「ふざけんな、崇。お前には会わせてやらないからな。この先ずっとだ!」
冗談で言ったのに、目を剥いて怒った。これは本気だな。
玖生は女性が苦手というより、結婚を避けたいとずっと言っていた。
ご両親のことが背景にあるようだが、その玖生が結婚を前提に付き合いたい女性が現れたんだから喜ぶべきだろう。
「まあ、良かったよ。結婚から逃げまくっていてたお前がその気になった。お前の爺さまもあの年なのに継承できない。大変だろうなと思っていたが、神様はお前を見捨てなかったんだな」
「そういうお前はどうなんだよ?例の気になっていた秘書はどうした?」
鷹也が楽しそうに聞く。
ああ、面倒くさい。
酔っ払って一度だけ香月のはなしをしてしまってから、何度も聞かれる。



