彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

アンナグランデの本社でもあるホテルの1階でうちの担当と課長と3人で今後の打ち合わせと軽い談笑をしてホテルのエントランスで別れた。

「伊月何も言わなかった?」

「蒼真ですか?」

お昼を終えてフロアに帰ったけど蒼真の姿は無くその後会う事も無かった。

「別に何も」

そう答えてうちの担当さんの背中を二人で見送る。

「そうか。じゃあ飯でも食うか?」

「ですね!ご馳走になります」

「割り勘な」と冗談を言う課長と高級フロアと一般フロアの間にあると言うレストラン街に向かう為に降りて来るエレベーターを並んで待つ。

「はははっ、やっと来たか」

私の方に視線はあるけど私を見てるわけじゃない。

「誰がですか?」

「千波を返して貰います…いや返して下さい」

引き寄せられた腕に驚いて見上げるといつもと違う焦った表情の蒼真の顔が私に向けられてる。

「せっかく今から楽しい楽しい食事だったのにな」

「し…食事…?!課長メールで…あぁ俺を騙したんっすね」

二人の話が全く見えない。

「どう言う事?」
「お前は黙ってろ」

聞ける雰囲気も無いままタイミング良く降りて来たエレベーターに私は押し込まれた。

「明日は休みだからごゆっくり」

課長は蒼真に笑顔で何か渡してエレベーターは静かに閉まった。

勝手にボタンを押す蒼真に詰め寄り問いただす。

「蒼真!」
「うるさい」
「うるさいって何よ」
「まじ…お前はホントに」
「私が何…んっ…」

詰め寄った私に少し荒めのキスをし唇に付いた私のグロスを親指で拭う。

(やる事がエロ過ぎる…)

「降りるぞ」

手を握られ黒い絨毯で敷き詰められたホテルの通路を引っ張られる。

「ちょっと、蒼真痛ッ」

急に足が止まりぶつかる私を見向きもしない。

(あれ…課長が渡してた)

蒼真はカード型のキーでドアを開いた。