彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

「おい」
「…ん…眠い」
「酒臭いし…風邪引くぞ」

テーブルにはありとあらゆる空っぽになったお酒の瓶や缶。

「千波、起きろ」

リビングに直に寝てしまったらしい。
ビジネスバッグをソファに置いて蒼真は私を抱き起こした。

「蒼真…」

お酒の酔いが勇気をくれる。
抱き起こす蒼真の首に手を回して私から唇を寄せた。

「お前…何してるか分かってる?」
「分かってるよ!」

この間と違う冷たい唇と冷たい声に怖気付きそうになる。
でもこのまま私が蒼真のそばに居続けると周りに迷惑掛ける気がした。

(峯岸さんも課長も…)

メールの犯人を知ったら蒼真は峯岸さんを責める。

そして…傷つく。

「どんなに痛くても我慢する。もう二度と頼まないから」

お酒の酔いなんて意味がない。
恥ずかしくて怖くて蒼真の顔が見れない。

「…」

リビングの静けさに我慢出来ず「蒼真」ともう一度名前を呼んだ。

「分かった」

冷たく発した声に指先がどんどん冷たくなる。

首に回した手に力を込めると私を軽々と抱き上げて寝室のドアを器用に開けた。


「ちょっ…ちょっとお待ちを」
「…お前が最後って言ったんだろ」

ベッドにゆっくりと私を下ろして少し離れた所にある間接照明をパチッと点ける音がした。

「言ったんですが…」

やはり私はヘタレで怖気付いた。
蒼真は上着を無造作にポールハンガーに掛けてため息を吐いたように見えた。

(こっちに来る…)

また強く瞼(まぶた)を閉じて蒼真の気配だけを感じる。

「千波」

さっきの冷たさとは違う声のトーンに力強く頷いた。

「あの時…いや泣くほど課長が好きか?」

泣く…?
会議室から出た時に涙目だったのを見られたに違いない。
涙が出たのは課長の優しさに触れて色々感情が重なっただけ。

だけど好きなのは事実…

「うん」

顔の両横に軋みを感じて目を少し開けると蒼真は私を囲んで真っ直ぐ私を見つめてる。

(…恥ずかしい)

目線を逸らそうとするけど逃がさないように私を抱き起こして一つにまとめてた髪を解き口付けをする。

「えっと…蒼真さん?」

全くの無視。
そのまま膝に乗せられおでこから目尻に頬とキスをしてサマーセーターの裾から少し冷たい手を直接背中に添わせる。

「あの、蒼真」

冷たい指先にビクッと反応する身体に顔に恥ずかしくて名前を呼ぶけどまたも無視。

(まずい。私、顔赤いって!)

「上向いて」

その声に逆らえず上を向くと蒼真の唇が私の唇を奪い次第に深くなる。

「そう…ま」

「まだ怖い?」

キスの合間に名前を呼ぶとクスッと笑って唇を離した。

「…いや…まあ…」

「今から本番」

ワイシャツを脱ぎさり下に投げ捨てる姿にドキッと胸が鳴る。
上半身はお風呂で見たのにベッドだと一段とエロさを際立たせる。

「ゆっくり…お願いします」

「煽るな」と笑って私のサマーセーターを一気に引き抜いた。