彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

「そ…蒼真!!」

「なんだよ」

やばいです!
悔しいけど一緒に住みたくなる。

「何っていやこれは…!!」

前を歩く蒼真の腕を掴むと「痛ッ」と顔を少し歪め私を軽く睨んだ。

「少しは落ち着けよ」

フッと笑って痛い背中を庇うようにゆっくりソファに座った。

「こんな素敵な漆喰の家…住んでるなら早く言ってよ」

退院日に休暇を取り初めてのお宅訪問すると驚いた。

「言う必要ないだろ」

興奮せずに居られますか?
昔なら大地主様であろう漆喰づくりの立派な日本家屋に興奮しないわけがない。

「こんな身近で漆喰作りの家を見る事が出来るなんて…」

田舎ならまだしも街の中の一軒家。
周りは緑に囲まれて古民家カフェとか出来そう。

「イケメンはタワマンに住む物だと思ってた」

漆喰をそのまま使った壁を触り頬擦りする。

「そんなわけあるか」

おばさんが亡くなってその後蒼真が大切に守って来たのが綺麗に掃除された部屋で分かる。

「私に蒼真を任せて!きちんとお世話するから」

グッと拳を作って安心させようとすると蒼真は嫌味な笑みを浮かべた。

「一緒に住むのか?」

「むっむむ…りです」

「はははっ、だろうな」

面白いくらいに笑って「いてッ」と背中を丸めた。

意地悪言ったバツだ!!
少しくらい痛い目にあえば良い!!

「お前、顔が笑ってるんだけど」
「いえいえ…滅相もない」

悪い事を考えたのバレてる?

「ふーん。じゃあ行こうか?千波」

悪魔のような声のトーンで私を軽く睨んで手招きをして私の小さい肩に捕まりソファから立ち上がった。



千波、勇気を出すんだ!

「おい、まだかよ」

「任せて!」と自分で言った事だし今さら無理とか言えない。

「もう良いや。自分で」
「分かった。お邪魔します!」

ドアノブに手を掛けて勢いよくエイっと中に入った。

「お前のせいで風邪引く」

「ごめんなさい」

蒼真は椅子に腰掛け腰にタオルを巻き寒そうに待ってる。

「お前には無理だよな?」と言う売り言葉に…

(何で買っちゃうのよ…私)

怖気付いてももう遅い。

「背中くらい流せる!!」と買っちゃった言葉にかなり後悔してる。

プールとか海で見る裸とは違うじゃないですか?
怖気付きたくもなりますよ。