財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「どうしてそんなに曖昧な指示なんです?目を通して送ってこい?」

「とりあえず、わからなかったらファイリングするなり、まとめておくだけでいい。証拠保全のためにお前を行かせるんだよ。内密だし、頼める奴は限られる。お前が最適なんだよ。頼む」

 あ、また手を合わせてる。私は拝めば何でもすると思っているな?

「日傘専務からもお前のことは頼まれているし、何が何でも辞めるのだけは阻止するからな。日傘さんに夕べ相談したら異動はいいって言われたんだ」

「どうして日傘さんに話しちゃうんですか!」

「それはだから……これでも一応お前のことを頼まれてたんだって言っただろ、いや、崇さんが戻る前に支社からお前を戻したいけど、辞められるよりはマシだ」

「何言ってんですか。支社に異動したら、二度と本部へ戻れるわけないですよ。大体、上は私をやめさせるつもりだったんです。異動っていうことは先輩のお願いとは関係なくあちらにずっと行くってことですよ」