財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


 すると、後からグイッと腕を引っ張られて、身体が倒れた。いつもの香りに包まれる。

「鷹也。お前、まさか香月を口説いてるんじゃないだろうな」

「あれれー。もう戻ってきたの?せっかく鬼の居ぬ間に、楽しく美人とお話ししていたのに……お前の弱みを握ったのが玖生ひとりなんてずるい。俺も早速お前の切り札を……」

「お前の大好きな美人は、ほら、お前のうしろに列をなしている。そちらと楽しく過ごせ」

「へええ、本気なんだ。お前のそんな顔久しぶりに見た。いやあ、香月さん。こいつはね、昔から好きなものは食い物でも、おもちゃでも絶対友人に譲らない、嫌な奴なんだよ。執着がすごいんだ。君も気をつけてね」

「ったく、俺の友人達はどうして余計なことばかり話すんだ。香月を連れてこなければよかったかもしれない……」

「中田さん。これからもどうぞよろしくお願いいたします」

「うん、またね。崇、たまにはホテルの本館へ顔を見せろよ。うちの両親、お前のこと大好きだからな。会いたがってるぞ」