【更新不定期】意味がわかると怖くない話

「小林先輩、今日も残業ですか?」

「ううん。今日は定時で上がろうかな」

「そうですか!……その、もし良かったら……っ、ご飯、一緒に行きませんかっ!?」

よっぽど緊張していたのか、少し噛みながらも、そう言って誘ってくれる。

「ふふっ、うん、いいよ。行こうか」

「……っ、ありがとうございます!」

頑張って仕事終わらせます!と言ってまだデスクに向かう後輩を見て、また少し笑みがこぼれる。

あれから約一年。

あれだけ悩まされていた隣人の意味深な会話は、ある日突然ピタリと無くなった。

計画が成功したのか、諦めたのか、違う計画にしたのか、私には分からないけど、これまで聞いてきたことは、私が仕事のしすぎで疲れて聞こえた幻聴だと思うようにしている。