○蓬莱家・台所(夜)
彼方と唯香、二人で並んでギョーザを作っている。
唯香がちらっと見ると、意外と手際がいい彼方。
唯香「彼方ってやろうと思えばできるのに、あんまり料理しないよね」
彼方「んー、唯香が食べてくれるなら毎日やってもいいけど」
いい笑顔を向けてくる彼方。
うぅっと怯む唯香。
唯香「でもそれは困る…私が彼方にしてあげられることが減っちゃう」
彼方「唯香の手料理が毎日食べれたらすごい幸せだろうな」
その言い方に思わずときめく唯香。
唯香(これが結婚生活……なのかな)
○蓬莱家・リビング(夜)
食卓に焼き上がったギョーザが並ぶ。
「いただきます」で一緒にギョーザを食べる唯香と彼方。
彼方「唯香が買ってきてくれたしょうゆのおかげで普段の百倍おいしい」
唯香、思わず笑って、
唯香「大袈裟だなぁ」
それを愛おしそうに見ている彼方。
×××
食後、ソファの座ってテレビで映画をみている二人。
隣同士に並び、手は恋人繋ぎにして、密着している。
唯香(ぜんぜん話が頭に入ってこない……)
唯香はつないだ手に視線を落とし、
唯香(こ、ここまでする必要ある……?)
唯香の回想。こうなるまでの彼方の言葉。
彼方『俺は、結婚したらこうやってずっと触れ合っていられたら幸せだなって思って』
唯香(これも彼方の新作のインスピレーションのために必要……なのかな)
悩みつつ、再びテレビに視線を戻した唯香。
すると、
彼方「あー、好き」
ボソッと彼方の方から声がする。テレビの声にかき消されそうなほどかすかな声。
驚きつつ、そちらは向けない唯香。
彼方「ずっとこのままでいられたらいいのに……」
唯香「……っ」
唯香、つい手がピクっと反応してしまう。
気付いていることを隠しきれなくなり、
唯香「あ……セリフ、リアルだね……?」
ハッとした様子の彼方は、
彼方「ごめん……口に出てた……」
唯香「ううん! 邪魔してごめん……!」
唯香、彼方の方を向き、
唯香「小説、どう? 進められそう……?」
彼方「ん……なんとか」
唯香「そっか……役に立ててるなら良かった」
彼方、ぎゅっと唯香の手を掴んで真剣な様子で、
彼方「うん、すごく」
その真剣な表情に見惚れる唯香。
唯香N『これが本当の愛の告白だったならどれほど良かっただろう』
切ない気持ちが湧きおこる。
見つめ合う二人、そのままキスしそうなほど顔が近づくが――
テレビの音声「キャアアアアアアア!!」
テレビから響いた悲鳴に思わずびっくりして、二人で顔を見合わせて笑ってしまう。
唯香「びっくりしたぁ」
彼方「すごい声だったな……」
○蓬莱家・ベッドルーム(夜)
ベッドに入った唯香。彼方と同じベッドで、後ろから抱き締められるような体勢。
時計は午前12時ごろを指している。
唯香は緊張の極み。
唯香(『やっぱり夫婦って一緒のベッドで寝るものじゃない?』って言うからやってみたけど……)
唯香、間近に彼方の息遣いを感じ身じろぎ。
唯香(こ、これは眠れそうにないかも~~……!)
×××
数分後。
時計が午前12時から少し進んでいる。
すーすーと寝息を立てている唯香。
彼方、頭を抱え、
彼方(……寝れる気がしない……)
はーと一つ息を吐いた彼方、眠る唯香に声をかける。
彼方「……早くこっち見て、唯香……俺を見て」
○櫻見高校2年3組
放課後、がやがやした教室。
しずく「んじゃ部活行くね~」
教室を出て行くしずくに手を振る唯香。
唯香(彼方、さっきどこか行っちゃったけど仕事の電話かな?)
唯香の回想。
携帯の着信を受けながら教室から出て行く彼方の姿。
唯香、鞄に荷物を詰めて帰り支度をしながら、
唯香(今日は買い物とか大丈夫かな。一応待ってた方がいい……?)
