財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「そんなのわからん。この証拠保全がうまくいけば、総帥にお前を戻すように嘆願するからさ」

「結構です。あんな、黒沢さんや伸吾がのさばるところに戻る気はさらさらありません」

「そう言うなよ。俺だっているんだぞ。その間に俺もなんとかしておくからさ。一時的避難措置だと思ってくれ」

「まだ決まりじゃないんですよね?却下されるかもしれないですよ」

「いや、それだけは俺の首をかけてでもやり抜く。お前を辞めさせたら総帥よりもっと怖い人に俺が殺されかねない」

「……何を言ってるんでしょうか?そんな人がいるなら、とっくに私を助けてるんじゃありませんか?」

「その人は現状を知らない。というか、みんなで黙っているからな……あっちで仕事をしっかりしてもらわないとまずい」

 小さい声で言ってるし……聞こえてますけど……どうせ崇さんの事だろう。彼に専務のことを黙っている?でも彼は知ってるはずだ。それが答え。つまり、会社なんてこんなものだ。