄ちゃんそれ……」
「………き、緊張してる千代華も可愛いなぁ」
「う、うるさいよ……、、」
「いやいやいやいや!!千代華さんちょー可愛いですっ!子猫って言うかなんかすっごい小動物感が癒しですっ、あっ、!わたしのことは好きに呼んでくださいね!」
「しょ、小動物…?え、と、、菜奈ちゃんっ…!」
「……くぅ、、お兄ちゃんの彼女は勿体ないよぉ、今からでも私のところに「菜奈、余計なこと言うな」
「ひぃ、」
わぁ……先輩怒ってる……っ
「ねぇねぇ千代華ちゃんほんとに湊でいいの?迷惑かけるし、束縛激しいし、泣かせるわよ?絶対。千代華ちゃん悲しむことがあるかもしれないし、、ね…
雪くんに似てるから危ないかもだし」
「俺の事危ないと思ってたんだ」
「ほ、ホントのことじゃん」
「えぇ……と、」
ちょっと言うの恥ずかしいけど……、
「……わたし多分先輩以外好きになれないです……っ、どんな風に接せられても、結局好きだった自分がいるから……だいじょぶです!」
「……千代華、…好き」
「……っ……、わ、私も、です…」
「あらら千代華の顔真っ赤っか」
「相当の惚れ込みだな…、………」
「彼方、親バカだなぁ」
「雪あなたも結構な親バカ」
互いの両親が何か話していたようだが、私の耳には入って来なかった。
だが、ぎゅっとされた感覚がして耳が正常に戻った。
「……おい湊。千代華を独り占めするな〜〜俺の妹だぞ」
「いや、俺の彼女だから。」
「……何このラブラブカップル……っ、私にも分けてよ……」
「尚大お前支えてくれる可愛い彼女欲しいって言ってたよな。んで菜奈お前、尚大のこと…「お兄ちゃんっ??これ以上言ったら許さないよ?」
「え、菜奈って俺の事…」
「ち、違くて…尚大先輩っ…」
あれ、菜奈ちゃん顔真っ赤っか……。
「……後で、一緒に話そ。」「…っ、はい」
新しい恋の予感……?
お兄ちゃん頑張れ……!!!
「……と、とにかくっ…!」
「湊と千代華ちゃん!!おめでとう〜〜っ…!!」
私たちは1度目を見合せてから、
微笑んだ。
ーーー
祝福END
「先輩っ……!!」「ん、どしたー?」
「どしたー?じゃないですよっ……!!あ、あ、ぁあ、あさ!!
どうしてくれるんですかっ……!!!」
私は怒っていた。
先輩の身勝手な行動に、
「公の場でキスしただけでしょ」
「だけ……って、うぅ、女子の嫉妬の怖さを知ってますかせんぱぁぁい……」
この出来事は朝に遡る。
「おはよー、千代華。」「あ、あさひく
「噂のアサヒくんですかー、お前彼氏じゃないのに、キスマつけるって何様のつもり」
は、はやっ…噛みつきが早すぎる…!!
「えー、俺は……千代華が幸せそうにくっついてたから剥がしてやろー…って思っただけですよ、せ、ん、ぱ、い、?」
あ、朝日くん??
「ま、俺から離せるもんならやってみな」
「上等だ。……千代華泣かされたら俺のとこ来るんだよ」
「…………へ?えっと……よくわかんない…」
「「…………」」
2人は何で戦ってるの?
「やばーイケメン2人がかり美女取り合いしてるーめっちゃうけるww」
「ああーみんなの千代華ちゃんがー」
「朝日くんがんばー…勝ち目ないだろうけどさ」
そんな声が周りから聞こえてくる。
????
「あ、一応……虫除けしてこっか?」
「………?」
悩んでいるのも束の間。
ちゅっとリップ音が立てられたあと、
男女の叫び声が響く。
「……千代華に手だしたらどうなるか…
考えときなよ」
それだけ言い残して、先輩は自分のクラスへと向かった。
「お、おい、千代華?」
「………せ、、」「せ?」
「先輩のばかぁぁぁっ……!!!」
わたしはちょー絶に怒り今に至る。
「あの後、女子にどれだけ質問とやら……考えるだけで辛いですよ……」
私はううっ…とうめき声をもらす。、
「ごめんて、でもあれで男が近寄んなくなるでしょ?」
「朝日くんと芝くんは声掛けてくれた…けど、」
「なんて?」
「朝日くんは、さっさと忘れろって言ってて、芝くんは頑張れー千代華ちゃんって言ってた。」
「ふーん……芝の方がよっぽどいい方だな」「朝日くんは「無理あいつ」
そ、即答と言うより、食い気味だよ……せんぱい………
「先輩っ……、今日はどうするんですか?」
「んー、俺の部屋ー」
わたしの髪をクルクル遊びながら、髪にキスをする。
「着いた。いこ。」
「きゃ……っ、」
急に持ち上げられて悲鳴をあげる。
「ごめんごめん。びっくりした?」
「こ、怖いんですよっ…これ、」
「怖がってるのもかわいーね」
くすくす笑ってる先輩は、私をちっちゃい子供をあやすように扱う。
むーー……
「とにかくおろして……っ」
「はいはい……」
ゆっくりおろされ、立つ。
とその先には、
小鳥遊…くんだ、
「………あ、、……っと、」
「………」
「先輩小鳥遊くんとちょっと……話したい。」
「………、5分だけだよ」
「ありがとう……っ、
小鳥遊くん…、ちょっと話したいっ」
「……おう。」
そう言い、先輩からちょっと離れた、中庭で話し始めた。
★★★
「小鳥遊く「多分一目惚れ。教室に行った時かな。」
「……、」
「人の心がほぼない塩対応の会長が、千代華を堕ちさせるのが嫌だって思った。渡したくないって……思った」
力のない笑いを顔に浮かべる小鳥遊くん。
「で、少しでも近づけるように…、好感度をあげるために、相談に乗った。」
「………」
そっか……そういうことだったんだね
「…わたし、自分ためだとしても相談乗ってくれる小鳥遊くんに救われたよっ、
ありがとう。嬉しかったよ…!」
「………っ、俺まだ「はい、5分。約束は守って。」
「ひゃっ………」
腕をぐっと掴まれ、あっという間に先輩の腕の中。
え……っ?ほんとにご、5分っ?
