財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「結婚前にはもっと大きいキラキラしたやつを俺が選んでやる。これは菜々の希望であんまり大きくはないけれど、少なくとも虫除けにはなるだろう」

「……崇さん」

「もちろん、俺の虫除けにもなる。菜々とはハリセンボンを飲む指切りげんまんをしたと言うからな。それに俺の彼女はけっこう嫉妬深い。初めて知ったぞ」

 彼は私を抱きしめた。私はお願いがありますと彼に言った。

「崇さん。今日こそ、あのレストランに行きたいの!」

 私達は、二人で食事に行ったり、飲みに行ったりが大好き。最初にそれがきっかけで距離が縮まったので、今でもふたりでふらりと飲みに行く。

 ところが、最近ずっと忙しくて、狙っていたお店も行く暇がないのだ。お休みもこうやって煩悩にさいなまれ終わっていく。今日こそは行きたいと思っていたのだ。