それから1週間後──。


 真弓はまだ目を覚さない。


 私は真弓が入院した日から、学校から家までお母さんに送り迎えをされることになった。


 わずかな自由時間さえ、私にはもうない。


 他に変わったことといえば、また新しい家政婦さんがやってきた。


 お母さんの言いつけをよく守り、私ともしっかり距離をとって働いてくれている。


 離れには、とうとう誰も寄りつかなくなってしまった。


 お母さんも、私も、新しい家政婦さんも。


 そんな部屋はないかのように日々を送っている。


 ……真弓が退院したら、またいつもの日常に戻るだけだ。


 ただそれだけ。


 私は自分に何度もそう言って、奥野さんたちのことを頭のどこからも追いだそうとした。


 奥野さんからもらった手紙や写真は、全部破いて捨てた。


 それなのに。


 ふとした瞬間に、2人の顔が浮かんでしまう。