彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

「千波、先上がるぞ」
「はいはい」

蒼真が先に上がり私はそのままお風呂に入り掃除して上がると真新しいバスタオルと着替えを準備してくれてた。

「やばいな…お前」

着替えてリビングへ行くと半裸の蒼真がリビングに腰掛けて私の髪を触り酷い顔をする。

「すげぇクルクルになるんだな」

ストレートの髪質の蒼真には物珍しいらしい。

「あんたにどう思われても構わない」

「だな」

「湿布貼るからちょうだい」

テーブルには病院から貰った薬と湿布が置いてある。
これを自分で貼るのは…中々困難。

「あぁ、頼むわ」

リビングの床に座り背中を向けて大人しく待ってるから少し可愛くてクスッと笑ってしまう。

「千波のくせに何がおかしいんだよ」

千波のくせにが意味分かんないけど照れ隠しなのか頬をほんのり赤く染めてる。

「ごめんごめん。あまりにも素直で」

湿布を手に取りゆっくりと貼って行く。

「今さらだけど庇ってくれてありがとう」

お礼は言ったけどそれでも恩人には何度でも言いたくなる。

「お前だったら潰れてたんだから俺で良かったよ」

(潰れるは余計だと思うけど…ね)

普通にやった行動なんだろうけど他の子がされたら別の意味で昇天しちゃうだろう。

「ちょっとこっち来いよ」

無事任務完了させるとTシャツを着た蒼真はソファに座り前を指さした。

「分かりましたよー」

ここで機嫌を損ねるのは面倒臭い事になりそうで大人しく言う事を聞いて前に座る。

「いや後ろ向けよ」
「後ろ?最初から言ってよ」

真向かいに座った私の頭をクシャクシャとしながら「あっち」とソファの対局側を視線で命令する。