二ヶ月もすると、出世欲や支配欲が強い伸吾は、いちいち私に仕事上のことで指図することがあった。
彼の優しさの理由がわからなくなったころ、ベッドでも優しさを見せなくなった彼に私は距離を置いた。
まだ付き合い初めて三ヶ月くらいだった。
思えばすでにその頃からおかしかったのだ。秘書課の同僚ということもあり、お互い周りの目を気にしてずるずるとここまできた。
とうとう私は、総会後も別な役員の秘書を頼まれることもなく宙ぶらりんのまま、一気に同じ秘書課所属の彼氏にもフラれ、プライベートも失った。
この会社にいる意味を失ったような気がした。
そしてもう頑張らなくていいよと自分に囁くもう一人の自分がそこにいた。
決心した。決めたら早かった。



