どうにかあの男を打破しなくては…
「悪いな!助かったよ」
「いえいえ」
会議室で書類を渡して“その気にさせる作戦”と並行して今日の仕事の段取りを考える。
プレゼンは本当の話だからまずは資料は必要。
「資料室に寄るか…」
一度エレベーターで地下まで降りて材料に使用するパネルやパソコンに保存されてない資料を探しに向かう。
ーーピッ
首から下げたIDを入口でかざすと解除された音がした。
「今回は…漆喰(しっくい)を使いたいんだよね〜」
部屋の一番奥は薄暗い。
面倒臭さがりの私は電気もつけず資料棚をまで進みメインに使いたい漆喰のパネルを見つけた。
ーーピッ
「誰か来た?おつ…か」
ボソボソと言いながら資料棚の陰から一瞬顔を出して咄嗟にしゃがみ込んだ。
「蒼真どう言う事よ!」
蒼真と確か…常務秘書の峯岸(みねぎし)さん?
峯岸さんは昨年海外版の社内報で表紙を飾ったIandRで有名な美人。
オリエンタルな顔立ちに抜群のスタイルの持ち主で確か父親は代議士だと聞いた事がある。
見ちゃいけない…聞いちゃいけない…
分かっては居るけどこれも人間の性(さが)
棚の隙間からちょこっと覗き見をする。
「連絡した通りなんだけど」
表情は見えないけど蒼真の声はいつもの数倍冷たい。
(…修羅場?)
ヤバいとこに出くわした物の今更二人の前を堂々と歩く勇気はない。
(身を潜めた方が得策!)
「もう会わないって意味が分からないわ」
「麻里(まり)婚約者居るよね?」
二人は、んーっ、付き合ってた?
婚約者と言う事は峯岸さんが二股って話?
「…居るけど。それは始めから知ってたじゃない」
「お互い遊びだったんだから構わないよね」
声のトーンが低すぎてこっちがドキドキしてしまう。
「納得出来ない」
ドン!!と音がして「絶対に許さない」と怒りのこもった声が暗い資料室に響いた。
覗くと峯岸さんが蒼真に抱きつき資料棚が少し揺れてるように見える。
「悪いけど…が…」
何か蒼真が答えたけど小さくて聞こえない。
その代わり「そんなの関係ないわ!!」と峯岸さんのヒステリックな声が聞こえる。
「それでも俺は無…り」
ーーパンッ!
乾いた音が資料室にこだまして蒼真に最後の言葉を言わせないと言わんばかりに頬を引っぱたいてた。
(うわ…痛そう)
音からして中々の威力のパンチに目を強く閉じた。
「本当、終わり」
「絶対諦めない」
叩かれても終わりを告げる蒼真も凄いけどそれにも負けない峯岸さんも凄い。
沈黙が少し続いて彼女の「じゃあ」と憎しみと寂しそうな声が聞こえてドアが開く音がした。
恋愛は難しい物。
峯岸さんの感じだと凄く好きだったんじゃないかな。
(…まあ私には関係ない)
少し棚の隙間から顔を出して再度誰も居ないか確認してみる。
「悪いな!助かったよ」
「いえいえ」
会議室で書類を渡して“その気にさせる作戦”と並行して今日の仕事の段取りを考える。
プレゼンは本当の話だからまずは資料は必要。
「資料室に寄るか…」
一度エレベーターで地下まで降りて材料に使用するパネルやパソコンに保存されてない資料を探しに向かう。
ーーピッ
首から下げたIDを入口でかざすと解除された音がした。
「今回は…漆喰(しっくい)を使いたいんだよね〜」
部屋の一番奥は薄暗い。
面倒臭さがりの私は電気もつけず資料棚をまで進みメインに使いたい漆喰のパネルを見つけた。
ーーピッ
「誰か来た?おつ…か」
ボソボソと言いながら資料棚の陰から一瞬顔を出して咄嗟にしゃがみ込んだ。
「蒼真どう言う事よ!」
蒼真と確か…常務秘書の峯岸(みねぎし)さん?
峯岸さんは昨年海外版の社内報で表紙を飾ったIandRで有名な美人。
オリエンタルな顔立ちに抜群のスタイルの持ち主で確か父親は代議士だと聞いた事がある。
見ちゃいけない…聞いちゃいけない…
分かっては居るけどこれも人間の性(さが)
棚の隙間からちょこっと覗き見をする。
「連絡した通りなんだけど」
表情は見えないけど蒼真の声はいつもの数倍冷たい。
(…修羅場?)
ヤバいとこに出くわした物の今更二人の前を堂々と歩く勇気はない。
(身を潜めた方が得策!)
「もう会わないって意味が分からないわ」
「麻里(まり)婚約者居るよね?」
二人は、んーっ、付き合ってた?
婚約者と言う事は峯岸さんが二股って話?
「…居るけど。それは始めから知ってたじゃない」
「お互い遊びだったんだから構わないよね」
声のトーンが低すぎてこっちがドキドキしてしまう。
「納得出来ない」
ドン!!と音がして「絶対に許さない」と怒りのこもった声が暗い資料室に響いた。
覗くと峯岸さんが蒼真に抱きつき資料棚が少し揺れてるように見える。
「悪いけど…が…」
何か蒼真が答えたけど小さくて聞こえない。
その代わり「そんなの関係ないわ!!」と峯岸さんのヒステリックな声が聞こえる。
「それでも俺は無…り」
ーーパンッ!
乾いた音が資料室にこだまして蒼真に最後の言葉を言わせないと言わんばかりに頬を引っぱたいてた。
(うわ…痛そう)
音からして中々の威力のパンチに目を強く閉じた。
「本当、終わり」
「絶対諦めない」
叩かれても終わりを告げる蒼真も凄いけどそれにも負けない峯岸さんも凄い。
沈黙が少し続いて彼女の「じゃあ」と憎しみと寂しそうな声が聞こえてドアが開く音がした。
恋愛は難しい物。
峯岸さんの感じだと凄く好きだったんじゃないかな。
(…まあ私には関係ない)
少し棚の隙間から顔を出して再度誰も居ないか確認してみる。