「あ、千代華、泣かされたらこっち来なよたっぷり甘やかしてあげる。」
「は?空なんぞに渡すかよ」
「………?ありがとう……?」
「じゃ、」
そういう小鳥遊くんの顔は、悲しそうに笑っていて…でも、嬉しそうだった。
「………はぁ、」
「せんぱい…?どうかしましたか?」
「……、俺が離れた時にどっか攫われちゃいそうだなって」
「……!ふふっ…、私先輩から離れませんよ…?」
「何笑ってんの真面目ですけどー」
棒読みだなぁ、
「私先輩以外好きになる気力も、何も全部ありません。離れませんっ、私ずっーと先輩の隣にいますっ」
「……あ゛ー…かわい、」
「……?どうしたんですか…?」
「………ううん、なんでもない大好き。」
「ふ、……不意打ち禁止です……っ、でも
私も大好きです。」
「………かわいーー、、ほら俺の部屋いこっか」
「……っはい!」
わたしは先輩の手をとる。
「………空より、いーっぱい甘やかすし、
溺愛するから。」
「………っ、」
う、うひゃぁ……っ、
せ、先輩の声囁かれる感じでやられると反応しちゃうし……、こ、言葉が……っ、
「……ふふ、いこっか」「………っ、」
☆☆☆
「ひぁ、……うっ…」
首筋っ……無理ぃ……っ、
「もやぁ……っ、、」
「でも気持ちいいでしょ。」
「ふ、、あっ……」
自分のいいところを分かってるかのように触ってくる。
……っう、う
「せん、ぱ……っ、「…ん?どした」
「きす……しよ……っ、」
「………ほんとかわいーね、お前」
頭をスルッと撫でて、唇をのせる。
「……ん、……っう、…ん、」
酸素が……足りない……っつ、
「まだ、へばっちゃだめ。」
「………っひゃぁう…っ?」
舌が熱に割り込み入ってくる。
おかげで私の口に残っている空気は全てない。
頭が……ふわふわして、きた。
「ちーよか、ほらまだへばっちゃダメだってば」
足と足の間に足を入れられて、支えられるような形になった瞬間だった。
「ひぁ、ぅ…!?」
今まで持っていた熱がパッと弾けたような感覚がした。
「……?、……?」
「……キスそんな気持ちよかったんだー体ビクビクしてるよ?」
「………っふ、…え、」
ずっと残っている気持ちよさとは裏腹に、目頭が熱くなって涙が落ちる。
悲しい訳じゃない、のに、
「あー、泣いちゃった……ベット行こ。
腰抜けたでしょ」
「………っ、、ぅう……」
さっきから腰に力が入らない。
動けないよ………、、
先輩は軽々と私を持ち上げてベットに置いた。
「……っはぁ、……」
ベット楽だぁ………っ、
「ちよか、太もも見えてる。」
「……ひゃ、見ないで……っ、」
スカートだった……ばかばかばか…っ、
「んっ、」
「ここ弱いんだ?」
「………っ、やぅ、、触るのダメぇ……っ、嫌いになっちゃう、もんっ……」
「……あれ、さっきの言葉はどーしたの」
「……っう、ぅ、」
私ずっと先輩の彼女ですって言った……、言ったけどぉ……っ、
「い、意地悪しないで……っ?」
「意地悪じゃないー、これは愛。」
「うぅ~~~っ……、ひどいっ……、」
意地悪が愛だなんて信じません〜っ……
「まーでも、ちょっと意地悪しすぎた?」
「ちょっとじゃないです!」
「はいはい。じゃ、千代華の好きなチョコ食べよ?」
「ちょ、チョコ……っ!!」
そういえば思い出した、私のあだ名のもう1つの理由。
優ちゃんと初めて会った時、私がチョコをものすごく大事そうに食べてたから付けられたんだ。
「チョコ、そんなに好きなの?」って言われるくらいキラキラな目で食べてたらしい。
今では恥ずかしい思い出……
「チョコ、好きでしょ?」「はい!!だーいすきですっ……!」
「失礼します。菓子をお持ち致しました。」
「……わぁっ…!お菓子だ……っ、」
「チョコレートを主に揃えております。お楽しみくださいませ。」
………なんだろう。言葉に疲れを感じる。
「お姉さん……っ名前は?」
「わたくし、、…ですか?」
「はいっ…、綺麗な青い目をしてるお姉さんのことですっ、」
「………っ、」
綺麗なサファイヤみたいな青い目だなぁ、
素敵。
「私は、、花と申します。」
「花さんっ、!チョコ好きですか…?」
「……あ、えっと……」
「…チョコって、目とか疲れがスッキリする効果がちょっとあるんですよっ、
花さん声が疲れてる。これだけでも食べてくださいっ…!」
「………あ、ありがとう……、!ございます」
「……………、!私失礼なことしちゃいましたっ!?ごごごごめんない……」
「いえ、とても嬉しいです。またチョコレートお持ちしますねっ」
「……、えへへ、待ってます…っ、」
「……、!し、失礼しますっ」
そう言って、先輩の部屋を出て行った。
「……千代華の人たらしが……」
「先輩……っ?なんで頭かかえてるんですか……?」
「あーーうん、なんでもない」
「花さん、またあえるといいなぁ」
「また来るよう言っとく。」
「ほんと……っ!?嬉しいっ………て、
先輩先輩っ…!!チョコ食べようっ…!」
「はいはい。」
「先輩っ、これなんか中入ってる」
「あ、それダ「……う、にがぁ……」
「……?これダメでしたかっ…!?」
「………それ、ウイスキーボンボンだよ。少量だろうけど。」
「う、いすきーボンボン……?えっ、あ、あのお酒入ってるやつ……っ!?」
「……空が入れたのか、……潰す。」
「あ、ぅ、せんぱ……いっ……、なんか喉
あついよぉ……っ、」
「あー……水飲んで。」
「水飲んでも……治んないっ……あつ、」
「………こっちおいで。」
甘い夜は、まだ始まったばかり。
そう言ってるように先輩の目は光ってた。
ーーー
大好き END
あっつ……ぅい。。
手でパタパタとして風を送るもそれがぜん……っぜん涼しくならない。
「千代華ほらもうちょっと飲んで。」
「せんぱぁ……い、頭ふわふわ、する」
「お酒まさかこんなに弱いとは……、、俺がいる時しか絶対だめだ。」
「………ぅ?」
先輩の言ってることが分からないって言うか頭に入らない……。。
今だったら、言いたいことも言えるかな……、、
「せんぱーい、だいすきっ……」
「うわっ」
私は先輩に飛びついた。
案の定びっくりしてるみたい。
「千代華…離れて…」
「なんでぇ……っ?先輩とくっつきたい…」
「あー、こりゃダメだ…」
手で顔を押さえる先輩。
もしかして…私………
「じゃまでし、たか?」
「……は?」
「わたしじゃま、ですか……?、」
先輩を……えっと、……疲れさせたくないもん……っ、
「だめ、絶対帰っちゃダメ、てかこの部屋から明日まで出ちゃダメだよ。」
「………?なんで…?」
「それは、千代華が……色気を大量に放出してるからっ…て、あーもう。」
よくわかんないけど、明日の朝まで先輩といっしょ?
