……奥野さんの好意に、甘えるしかできない自分がどうしようもなく情けない。
「なぁ、帰ろう?」
うつむいて唇をかみしめた私の背中を、大きくて温かい手がさする。
「毎日お見舞いに行こう、俺も一緒に行くから」
……姉弟そろって、どうしてこんなによくしてくれるんだろう。
私はコートの袖口で乱暴に目をこすると、顔を上げて奥野さんを見た。
「妹を、よろしくお願いします」
「承知いたしました」
奥野さんは深々と頭を下げた。
私も立ちあがって、同じくらい深く頭を下げる。
「食事のストックは、冷蔵庫に全て入れております」
奥野さんと同じタイミングで頭を上げると、彼女はうっすらと微笑んで教えてくれた。
温めればいいってことね、ありがたい。
そう考える前に、だれかの腹の虫がぐぅぅと鳴った。
私が目を丸くしていると、奥野さんが半目になって呆れたような視線を奥野くんによこした。



