財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「お父さんは何をしているんだ?」

「父は財閥のエレクトロニクス部門にいたんですけど、今は小さな研究所を持っています」

「そうだったのか……知らなかった」

「実は専務の秘書になったのは、専務が父と知り合いでその縁もありました。随分昔に専務のお嬢さんと一緒に遊んだことがあったんです。財閥内で昔運動会がありましたよね。父について遊びに行ったら、二つ上の小学校三年生に専務のお嬢さんがいて、その日一緒にいたんです」

「へえ。専務のお嬢さんって確か……」

「一年前に、財閥の保険会社の役員の方とご結婚されました」

「香月は……いくつになる?」

「私は……もう二十八です。アラサーなんです」