俺は辰巳が父の命令でその事実をずっと黙っていたということを聞き出した瞬間、初めて自分の中でどこかがブチリとキレた音がした。 もうだめだ。専務の罷免も、はらわたが煮えくり返るほど頭にきた。 だが、香月のことだけは許せない。 その瞬間、俺はいったん日本へ戻ると決心した。 その後一週間。ものすごいスピードで仕事をこなす自分に驚いた。 人は本気になると思いもしない能力が開花する。 翌週には日本へ戻った。 もちろん彼女を捕獲するためだった。