そんな時、教室の入り口に人影が。
そちらを見る唯香。
唯香「?」
○櫻見高校・裏庭
一方の彼方。
人気のない裏庭で電話中。
裏庭はまばらに雑草が生えるのみで、何もない。
彼方「渡来さん? 直接電話ってどうしたんですか」
ちらっと周囲を気にする彼方。
彼方「オーディションの件なら局の方と進めてもらったら大丈夫ですから。……え? いや遙コナタの意見とか別にいいんですよ。俺は原作とドラマは別物って考える派なんで……」
靴で雑草を掘り起こしながら、担当編集の渡来と会話を続けるコナタ。
彼方「はい、まあもしどうしてもって人が見つかったら連絡しますよ。それじゃ」
電話を切ってため息を吐く彼方。
それを影から見ている人影が。
○櫻見高校2年3組
教室に残る唯香の前に姿を現したのは、冬木涼太郎。
その出現に戸惑う唯香に対し、冬木は高圧的に見える態度で、
冬木「浅葱唯香、俺と付き合え」
唯香「!?」
彼方と唯香、二人で並んでギョーザを作っている。
唯香がちらっと見ると、意外と手際がいい彼方。
唯香「彼方ってやろうと思えばできるのに、あんまり料理しないよね」
彼方「んー、唯香が食べてくれるなら毎日やってもいいけど」
いい笑顔を向けてくる彼方。
うぅっと怯む唯香。
唯香「でもそれは困る…私が彼方にしてあげられることが減っちゃう」
彼方「唯香の手料理が毎日食べれたらすごい幸せだろうな」
その言い方に思わずときめく唯香。
唯香(これが結婚生活……なのかな)
○蓬莱家・リビング(夜)
食卓に焼き上がったギョーザが並ぶ。
「いただきます」で一緒にギョーザを食べる唯香と彼方。
彼方「唯香が買ってきてくれたしょうゆのおかげで普段の百倍おいしい」
唯香、思わず笑って、
唯香「大袈裟だなぁ」
それを愛おしそうに見ている彼方。
×××
食後、ソファの座ってテレビで映画をみている二人。
隣同士に並び、手は恋人繋ぎにして、密着している。
唯香(ぜんぜん話が頭に入ってこない……)
唯香はつないだ手に視線を落とし、
唯香(こ、ここまでする必要ある……?)
唯香の回想。こうなるまでの彼方の言葉。
彼方『俺は、結婚したらこうやってずっと触れ合っていられたら幸せだなって思って』
唯香(これも彼方の新作のインスピレーションのために必要……なのかな)
悩みつつ、再びテレビに視線を戻した唯香。
すると、
彼方「あー、好き」
ボソッと彼方の方から声がする。テレビの声にかき消されそうなほどかすかな声。
驚きつつ、そちらは向けない唯香。
彼方「ずっとこのままでいられたらいいのに……」
唯香「……っ」
唯香、つい手がピクっと反応してしまう。
気付いていることを隠しきれなくなり、
唯香「あ……セリフ、リアルだね……?」
ハッとした様子の彼方は、
彼方「ごめん……口に出てた……」
唯香「ううん! 邪魔してごめん……!」
唯香、彼方の方を向き、
唯香「小説、どう? 進められそう……?」
彼方「ん……なんとか」
唯香「そっか……役に立ててるなら良かった」
彼方、ぎゅっと唯香の手を掴んで真剣な様子で、
彼方「うん、すごく」
その真剣な表情に見惚れる唯香。
唯香N『これが本当の愛の告白だったならどれほど良かっただろう』
切ない気持ちが湧きおこる。
見つめ合う二人、そのままキスしそうなほど顔が近づくが――
テレビの音声「キャアアアアアアア!!」
テレビから響いた悲鳴に思わずびっくりして、二人で顔を見合わせて笑ってしまう。
唯香「びっくりしたぁ」
彼方「すごい声だったな……」
○蓬莱家・ベッドルーム(夜)
ベッドに入った唯香。彼方と同じベッドで、後ろから抱き締められるような体勢。
時計は午前12時ごろを指している。
唯香は緊張の極み。
唯香(『やっぱり夫婦って一緒のベッドで寝るものじゃない?』って言うからやってみたけど……)
唯香、間近に彼方の息遣いを感じ身じろぎ。
唯香(こ、これは眠れそうにないかも~~……!)
×××
数分後。
時計が午前12時から少し進んでいる。
すーすーと寝息を立てている唯香。
彼方、頭を抱え、
彼方(……寝れる気がしない……)
はーと一つ息を吐いた彼方、眠る唯香に声をかける。
彼方「……早くこっち見て、唯香……俺を見て」
○櫻見高校2年3組
放課後、がやがやした教室。
しずく「んじゃ部活行くね~」
教室を出て行くしずくに手を振る唯香。
唯香(彼方、さっきどこか行っちゃったけど仕事の電話かな?)
唯香の回想。
携帯の着信を受けながら教室から出て行く彼方の姿。
唯香、鞄に荷物を詰めて帰り支度をしながら、
唯香(今日は買い物とか大丈夫かな。一応待ってた方がいい……?)
そんな時、教室の入り口に人影が。
そちらを見る唯香。
唯香「?」
○櫻見高校・裏庭
一方の彼方。
人気のない裏庭で電話中。
裏庭はまばらに雑草が生えるのみで、何もない。
彼方「渡来さん? 直接電話ってどうしたんですか」
ちらっと周囲を気にする彼方。
彼方「オーディションの件なら局の方と進めてもらったら大丈夫ですから。……え? いや遙コナタの意見とか別にいいんですよ。俺は原作とドラマは別物って考える派なんで……」
靴で雑草を掘り起こしながら、担当編集の渡来と会話を続けるコナタ。
彼方「はい、まあもしどうしてもって人が見つかったら連絡しますよ。それじゃ」
電話を切ってため息を吐く彼方。
それを影から見ている人影が。
○櫻見高校2年3組
教室に残る唯香の前に姿を現したのは、冬木涼太郎。
その出現に戸惑う唯香に対し、冬木は高圧的に見える態度で、
冬木「浅葱唯香、俺と付き合え」
唯香「!?」