うれしいっ、
「てことで今のうちにお風呂入ろ」
「おふろ?」
「そ、お風呂。そこの部屋に湯船あるから使っておいで。」
「………、せんぱいといっしょにいたい…」
「……っ、だめ。お風呂、行ってきて」
「……先輩といっしょに、いる」
「………あー、もうわかった一緒に入る?」
髪をかきあげながらそういった先輩は、色気が半端なんて。
酔いなんてぶわって飛んでった。ような感じがした。
「…………っ、……う、」
「ほら、恥ずかしいんでしょ。入ってきな。」
「……っ、は、はぁい、」
わたしは脱衣所に走りドアをバタンと閉めて、座り込んだ。
…………
「………っ、う………」
頭がクラクラする……、酔いのことがあってのぼせるのが早かったのか、も。
「あーー、……ほら冷たい水飲んで」
「……ありが、とごさ……います。」
「……んー、寝てな。そしたら酔いさめるよ。」
「……ん、わかっ…た、」
「じゃ、俺風呂入ってくる」
「……ふぁい、、」
わたしは1人の部屋で、水をコクンッと飲んだ。
「…っぷはぁ、」
美味しい……
わ、眠っちゃいそ……う、
先輩のこと……待って、いたかったのに……
そうやってわたしは軽く眠りについた。
☆☆☆
「……千代華、ねた?」
「…………ん、せんぱい…?」
「あ、起こした?ごめん」
わたしは頭を撫でられる。
「先輩っ………、えへへ……」
「……ものすごいデレ。いつもこんなの言わないのに。………かわい。」
「………っ、先輩、キス、したい…っ」
「……っ、、わかった。」
そう返事してくれたけど、ふってこない先輩の熱い唇。
そしたら急に指が唇をなぞってから口に入ってきて、
「………ふ、ぁ……?」
「……はー、かわい、、」
「……せんは……いっ、きす、した…ふぁ」
「………意地悪しちゃった。わかったキスね。」
そう言って指を抜いてくれる。
先輩は指をぺろっと舐めてから私の唇に自分の唇を押し付ける。
「ん……っ、ん……、んん……」
熱くて溶けちゃいそうな、キス。
またお腹にずんと熱が持った気がする。
すぐにはパッと弾けず、とじこもる感覚。
「………はぁ、あっつい」
お風呂上がりの少し濡れてる髪の雫が、ポタッと私の頬に落ちる。
上着を少しはだけさせて、見えた鎖骨がさらに私の熱を高めさせた。
「……っふぁ、」
「暑い?千代華」
「……っちょっ、と、、」
「んじゃ、はい。」
そう言って近くのテーブルに置いた私の飲んだ水を口に含み、
私の唇に運んだ。
冷たい水が喉を刺激する。
それが私を正気に戻らせて、
「……っ、せんぱぁ……いっ…」
「……ん、何。」
「好き……っ、」
「………俺も大好きだよ。」
そう言われた瞬間弾けた何か。
忘れられない、熱くて、
蕩けた夜だった。
ーーー
熱くて苦いチョコレートは
END
「あ、の……先輩…?」
「……んー、なに、」
最近、先輩はイチャイチャしてくれなくなった。
キスも恋人繋ぎも、ハグも……
なんなら、距離は前より遠くて。
………どうして、?
先輩いつもいる時近いし、手…繋いでくれるのに、
「先輩、ここどういうことですか…、」
「あーこれは…ここを代入して、」
勉強してる時さえ先輩は私の顔を見てくれない。
なんでなの……?
…っ、
「千代華…?どうした?体調悪い?」
「………う、…えっと、そういうわけじゃ…なく、て…」
やばい………
先輩の声が耳に入ってこないよ、
急いで、目の前の問題を終わらす。
「……うん、おっけー」
笑顔を向けてくれるのは
嬉しいんだけど……、
先輩は距離だけじゃない。
スマホをずーっと見てて、最近は誰かとメールをしているみたい……
たまーに先輩笑ってる、し…
もしかして、……女の人…?
っ……先輩は、私の彼氏、だもん…
だから、大丈夫……、
大丈夫だよ、私は。
先輩と、…付き合ってるもん、
でも、そう心に言い聞かせても私のモヤモヤは、
広がり続けていた。
…………「……どうして、」
「えー…、あのかいちょーが最近イチャイチャしてくれないだって?ほんとかい?それ。あんた達場所構わずイチャイチャしてるじゃん。」
「ほ、ホントだよ、てか……場所構わずイチャイチャなんてしないよっ…!………先輩が私に……距離とってるの……」
「ふーん……え、あ、あの会長が???」
私はその次の日優ちゃんに話をした。
優ちゃん曰く先輩は、私のくっつき虫らしい。
すっごい、驚いてるけど、…
「えー……なにぃ?チョコちゃんたらァ」
「な、なぁに?」
あまりにもニヤニヤしながら言うもんだから、思わず構える。
「欲求不満?」
「……………、っ、ち、違う違う!!!」
一瞬思考停止しちゃったよ……
「えー、キスがない関係は嫌なんでしょ?
構ってくれる先輩がいいなら、そうでしょ……、何が違うの?」
「…………言い方の問題だよ……っ!」
「……やーん、チョコちゃんのえっちー…、えろいーー」
「……やめてやめてーっ…!他の人に聞かれちゃうよ……っっ!」
「本当のことだしーぃ、」
いやそうなのかもしれないけど……っ、、!!
わ、わたしって……え、えっち…なんでしょうか?
「そういう優ちゃんはどうなのよっ…?」
芝くんとどういう感じなのか全然聞かないし、
「えー…と、もうしたはした。」
「したって…なにを?」
「そんなの……、」
「う、……うん?」
「キスのそれ以上よ、?」
「……ぐっ……ぅ、」
「え、してないの?」
「……っ、してないよ……っ、、」
「……あ、そもそも、チョコは純潔、
だもんねぇ〜」
「ぅお、大声で話す言葉じゃなぁぁい!!」
はい、私はキスのそれ以上をしたことがありません、、
だ、だって…そもそも、先輩が初めての先輩で、初恋…だもん、
「……ど、どうすればいいんでしょうか…っ?」
「え、そんなのえっちしてくれってたの「ハードルが高いですぅ………、、」
「んじゃ、誘うしかないなぁ…」
「……ひょぇ、」
「リピートアフターミーーー、さ、そ、う」
「………無理ですぅぅ……っっ、」
「まだ実行してないのに、、……じゃ、まず避けてる理由とキスしたいって言えばいいんじゃなーい?」
お気に入りの桃ジュースをずずっと飲みながら、ゆうちゃんは言う。
で、できるかなぁ……、、
でも、それくらいしかわたしできること、ない……よね、
「わ、わかっ…た、放課後言いに行く、」
「おー偉い偉い」
意気込む私に優ちゃんは頭を撫でた。
☆☆☆
キーンコーンカーンコーン……、
聞きなれたチャイム……を横に聞き長い廊下を早歩きする。
せ、先輩……どこかな、、
生徒会室……、
それとも教室……?かな、
「は、話…って、なにかな、湊くん」
あはは、嫌な予感しかしないなぁ。
私、…放課後って、ほーんと、運がないのかな、
3階の廊下から、中庭を見る。
そこには……
「美園先輩と、……湊先輩っ、
何やってるの……かな。」
かわいた笑みが少しこぼれて、
大丈夫だと思っていた目も耐えきれなくなり、涙目になる。
もしかして、先輩が最近メールしてたのってこういうことだったのかな、
避けたことも、私が嫌になったからだったのかな、
先輩は、私の彼氏、だよ、…ね?
私は…その場から逃げ出したくて、走り出す。
情けない、
今ならなんだ二人でいるんですか?って
言えるのに、
あの時の先輩と離れる時を思い出して、
それを拒否する。
あれかなー、
両思いになると冷めるってやつ、?
