「う、うわー!」
「な、なんだ!? ……み、水魔術!?」

 アンジャベルさんも取り巻きたちも大慌てだ。

「フェリシア……」

 カイが呆然と私を見ている。
 夕日にきらきらと飛沫が輝いて、私たちのあいだにまばゆい虹が浮かんでる。
 私は手を振った。

「助けたよ! カイ!」

 その瞬間。
 ぐらり、と体が揺れるーー私は思わず窓から滑った!

「フェリシア!」
「奨学金女ッ……!」

 カイが叫ぶ! ビシャビシャのアンジャベルさんも叫ぶ!
 他の男子は手で顔を覆う!!
 カイが鋭く言った!

「手のひらを下に向けなさい!」

 私はカイの言葉に従うと、水圧を使って比較的ゆっくりと落ちていくことができた。

「フェリシア!!」

 落ちてきた私を、カイがお姫様抱っこで受け止めてくれる。尻餅をついたカイと、ごろごろと転がる。
 水と泥で二人ともぐしゃぐしゃだ。

「カイ、大丈夫? 怪我は……」
「馬鹿!」

 カイは怒った顔でフェリシアを見た。

「フェリシア。あなた水魔法を人にむけて放つのは良くないわ。場合によっては罪に問われ、資格を奪われてもおかしくないのよ。今回はただの飛沫で済んだけれど……」
「あ……」

 咄嗟のことで、私はいけないことをしてしまったのだと気づいた。

「ごめんなさい、私……」
「……お願い。私はあなたの才能も人柄も認めているの」