「支社の佐々木部長が横領をしているらしいという密告があったんだ」
「密告?何ですそれ?」
「総帥宛に封書が送られてきたんだよ。匿名でな」
何それ……絶対いやだ、関わりたくない。耳を覆った。
「いやですってば!」
「大丈夫だよ……お前ができないようなことを俺が頼むわけないだろ?」
よく言う。どの口がそんなことを言う?じろりと見た。
「支社長の秘書というか、庶務をして、佐々木部長から上がってくる書類に少し目を通して欲しいんだ」
彼はプリントを一枚出してきて、私の前においた。
「この関係書類に目を通して、おかしなやつを送ってこい」