あはは、
なんにも、考えたくないや。
先輩の着信音には聞こえないふりをして、
私は家のベッドで静かに眠りについた。
『千代華。いなかったけど、帰りだいじょぶだった?』
♡♡♡
……ん、、あ……もう8時…か、
今日お母さんたちいないから、ご飯食べずに寝ちゃった……あはは、、
あれ、優ちゃんから連絡……と、先輩だ、
……先輩、ごめんなさい、
優ちゃんからは、
どう?伝えられた?電話で報告すること!
って来てた。
電話…しよう。
着信音が2回、3回となる。4回目がなろうとした時、
《もしもしー!千代華?どうだった!》
「あ……優ちゃん。……その、」
《……その調子だと、ダメだった?》
「え…っと、先輩、美園、先輩といて…」
《……はぁっ!?》
あからさまにきれたような声を出す。
小声であんの、、会長がぁと言っているみたい。
《……それで、逃げてきたってわけ?》
「……ぅう、はい。」
《全く…、先輩は私の!!って言いに行けばよかったじゃない》
「……えへへ、全く私ったら情けないよね」
《………》
「先輩あれかなぁ、両思いになると、冷めるって……やつなのかなぁ…」
黙ってると涙が滲んでくる気がして。
《………当たって砕けろ》
「…へ?」
《好きなら思いぶつけろー!バカ千代華ぁぁ》
「は、はいって、ば、ばかぁ!?」
電話の向こうで少し泣くような声が聞こえる。
「優ちゃん…?泣いてるの?」
《…な、泣いてないし…っ、》
「なんかあったの?」
「浩介、くんが…私のこと本当に好きかわからない…って、うぅ、ばかぁ……」
優ちゃん恋愛には奥手だからなぁ……
「……よし!2人で当たって砕けよ!!それなら……ねっ、?」
《………っすん、ゔん゛、明日決行ね》
「は、はいっ」
優ちゃんいつも、ありがとう。
ゆうちゃんがいるから、好きな人に…大切な人に想いを伝えられるよ。
「優ちゃん。、大好きだよ。またね」
《……うん、、またね。》
もう、クヨクヨしないよ、
そんな意味を込めて、通話を切る。
涙がすっとひいて、連絡しよう、
そう思った時だった。
ーー
「今から会いに行ってもいい?」
ーー
せんぱ、…い。
会いたい。会ってすぐに伝えなきゃ、
湊side
千代華に来週から……、、
この心地よい関係は、崩れる。
前と同じように、なんていかない。
伝えるのは、千代華があのことを知ってからにしようか。
そうなると、時間を考えて和解だなんて難しい。
そうすれば、きっと…きっと、離れられる。
……俺は、彼女なしで生きていけるのか?
終わることが決まっていたのに、千代華にあった理由は、少しでも、千代華の記憶に残りたかった。ただそれだけ。
君の初恋の相手になりたかった。
彼氏になりたかった。
一生愛する彼女との記憶は、一生の宝物。
「……先輩っ…!」
嘘、ついてばっかりだね。
本当のことも話さない。
でもこれだけは嘘じゃない。
「ごめん。千代華、好きだよ。」
欲求
END
「……っ、」
「千代華泣くの我慢したでしょ。目の周り赤い。」
視線を外す私の顔をしっかりおさえて、
私を捕える。
「……っせんぱい、」
「………ん、言いたいこと全部、言って」
「……っ、ハグしてくれないし、キスしてくれないし……っ、、誰かと連絡とって笑ってるみたいだしっ、、美園先輩と会って、たし……っ、」
「うん、ごめん。話すから。」
私のことをぎゅっと抱きしめてから、ぽんぽんと背中をさする。
「先輩っ、……私のこと、もうやだなの…っ、?」
「…あ゛ー違う違う」
「……っ?」
「……千代華のこと避けてたのは、千代華からなんかしてくれないかなーって思ったからだよ。」
「……っ、あ、」
わたし、が……
「いつも俺ばっかで、千代華から何かしてくれないかなー……、、っと」
先輩の目が見開いた気がする。
私が、触れるだけのキスをしたから。
「……っ、こ、こんなことしかできないけ、どっ…、先輩のことが一番好きです、
ずっと好きで、…っん、、」
「…足りない、もっと、」
手を絡めてくる。あぁ、幸せだ。
「……っすきぃ、」
「…ん、俺も」
ちょっと離れた時にだす、
吐息が、濡れた視線が、絡めてくる手が
好きだ。全部、好き。
「目、瞑らない。ちゃんと俺みて」
「…っふ……ぁ、」
息、足りない…よ、
「…ん、みなと……っ、」
「…っ、あ、ごめんごめん。」
「…っは〜…っ、はー…っ、」
一気に、吸ったら咳き込みそう。
キスの後は、先輩は背中をさすってくれる。
久しぶりの感覚に、泣きそう。
「……、はい、これ。」
「…え?」
見せられたのは、私のお母さんのトーク画面。
「こ、れ」
「そう。俺がみられなかった小学生の頃の写真。送ってもらった。」
「……っ、」「これで、元気もらえるので」
だから、よくメール開いて、、たの?
「美園…は、警告だよ、警告。」
「けいこ、く?」
「うん、千代華になんかしようとしてたみたいだから、釘刺し。」
「……、」
守ってくれてたの……、
何も知らなくて、わたし…、
余計に先輩に心配、かけて…
「ごめ「謝らないでよ、言ってなかった俺が悪い」
「……っ、守って、くれてありがと…うっ…」
「ん、俺も安心だし…」
?聞こえなかった、。
「なんか、いいま、した?」
「ううん、明日。迎えにくる。」
頭を撫でながらそう言う先輩。
「……んじゃ、帰るよ。」
「…っ、先輩、」
「…ん、……え」
「ま、…またあした…っ、」
「……いい逃げかよ、……、かわい。」
私は最後に、先輩の耳を引っ張って
『一生、好きですっ、』
って、言い逃げした。
ごめんね
end
「ねぇ、千代華。」
「はひぃ…っ、」
び、びっくりしたぁ……
「俺に言いたいことあんならちゃんと言わなきゃ」
「ぇえっ…?なんで、……ぅ、エスパー…っ?」
「顔がずーっとソワソワしてる。」
「へ、ぇ……っ、?」
そんな顔に出てたかな、、
そう、私はずっと先輩にききたいことがあった。
……先輩の過去。
私たちは、高校で再会した。
でもそれまでは知らない。
もっと…知りたい。
「あ、の…先輩の過去が、知りたいんです…」
湊side
「あ、の…先輩の過去が、知りたいんです…」
……そっちからきたか…
今日確かに、教えようと思ってた。
けど、千代華からだとは思わなかった。
「え?なんで?」
「せ、先輩と会うまでのことを知りたいんです……っ、昔とか、お願いします…っ」
「えー、そんな知りたいの?」
教える、これはただの時間稼ぎみたいなもの。
「知りたいです……っ、」
俺のシャツをぎゅっと握って、上目遣いしてくる姿は誰もが惚れるであろう姿。
「先輩は、…私の事なんでも知ってる、けど…、私は先輩のこと…、全然知らない、から……」
視線を落とす千代華の頭を撫でるのをぐっと我慢して、スマホをとった。
