「店長。正当防衛といえど、私もこうして相手を転がしてしまいましたわ。対話で獅子を手懐けることをよしとする婦女の行動の風上にも置けませんわ。今回の件は全て、見なかったことにしていただける?」
「大丈夫だよ。それにほら、俺ただのカフェテリアの店長だし」

 カイはアンジャベルさんとその取り巻きに向き直り、綺麗な辞儀をした。

「それではごきげんよう。次の試験では、また良い勝負を繰り広げましょうね」
「な…………」

 カイは確かめると、私を見て言った。

「さ、行きましょうフェリシア。次の移動教室は遠いわよ」

 カイについていきながら、私はちらりと振り返った。
 アンジャベルさんが憎々しい顔をして、私たちを睨んでいたからだ。