正直、支社への異動なんて全く期待していなかった。

 ところがだ。

 その翌日、辰巳さんが私に異動を伝えに現れた。

 俺の首をかけて頼んだんだから当たり前だろと偉そうに言った。なにそれ?

 そう、私の異動はあっけなく決まった。

 総帥は新藤さんからあげられた辰巳さんのその案をのんだらしい。

 翌月から私は実家にほど近い神奈川支社へ飛ばされたのである。

 左遷という名の、まるで都落ちだった。