「……ん、ちょっと電話する。」
「……?、は、い」
『もしもし、湊?例のこと?』
「あぁ、俺はこの後仕事をいれてるんだ、だから、『…本当は嫌なんだろ』
「…は、」
『離れたくないんだろ。自分から教えるなんて…出来ないんだろ。』
「、……とにかく、頼む」
はぁ、とスマホの向こうから聞こえた溜息を聞こえなかった振りをして電話を切った。
部屋に戻ると、千代華と花サンが夢中で話していた。
「花さんっ、香り変わったっ!?」
「ふふ、そうです。入れ方だけでも香りが変わるんですよ。」
「へぇ〜……、私これ好きですっ」
「そうですか!では、これからはこちらの紅茶を用意させていただきますね。」
「ええ!ありがとうございます!!ち、ちなみになんて言う……紅茶で、、」
「ディンブラベースのアールグレイです。」
「でぃ、んぶら?アールグレイなんですね…っ!今度買ってみます!!」
「ふふ、良かったです気に入って貰えて。」
微笑ましい姿。思わず笑みがこぼれて、目を細める。
千代華がソーサーにカップをおいた時、
俺は声をかけた。
「ん、千代華終わったよ」
「あ、先輩…っ、花さんが紅茶について教えてくれてたんです…っ!」
「へー、楽しそう。」
「は、反応薄いですよ…、、」
「俺コーヒー派だもん。」
「ええ、苦いの何がいいんだぁ……、」
「お子ちゃまだね、まだ。」
「むぅーー」
かわいいなぁ、……一生、離れたくない。
「あ、花サン。お願いしたいことあるんだけど。」
「はい、なんでしょうか」
「確か、花さんってうちのガードの試験受けてたよね。」
「はい。基本的に給仕ですが、女性のためにと、そちらもとっておいたんです。」
さすが。
じゃあ、
「千代華の護衛、頼める?」
「……先輩?どーゆう事…」
「…んー、俺の過去知りたいんでしょ。だから1番知ってるやつから聞いた方が分かると思う。しかも俺、さっき行かないといけない仕事できてさ」
「なるほど…そういうことなら、わかり、ました」
ぎゅっと拳を握る姿は、緊張しているのが分かりやすく見える。
「じゃ、花さんよろしく頼みます。行く場所は、……んー、小鳥遊と一緒に行けば分かります。」
「承知致しました。小鳥遊にご連絡はお済みでしょうか?」
「はい。今部屋の外にいるはずです。」
「承知致しました。」
「せ、先輩…頑張って、ください」
「……ん、頑張る。ありがと」
頭を少し撫でてから、部屋を出た。
「会長。総長の家でOKだよね。」
「あぁ、楓には許可は降りてる。優希はもういるとの事だ。」
「…わかった。じゃあね。」
「ああ」
これで、千代華に嘘をつくのは終わり。
この関係も、
終わり。
千代華side
「こ、ここ?」
「うん。ただの御屋敷に見えるけど、中は凄いよ」
「…へぇ…っ、」
ただの御屋敷…ってなに、、めっちゃ立派なんだ、けど……
お花の紋様が門に施されており、立派な姿だ。
「……花さんは、「あれ、空じゃん」
「は、なんで、ここまで歩いてきて、」
「あー…ごめん、待ちきれなかった。」
「はぁ…?命狙われるぞ。」
「んー、優希に任せるよ笑」
「優希先輩優しいからって舐めすぎなんだよ。総長様が許さねぇぞ。」
な、なんの話し…??
こ、この人なの?
「あ、湊の」
「ああ。」
マダラ
「初めまして。湊の彼女さん。俺は、斑目
浪月。一応、1番隊特攻隊長だよー」
ロウガ
「はじめ、まして…っ、私は、羽瀬来千代華と、申します…っ、」
「かったいって……千代華リラックスしろ」
「無理無理…っ、私だって、人見知りだもん……、、」
「へー基本的に女子を放ったらかしにする空が……ねぇ?」
「うっせ…」
そうなの、?
「言っとくけど、…こいつだけ」
「ほぇー……、」
興味深そうにする斑目さん。
「んじゃ、お話はここまで。そこのメイドは、俺についてこい。優希なら、楓の隣の部屋にいるから」
「わかった。……花さん。浪月には気をつけて、」
「……は、はいっ……??」
「よし、千代華。行こう。」
「う、うん。わかった……」
そう言って門をくぐり、中に入った。
すごく……綺麗な庭園、
「あ、小鳥遊くん。先輩をよく知ってる人ってユウキさんって人ですか?」
「あーうん「俺のこと?」
「っひぇ…!」
「あ、ごめんね。驚かせちゃった?」
「だだだ、大丈夫ですっ、、」
さっき、、俺のことっていったけど、
「浪月が帰って来ないからさー、襲撃されたのかと思ってみにきちゃったよ。」
「浪月に限って、それはないかと。てか、優希先輩が逆に襲撃されたらどうすんすか。」
や、やっぱり…このひとが、
先輩のことをよく、知ってる人…
ユウキ、さん。
「うーん楓に頑張ってもらうしか。」
「浪月と同じようなことは言わないでいただきたく。」
「あはは、空はいつも通りの冷めかただなぁ」
くすくすと笑う姿は、誰もが綺麗と思うだろう。
「一応、浪月も俺と同じ2年で、先輩なんだけどなぁ。」
「……はぁ、あんな女遊びは知りませんよ。花さんが心配ですね。」
班目さんも、2年生……なんだ。
女遊び…か、それはちょっと花さんが心配。
班目さんに比べて、ユウキさんとの上下間がわかりやすくて、すごい人なんだな…って思わされる。
班目さんもすごいと、思うけど。
「あ、自己紹介まだだったね、
佐野優希。優しい希望と書いて優希だよ。
高2で、一応、副総長だよ。」
副総長……、リーダーの2番目の人ってこと、だよね?
「……えと、その隊長とか、副総長とか、
どういう、ことですか?」
「あー、わかんないよね。それも含めて、教えてあげるよ。湊の過去。」
「ありがとうございます、」
怪しく目を細めた気がしたけれど、それを無視して、私は
「おいで。」
という声について行った。
☆☆☆
「はい。これ甘めのアールグレイ」
「あ、ありがとうございますっ」
小鳥遊くんはこのお屋敷での仕事が残っているのに気づき、イライラしながらいなくなった。
つまり、この部屋にいるのは私合わせて2人だ。
「あの…」
「質問いっぱいしていいよー」
「ありがとうございます。その会長とはどういう関係で…?」
「あー、湊の婚約者の弟ー…」
「こ、婚約者……っ!?」
「あは、違う違う。じょーだん。幼なじみだよ。」
「あ、幼なじみ…かぁ、、」
び、びっくりしたぁ……、、
冗談がすぎるよ。
わぁ、美味しい…。先輩はブラックコーヒーが好きだけど、佐野さんは甘いのが好きなのかな。
「ねぇねぇ、ちよかちゃん。湊のことどれぐらいすき?」
「あ、えっと…いっぱいすき、です…?」
「そっかぁ、」
にこりとさっきとは違う笑いを見せる佐野さん。
「…、…っ?」
「湊はさ、感情のない王だって中学の頃呼ばれてたんだよ。」
王、様…?
