財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「……菜々」

「でも、崇さんや……榊原にとって不利益になるようなことを父の研究所で決断するようなら、私も黙ってはいません」

 崇さんは私を膝にのせると呟いた。

「わかってはいるんだ。全部は無理だ。業務部からも限度額の相談話はきている」

 私は崇さんに言った。
 
「鷹也さんがこの間言ってましたよ。崇さんは気になるものや自分のものを人に譲るのが大嫌いだと……でも全部は無理です。例えばあなたの興味を引く女性がこれからも出てくるでしょう。その人達を全部人に取られたくないから囲うんですか?」

 崇さんは笑い出した。そして、私の手を握った。

「そうだな。例えが悪いが言いたいことはわかる。一族経営を少し変えたいのは、風通しを良くするためだ。俺のブレーンを若い人間にもっと増やして、直言できるようにしないとダメだな」