彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

「ムカつく…」
「今、ムカつくって聞こえたんだけど」

腕組みして長い足をテーブルの下でコツンとぶつけてくる。

(何でこんなヤツがモテるんだろう…)

俺様なのに女の噂は絶えないこの色気ダダ漏れのこの男、伊月 蒼真(いづき そうま)
同期の28歳で海外事業部からの出向組。
不動産部門の主任。

有名大学出身
180センチ超えの身長
女顔負けの美貌

まあ…モテ要素が二次元並。

俺様好きなら…

「老の眼?」
「お前沈められたいの?」

皮のビジネスバッグからメガネケースを取り出しシルバーフレームの眼鏡を掛けられたら…

「皆んな落ちるよね」

「褒めてんの?けなしてんの?」

「褒めてます」と涙袋にある小さなホクロを見つめてると書類に目を通してたヤツが私を見てニヤリと笑う。

「何よ」

残り少なくなったカシスオレンジを飲み干して次のお酒をタッチパネルから選び送信ボタンを押した。

「じゃあ3回まわってワンて言えば聞いて上げても良いよ」

私からパネルを奪い取り自分の飲み物を嬉しそうに探してる。

「おい、瞳孔開いてる」

開きもしますよ?
私は犬ですか?!

「昔から蒼真は私をバカにしてるよね」

いつもこんなでまともに相手された事がない。

最初に異動してくるなり初対面にも関わらず

「遊佐さんて女子力ゼロだよね」と言われ…
1週間後に「髪すげぇ傷んでる」と言われ…

とどめに2週間後には!!

「痩せた方が良いんじゃない?」と言われた。

新しい服を購入し1週間後には髪をバッサリと切ったのは言うまでもない。
ダイエットは…まあ1日でやめた。