私の見る先輩は、王子様…って感じだけど、
「多分いまもちょーっとあると思うけど、…いやあるけど、今とは比べ物にならないくらい黒いオーラがでててさ、誰も怖がって近づかなかったんだ。」
「………」
「笑顔なんて俺は少なくとも1回しか見た事ないよ。中学生の頃ね。小学生の時も全然笑わなかったし。」
笑わない、?
先輩が?
あんな優しく笑ってくれるのに、
「じゃ……えっとその1回って…」
「えーとね…湊は実は、暴走族の1人なんだ。」
ぼう、そうぞく…って、
いたんだ……。
「それで湊はまぁ、めんどくさいことは嫌って言って総長じゃなくて、内偵っていう位についたんだけどさ。」
「へ……へぇ……」
「それで、湊が、『俺はやらなきゃ行けないことがある。空に、内偵を頼む。たまに手伝うから降ろさせてくれ。』って言ったんだよ。」
やらなきゃ、行けないこと。
「それで、俺が湊に、『いいのかよ、族にいるお前楽しそうだったぞー』って言ったら、笑って『ありがと。楽しかった。けど俺には終わらせなきゃ行けないことがあるから』って言ってさ……」
それが、先輩が族をおりた理由と、笑った理由…?
「……ちなみにやらなきゃ行けないって言うのは、ちよかちゃん君に関係してるんだよ。」
………どういうこと、?
やらなきゃ行けない?終わらせなきゃ行けない?
何が、この心地よい関係を作って、きるっていうの?
………、、落ち着こう…
「………、湊先輩の赤いピアス」
「え?」
「先輩の赤いピアス……っ、」
「あれつけてたの中3だけど、知ってるんだ…?」
んー?と考える佐野さん。
「不良に絡まれた時に助けてくれたのが湊、先輩…で、赤いピアスが…見えた、から。」
「へー…」
「「…………」」
少し黙ると、口を開く。
「赤いピアスは、湊がちーいさいころに貰ったものだよ。
うちの中学校ピアスOKでさ、中学校に入った瞬間からつけてたんだ。
自分の起こしたことを…忘れないようにだったっけ?」
「先輩が…、起こした、こと?」
「あ、……教えて、なかったね。」
ちょっと悲しそうに笑った佐野さん。
なに、
「ちーいさいころ、最後に湊にあった時のことを覚えてる?」
「……曖昧ですけど、遊びに来てくれなくて、泣いた記憶があり、ます。この前それだけ、思い出したんです、小学生の頃も記憶がすごく、曖昧なんです。中学生は曖昧になることも少なくなりましたけど。」
「……そっか。じゃあ、許可は貰ってるし、遠慮なく言わせてもらうね。」
な、に……、許可、?
「千代華ちゃん。小さい頃が全然覚えてない理由、小学生の記憶がずっと曖昧になってしまう理由はね、」
何故かよくわからないけれど、唾をゴクリと飲む。
「記憶喪失と、一時的な海馬の低下が
ある事故によって起こされたから、だよ。」
「……へ、」
記憶喪失、?な、なにをいってるの、?
「湊との最後はそれじゃない。
1つの事故なんだよ。」
「…え、…、どうゆうことで、」
「湊の、、録音あるから。聞いて、」
そう言って佐野さんがスマホのボイスメモを開いて、「外行ってるから聞いてて。」
とドアの方に行きながら言った。
……パタン
足音が遠ざかる。
私は、再生ボタンを少し震える手で押した。
《 あーあー、あ、OK。優希じゃ、全部話せないだろうから、ボイスメモで笑》
電話の時みたいな感じの声。
《〜〜………〜〜〜〜〜〜〜…》
先輩の声をしっかり、聞いて。
何が、あったのかも全部。
私は、全部思い出した。
☆☆☆
「みなとくんなんでこないの…っ!…っ、っ、ふ…ぇ……ぅう…っ、」
「……ちよか。」
湊くんが来なくなって、1週間。
その日突然湊くんは現れた。
「みなとくん……っ?なんであそぶのやくそく、したのに…こなかったの…っ?」
「ごめん、、ほんとうにごめん。でも
もう行かなきゃ……」
湊くんは、引っ越しすることが前々から決まっていて、引っ越し準備、パーティーなどで忙しかったと、話した。
「……やだよ…っ、いかないで、…っ、」
「でも、…ごめん、また会えるから。ね?」
「み、…みなとくんのこときらいになっちゃうよ……っ、だいきらいになっちゃうよ……っ、?」
「……俺は、ずっと大好きだよ」
「……っ、じゃあ、この…お母さんからもらった…ピアス、?もっ…てて…っ、」
「…え、そんな大事なものでしょ。自分で…」
「また、会えたら返して…、」
「うん。わかった。わかったから泣き止んで…?」
「……っ、ずび、…っう、泣き止んだ…っ」
私は最後に、ハグがしたくて、
そう思って抱きついたの。そしたら、そしたら…
柵も何もない公園のような、、広場のような私たちのいる場所にね、湊くんの場所にね
車が、来たんだ。
道路じゃ、ないのに。
「……っ、みなとくんあぶな…っ!」
助けようとおもって。
突っ込んできた車の来る場所から、突き飛ばした。
きぃーーーーっ!!!と大きなブレーキ音。
それが、湊くんと私の最後となった。
千代華 外傷は軽傷にちかいが、頭を打ってしまい、昏睡状態に陥る。
湊 軽傷にちかいが安静が必要。
という感じだったらしい。
私は、最近の出来事の記憶を喪失。一時的な、海馬の低下。
となった……というわけ。
⭐︎⭐︎⭐︎
《俺は、千代華に助けられた。でも、危ない目に合わせた。そんな俺がそばにいちゃ行けない。ずっと縛り付けてたのに、今更すぎて笑えてくるでしょ?》
「、みなとく、…」
《ずっと好きだった。千代華が中心で世界が回る。けど別れよう。千代華はちゃんと幸せになって。》
私だって、先輩が中心で世界が回るの。
なんでよ、私は先輩のことを助けたくて、
助けて…、庇った、だけだよ、?
「…みなとくんが、悪い、わけじゃ…ないの。」
膝にのせている手にぽた、ぽた…と、涙が落ちる。
いや、だ
先輩私の事好きだって、言ったじゃん。
ねぇ、…どうして別れるなんて、いうの…っ
ずっと、同じことを再生し続けるスマホを
前に私は泣きじゃくる。
「…、千代華ちゃん。」
「…さの、、さん」
苦しそうな、唇をぎゅっと噛む佐野さんがこちらを見ていた。
「俺は親友、湊に笑っていてほしい。幸せになって欲しい。それは千代華ちゃんも一緒でしょ?」
「…っ、私と、一緒に、幸せじゃ…だめ、なん…ですかね、…っ、」
「…泣かないで。湊のところ、行こう。」
私の手を引いて、部屋を出る。
小鳥遊くんは、「かなわないな。」そう言って、私たちを呆然と見ていた。
☆☆☆
「千代華ちゃん。これは言うなって、言われてたことなんだけど。」
「…はい。」
「湊、明日の夜、日本を発つんだ。」
「……え、?」
「……、」
悲しそうに笑ってから、佐野さんは口を開く。
「これを機に、
フランスへ留学しに行くんだ。3年間。
生徒会長は、湊じゃなくて、空になる。」
あ、えないの…?
