彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

据え膳食わぬは…無惨にも食われず。

頭の中は蒼真との条件“その気にさせる”が頭の中を支配してる。

ただ私が脱いだくらいではあの蒼真が喜ぶわけもない。
セクシーな下着でベッドに横たわる自分を想像して…うぇッ…吐き気がした。

「…さ」

まともに恋愛したことない女に対する無理難題にどう立ち向かえば良いのか?

「…さ」

蒼真に可愛い子を紹介するとか?
そしたら私にその気にならないよな。

「遊佐〜?!」

「なっ…岩、岩神課長!」

呼ばれたのに不機嫌な返事をしてしまって落ち込んでしまう。

「体調悪いのか?」

この優しさが大好き。
元々優しい目元がもっと下がってる。

「だ…だいじょうぶです…」

恥ずかしいのと照れで年甲斐もなく顔が赤くなる。

「なら良いけど、これ会議室に頼むよ」

ーーポン

数枚ほどの書類で頭を小突かれてもっと赤面する。

「なんなりと!!」

「元気良さそうだな。じゃあ頼んだ」

もうどうとでもして欲しい!!
沼に片方入った足をもっと深く沈めても良い!!

(まあ私では無理なんだよね…)

パソコンの画面にかろうじて映る自分にため息を吐いた。

遊佐 千波(ゆさ ちなみ)28歳。
不動産部営業。
万年企画をボツにされ続けてる何もかもが崖っぷち女。
身長、見た目…中学から変わらず。
付き合った人は数人居るけどそこまで好きになれず経験値は小学生と同じ。

岩神課長はそんな私にも凄く優しい。
去っていく後ろ姿なんて…

「クマさん…愛でまくりたい」

大きい背中に笑うと無くなるつぶらな瞳。
見た目だけじゃない!!
周りの人の仕事を徹夜で手伝ったり私みたいな小童(こわっぱ)の体調を心配したり…

「神だわ!!絶対に前世は神」

ついつい口にしちゃうくらい私にとって大事な人で好きな…いやいや…大好きな人!!