Close to you



 そのくらい、真弓は愛に飢えていた。



(かわいそうに)



 あきらめてしまえば良かったのだ。私みたいに。


 愛なんて、求めたところで傷つくだけなんだと。


 私はページをめくろうとして、少し黄ばんだ紙に指をはわせた。



「光永さん」



 私はなぜか慌てて本を閉じて、カバンにしまった。


 奥野くんは目をパチクリさせて、「どうしたの?」と軽やかに笑って訊いてくる。



「あの、真弓はどう?」



 私はとっさに、今まで思いうかべていた真弓について訊ねた。別におかしな話題ではないだろうけど、声が上擦ってしまった。


 奥野くんは不審がることなく、むしろ私に憐れむような眼差しを向けた。



「それが、来てなくて……」


「来てない……」



 奥野くんの、「なにか知らないか?」と言いたげな視線に、私はうつむいて首を横に振った。



「そっか」


「帰ったら、声かけてみる」