自分から会わないようにしてる、っていうわけ?
「泣いちゃ、ダメだよ。」
「は、い。」
「泣いちゃったら俺が疑われるしさー、
なにより、湊が見たいのは、千代華ちゃんの笑顔だよ。」
「……っは、い。」
「ほら、泣きそうになってる。はい。湊の家着いた。行こう。」
「はい。」
私は車を出て、インターホンを押す。
「、ちよか、です。湊、くんに会いに来ました。」
〈……千代華様ですね。門を開きます。〉
何度目かの唾を飲み。
歩き始めた。
佐野さんは、「がんばれ。」といって背中を押してくれた。
私が、きめなきゃ、……ちゃんと。
「…、千代華様。実は湊様は誰も人を入れないようおっしゃっていて、、」
「……ごめんなさいっ、」
「…え?」
「先輩!!入ります!!」
強行突破作戦でいこう。
「……は、千代華」
驚いたように目を見開いて。
でも、すぐ見る目がすぅと、冷たくなって。
手元には大きなスーツケースがあった。
「出ていって?」
「……っ、いやです!」
「…話、聞いたんでしょ。ずーっと嘘ついてる俺に軽蔑して言いに来た?それとも、
俺の事叩きに来た?」
「…、ちが…う、」
「じゃなに?俺、明日のために準備しなきゃ行けないんだけど。」
「……っ、私だって聞いて欲しいことがあるんだけどっ…!!」
ちょっと怒った。
確かに私に嘘ばっかついて。私と、一緒に幸せになるつもりなんて最初から無かったことに。
結婚とか、バッカみたい。あれも全部嘘だもんね
……話をきいてくれないんだ、
「先輩勘違いしないでよ…っ、私が勝手に、助けたくて…助けただけなの…っ!!先輩のせいなんかじゃない…っ…!!
私だって、先輩が中心でまわってるの…っ、私だって、…先輩のことが好きなの…っ、私だけじゃなくて、
先輩と一緒がいいの…っ…!!」
「…、、」
冷たい目は、悲しそうになる。
「でも、傷つけたことには変わりは無いし、明日俺が居なくなるのだって変えられないんだ。だから。別れるんだよ。」
「……っ、先輩最後まで嘘つくの…っ?」
私に好きって言ってくれたこと。
私に嫉妬してくれたこと。
私とすれ違った時の先輩が思ったこと。
全部嘘なんかじゃない。本当のことじゃないの?「は?」
「先輩が…っ、湊くんが…っ、
私と一緒にいたくないか、って聞いてるの……っ!!」
私が聞きたいのは事実じゃない。
湊くんの気持ちだよ。
わたしは湊くんに近づく。
「……最後のつもりなんでしょ、最後くらい嘘つかないで教えて、よ。」
手をギュッと掴む。わたしの涙は手に落ちる。
「……………最後、じゃない。」
顔を私の肩に押し付ける湊くん。
お願い
この時間が、続いて…くれないかな。静かに落ちる涙は、湊くんの服に染みていく。
「…、、どういうこと、?」
「………っ、俺千代華と一緒にいて、いいの」
「、……私が、一緒に……いたいの。」
湊くんのとなりがいい。
「………なら、最後じゃない。けど、これは嘘じゃないよ。」
「…ってことは、」
「俺も……、千代華と一緒に、いたい。」
……わたしは、それが聞きたかったんだ。
「…っ、ゔぅ〜……っ、」
「…泣くなよ。」
ちょっと冷たい感じ。
これがきっと、湊くんの素なんだと思う。
「……みなとく、すき…っ、」
「、うん。」
「だいすき…っ、」
「……うん、俺も。」
すき。
一緒に、いさせて
☆☆☆
「…目腫れてんじゃん。」
「…見ないで」
ふっと笑って私を持ち上げる。
「ひゃ…っ、…へへ、」
「………」
……悲しそうに笑わないで、
明日から湊くんがいなくなる。
その事実を分からせられる気がして、
「湊くん、あ、いしてます。」
好きとかじゃ足りないの。
「…ん、俺も」
「ちゃ、ちゃんと言ってくれなきゃやです…っ」
明後日の分も明明後日の分も全部ちゃんと言ってくれなきゃやだです…っ
「…っ、」
「明後日っ…、、隣で好きって言ってくれる湊くんは、いないんです。」
「…そうだね。」
「キスも、ハグも…っ、、恋人繋ぎも、
なくて…っ、」
「……うん。」
「先輩のこと好きすぎて…っ、
足りないんです……っ、」
「…………、俺も、
もう、無理。」
甘くて触れるだけのキス。
「……っ…ん…」
何回も続けられて、軽いキスなはずなのに
息が足りなくて、息切れする。
「…っはぁ、…っん、」
「…ん、ベットいこ、」
おでこにキスを落として、
ベットに私を置いた。
私の隣に先輩が寝転ぶ。
ギシ、と音が鳴る。
髪が顔にかかると、先輩の細くて大きい手が耳にかけてくれる。
「……ねぇ、……、ちよか、」
「……はい、?」
熱を持った熱い瞳でわたしをじっと見てくる。
「……キスの先、のことを考えたこと…ある?」
「……、」
「ないでしょ、俺さ、もう我慢できない、かも」
「…….……なら、」
「え、?」
「…っ、先輩なら、いいって…いったのっ」
「っ、え、」
酷く動揺してる顔。
「…痛くて、泣いちゃうかも、それでも?」
「…、好きだから、……ずっと、一緒が、いい…から、」
私はギュッと拳を作って、
目をつぶる。
「………、愛してるよ、千代華。」
瞼にやさしいキス。
顔の色んなところにキスを落とされる。
「…みなとくっ、くすぐった…」
「……、ありがと。」
確かに、怖かった。
けど、それより、嬉しかった。
時々辛くて、甘くて、ほんのり苦い。
チョコみたいだね。
知らない
END
尚大7歳
「ねぇ、何してるの。」
「……千代華の、」「…?あっ、自己紹介しないとな、俺は羽瀬来 尚大。羽瀬来グループの……まぁ、跡取りだ。」
「……俺は四月一日 湊。俺も、まぁ跡取り…だな。」
「四月一日…って、母さんたちが仲良い人の苗字だ!これから仲良くしようぜ!」
「…あぁ、」
初めて会った時の湊は、7歳とは思えない
……、同じ歳とは思えない、大人みたいな人だった。
全てが最初から完璧で、周りの大人は恐怖で遠ざけていたほどだった。
パーティで会ったうちで笑ったことは、
2回くらいしか無かった。他では一切笑わない。
なんて言うか、、壊れたロボットみたいだった。
初めて会ってから、4、5回くらいたった。
今日も俺の妹千代華が、悲しそうに笑いながら。遊びに行く。
どうやらいつも遊んでくれる人が来ないらしい。
今日も、俺は、遊ぶのを断った。
そして、俺は湊が来ると言っていた、パーティに向かう。
だが、来ない。いつまでも来ない。
母が血相を変えて、ドレスで走っていた。
それだけ、焦ってたってことだ。
「千代華が…、千代華が、事故にあったって……」
俺も、顔が青ざめた。
俺がいたらこんなことにはならなかったのか?って、
…いつも遊んでいる人をちょっと恨んだ。
病院に急いで向かう。
手当は終わっているらしく、病室に向かった。
俺は驚く。
頭に包帯をした湊の姿が、千代華の病室前で見たからだった。
「…み、みなと…?なんでおまえ、…」
包帯巻いてんだよ、って言おうとしたら、
「俺が、……いなければ、」
そう言って青ざめた、血の気の引いた顔を見せた。
「俺を、庇って千代華が…怪我した。俺の、せいだ……。。」
違う、悪いのはお前じゃない。きっと千代華だってそう思ってる。
庇った、…その事が正しいのなら、千代華はお前に謝って欲しくないはずだ。
「……お前、とりあえず、かえりな、顔の色、やばい。」
俺はそう言って湊を使用人の方へ、出した。
「……………、俺の、せいだって、いえなかった。」
これは今でも後悔してる。
そして俺は過保護になった。
記憶喪失が起きてしまった千代華に、もうそんな辛いことは起こさせないように、
でも、
そんなの無理だったんだ。
千代華と、湊は付き合っていた。
俺はその事に、妹のことを思えず、……絶望した。
いつだって、湊の人生を狂わすのは千代華だ。記憶喪失でなんにも知らない千代華が、湊のそばにいていいんだろうか、
いや、
そんな関係、いらないだろ?
