学生の頃は自分1人で見て感動するのが、本物の感情で、それ以外はいわば"ごっこ遊び"なんだと頑に思っていた。

本物ではない、偽りの感情も、それはそれでいいもので、決して"ありふれて"なんかいなかったんだ。

今はとても懐かしい気持ちで、窓のから見える郵便ポストに手紙を投函する人を眺めている。


"香り・風景・人"。


僕の旅の始まりは、いつからだったのか?
それを知りたくて、僕は再びここに帰ってきたのだろうか?


"わからない。わからない。だけど、再び、ここに戻ってこなければいけなかった"

電車はいつのまにか動き始めていた。窓の外には、昔見た景色が広がっていく。

僕は当時のまま、ずっとここから動いてなかったのだろうか?


"そんな気がするんだ"