彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~

淡い系の色ならどれでも合うとは思うけど漆喰が良くて中々踏み切れない。

「千波」

私を呼んでノートパソコンから私に視線を向けた。

「俺の家に住むか?」

「はい?!何っ…笑えない冗談」

青、白、ベージュ、俺みたいな?!
イケメンの真剣な目にドキッとしちゃうじゃないの!!

「ん?」
「ん?って私が、ん?だよ」


ーーガラッ


「それは良い案だな!!」
「課長?!」
「千波借りて良いでしょ?」

勢いよく開いたドアと同時に入って来た岩神課長に驚いて食べようとしていた甘々チョコクッキーを握り潰してしまった。

「遊佐には頑張って貰いたいからな!これ、お見舞い」

「ありがとうございまーす」

(そんな二人共呑気に…)

お見舞いより好きな人に同居を勧められてる現実に胸が痛い。

「千波、色々成功させたいんだろ?」

蒼真はニヤッと意味ありげに笑ってこっちに返事を振ってくる。

「もしかして、本当のホントにガチ?」

「俺が冗談言うように見える?」

だよねー。
冗談とか絶対言わない。
つーか、いつもは…

「冗談は言わないけど意地わ…いや真面目だもんね」

危ない!本音がポロリと出るとこだった。

「意地悪って誰が?」
「あの…何かいや。ははっ」

「お前ら本当に仲良いなぁ〜」と自分の持って来たどら焼きをのほほんと頬張る課長。

「仕事で泊まる為の部屋が取れなくて相部屋になったと思って住んでみろ」

課長…そんな偶然ないですよ。

「お前いつも企画ボツだもんな」

蒼真うるさい…黙れ

「伊月は退院しても不自由だと思うけどな」

課長に指をさされた蒼真の姿を見て、

「ですね…私を庇ったわけですし」

凄く嫌だけど家とは違う件もお願いしてる。
痛々しい蒼真は私のせいでこんなだし…
生活するには不自由ではあるはず。

「決まり。頑張れ遊佐」

いや…私まだ頷いても返事もしてない!

「退院したら下僕な?」

ニヤリと笑いながら調子に乗る嫌な顔にイラッとするけど痛めた腕も気になる。

「せめて…メイドでお願いします」

二人に笑顔を向けられて私はすごーく嫌そうな顔で仕方なく頭を下げた。