そう思ったんだ。
だからあの時、電話して。
別れ、させたかった。
でもそんなの無理で。
千代華の記憶に残りたい。そういった。
留学で、初恋に傷をつければきっとずっと心に残る。
湊、お前はいつからそんなふうに、かんがえるようになったんだ。
耳にまだ残っているピアスの跡。
それが俺を異常に、俺を虚しくさせるんだ。
……わかってる、どんなことがあったって、きっとお前はずっと千代華が好きなんだろう
☆☆☆
「お兄ちゃんっ、結婚おめでと」
「、ありがと。」
なんだかんだ、俺たちはよくやってきたと思う。辛さを乗り越えて、心をほんの少し傷つけながら。
俺は今日最愛の人と結婚する。
君と出会った夜は、まだ辛さを思い出させる。でも、最愛の人と出逢えた日はきっと君がいなきゃ作れなかった。
嘘つきな君と俺は、ずっと友達でいたい。
そう、心から願う。
一途で嘘つきな君に、最大級のありがとう。
君と出会った夜
尚大side
END
……えーと、ここかな。
私は、19歳になった。
そう、あのいなくなった日から、3年の月日がたとうとしている。
卒業式、優ちゃんが号泣するから私涙堪えるの必死だったよ。
朝日くんでさえちょっと泣いてたし。
………最後に湊くんとあったのは、一昨年の卒業式。
と言っても、離れがたくなっちゃうから、
ハグと言葉を交わすだけだった。
でも、今日は違う。
やっと、
やっとちゃんと帰ってくる日なんだ。
卒業式が、成人式をしたんだよ。
大学生生活が始まったんだ。すごく楽しい。
湊くんがいない毎日が当たり前になった。
居ないとやっぱり、甘さが足りないね
告白されたことも、あったけど、ちゃんと断ったよ。湊くんがいるのでむりですって、
話したいこと、
ほーんとにいっぱい笑
空港のベンチで、空を眺める。
………ぎゅっと、願う。
大好きな彼に、
会えますように…って、
ピロンと着信音。
この湊くんだけにつけた着信音久しぶりだなぁ
、…やっと、
会えるね。
「………湊くん……っ!!」
「……、千代華、」
先輩はゲートから出て、人が少ないところに足を止める。
私はそれについていって、同じようにとまる。
振り返る時に見えた、赤く光るピアス。
「……千代華、」
「……はいっ、」
「……
会いたかった。」
私も………ずっと、ずっと……
「会いたかったよ…………っっ、」
大好きなんかじゃたりません。
一緒にいられなかった分、
愛してくれるでしょ?
最愛の人。
「千代華、俺と…結婚してください。」
「……っ……、はいっ……喜んで、」
右手薬指には、
白く光る宝石が、ずっと輝いていた。
☆☆☆
ーーー
「……千代華、」
「……もー、優ちゃん?泣かないの」
「そーだぞ、まだ始まってないしぃ」
「朝日うるさいわよ、、」
「朝日、優に話しかけちゃダメ」
「はいはい、束縛男が、」
「お前に言われたくねぇわ」
す、す……っごい、口論してるなぁ、、
今日は、晴れ舞台だ。私と、…湊くんの
そう…結婚式、
「……あーー、もう男子うるさいっ、
千代華!会ちょーのとこ行ってきな!!ていうか、着替えてきー!」
「は、はいっ…」
「では新婦様。ドレスに着替えましょう,」
「はい、いまいきますっ、じゃ、またね!」
「式場でー!!」
そう言ってわたしはメイクルームとかいう場所に入っていった。
ーーー
「とてもお似合いですよ…っ!!」
「あ、ありがとうございます…っ、」
大きめのフリルのついた純白レースのドレスをまとい、それにあったメイクをしてもらった。
やっぱり、素敵だなぁ…、、
コンコンコンと、3回ノックがかかる。
「千代華ー…家族できたわよ、ってあら
すごい綺麗じゃない。」
「ありがとうお母さん…!」
「千代華、似合ってるよー!」
「ふふっ、お兄ちゃんも、そのタキシード似合ってるよ!あ、次の結婚お兄ちゃんだと、いいね?それとも優ちゃんたちかなぁ」
「……あ、兄をバカにするんじゃないぞぉ、」
そう怒っているお兄ちゃんの後ろには私の1個したの女性が、1人上品に笑っている。
奈々ちゃん…、お兄ちゃんと、お幸せに
「……ちよか。綺麗だぞ」
ニコッと大人っぽく笑うお父さん。
………、うん、
「ありがとう…!」
「……千代華がいなくなるのは少し悲しいけど、湊くんと一緒なら、大丈夫だよ。
………幸せに、なりなさい。」
「………」
無口だけど、お父さんはちゃんと私を見てくれたよね。
「うん。私、今人生で……
1番幸せだよ。」
☆☆☆
「…千代華、」
「…湊くん、っ……」
「可愛い、…」
「ありがとう、…っ湊くんもかっこいいよ…っ、」
笑顔で微笑む。
いつも笑ってくれる君が好きだよ。
「……湊くん言ってなかったことがあるんだ。」
「ん、なに?」
「…………湊くんと私は、
お父さんと、お母さんになるんだ…っ」
「……っ、え、」
ふふ、そんな顔久しぶりに見た気がするよ。
実は昨日わかったんだ。
生理が全然来ないからほんっと、びっくりしたもん。
「………千代華、
一生そばにいて、俺の事、愛してね。」
「…うん。ずーーっとね。その代わり、
私に
とびきり愛をちょうだいね。」
そうして軽くキスを落とす。
私は、今1番の幸せものだと思う。
一途で嘘つきな先輩は、
ううん、一途でとびきりの愛をくれる湊くんは、私の事を1番愛してきます。
ちょっぴり嘘という苦味も残して、
溺愛という甘味を残すんだ。

