言いたいのは分かりますよ…
女子高からの女子大育ちの私。
周りは女子力高めタイプとガサツタイプの二通りで私は後者の方だった。
「もういい。やめた」
犬になってまで頼まなくちゃいけないとか本当にバカらしくなる。
「頼んだ相手を間違えた。他の人探す!」
お財布から万札を一枚取り出してテーブルに置いた。
「もう、やめんの?」
偉そうな態度と口振りは変わらない。
プライドを捨てて頼んだけど絶対間違えた。
「お釣りは要らない」
質問を無視してヤツを睨むけど態度は崩さず反省ゼロの顔がただ見つめてくる。
何でも見透かした嫌な顔!!
「時間の無駄だと思うだけ」
さっき頼んだレモンサワーを店員さんから受け取り一気に飲み干して席を立とうとした。
「時間の無駄ね〜」
含んだ物言いをする。
店員さんに蒼真の追加した冷酒を渡されて仕方なく一旦座るとお猪口を差し出してきた。
「何か言いたいの?」
諦め気味でお猪口にお酒をそそいでると、
「お前、岩神(いわがみ)課長好きだよな。それこそ時間の無駄じゃない?」
「は?えっ?」
トポトポトポ…
「おい溢れてる」
「うわっ」
何で?どうして?
誰にも話してない私だけの秘密をこの男は知ってるの?!
「と…唐突に何よ」
お猪口から溢れた冷酒をおしぼりで何度も何度も拭きながら心を落ちつかせて動揺を隠す。
「お前って分かりやすいよな」
ふっと笑ってる。
嫌味なくせにたまに見せる優しい表情。
こう言う所なんだよ。
女の噂が絶えずこぞって女性達が彼に夢中になる理由。
「じゃあ、仮に…仮によ?好きだったら?」
正直に言って頼みを聞いてくれるような人なら話すけどヤツの事だ絶対に…
「他の男の為に俺が出汁(ダシ)にされるのはごめんだな」
やっぱり…この男はこう言うヤツ。
「減るもんじゃないじゃない?据え膳食わぬは、だよ?」
前のめりになってテーブル越しのヤツに詰め寄った。
「千波(ちなみ)の恥だろ?でも…まあ」
「まだ恥かかせたいの?」
ふっとまた笑ったヤツにイライラして横を向いた。
「分かったよ。千波が俺をその気にさせれたら考えてやる」
天地がひっくり返っても無理だと思ったのに…
「だから千波次第かな」
私、次第?
蒼真は溢れた冷酒を器用に口元に持って行き嫌味な視線を向けてくる。
頭が悪い私でも分かる。
とにかくその気にさせれば…
「どうする?」
そう言って右手にお猪口を持ち契約代わりに綺麗な左手を差し出した。
悩む時間は私にはない。
「やってやるわよ」
女は度胸と心の中で呟いて出された手を強く握りしめた。
女子高からの女子大育ちの私。
周りは女子力高めタイプとガサツタイプの二通りで私は後者の方だった。
「もういい。やめた」
犬になってまで頼まなくちゃいけないとか本当にバカらしくなる。
「頼んだ相手を間違えた。他の人探す!」
お財布から万札を一枚取り出してテーブルに置いた。
「もう、やめんの?」
偉そうな態度と口振りは変わらない。
プライドを捨てて頼んだけど絶対間違えた。
「お釣りは要らない」
質問を無視してヤツを睨むけど態度は崩さず反省ゼロの顔がただ見つめてくる。
何でも見透かした嫌な顔!!
「時間の無駄だと思うだけ」
さっき頼んだレモンサワーを店員さんから受け取り一気に飲み干して席を立とうとした。
「時間の無駄ね〜」
含んだ物言いをする。
店員さんに蒼真の追加した冷酒を渡されて仕方なく一旦座るとお猪口を差し出してきた。
「何か言いたいの?」
諦め気味でお猪口にお酒をそそいでると、
「お前、岩神(いわがみ)課長好きだよな。それこそ時間の無駄じゃない?」
「は?えっ?」
トポトポトポ…
「おい溢れてる」
「うわっ」
何で?どうして?
誰にも話してない私だけの秘密をこの男は知ってるの?!
「と…唐突に何よ」
お猪口から溢れた冷酒をおしぼりで何度も何度も拭きながら心を落ちつかせて動揺を隠す。
「お前って分かりやすいよな」
ふっと笑ってる。
嫌味なくせにたまに見せる優しい表情。
こう言う所なんだよ。
女の噂が絶えずこぞって女性達が彼に夢中になる理由。
「じゃあ、仮に…仮によ?好きだったら?」
正直に言って頼みを聞いてくれるような人なら話すけどヤツの事だ絶対に…
「他の男の為に俺が出汁(ダシ)にされるのはごめんだな」
やっぱり…この男はこう言うヤツ。
「減るもんじゃないじゃない?据え膳食わぬは、だよ?」
前のめりになってテーブル越しのヤツに詰め寄った。
「千波(ちなみ)の恥だろ?でも…まあ」
「まだ恥かかせたいの?」
ふっとまた笑ったヤツにイライラして横を向いた。
「分かったよ。千波が俺をその気にさせれたら考えてやる」
天地がひっくり返っても無理だと思ったのに…
「だから千波次第かな」
私、次第?
蒼真は溢れた冷酒を器用に口元に持って行き嫌味な視線を向けてくる。
頭が悪い私でも分かる。
とにかくその気にさせれば…
「どうする?」
そう言って右手にお猪口を持ち契約代わりに綺麗な左手を差し出した。
悩む時間は私にはない。
「やってやるわよ」
女は度胸と心の中で呟いて出された手を強く握りしめた。



