財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「はい……わかっています」

「君を呼んだ本題は別にある。今回の黒沢さんと斉藤君のことだがね……」

「総帥。私の不注意でご迷惑おかけして申し訳ございませんでした。清家の助けもあり何とか解決しましたが、そうじゃなかったら本当に……」

 私は立ち上がって頭を下げた。

「座りなさい。そのことだが君もショックだったろう。交際相手だった斉藤君と黒沢さんのことは、調査していたので大分前からわかっていた。新藤から辰巳に伝えておけばよかったかもしれない。悪かったな」

 手を握って下を向いた私に、辰巳さんが横に来て背中を優しく叩いてくれた。

「いえ。私こそ気づかなかったのは自分でも情けないです」