財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


 彼が近いうち榊原財閥総帥になることは周知の事実。玖生さんだけでなく、崇さんの周りは彼に挨拶をしておきたい人達が列をなしている。すると年配で非常に貫禄のある人が彼に話しかけてきた。

「ちょっと……榊原君、いいかね」

「白石大臣。お久しぶりです」

 大臣秘書が目配せをした。崇さんは頷いた。

「香月、ちょっと大臣と二人で話すことがあるので食事でもつまんでいてくれ」

「……はい」

 彼らは大臣の秘書に促されて、隅の椅子に座って話し出した。何か重要なはなしなんだろう。

「こんにちは」

 料理を取っていた私の横に立つ赤いビロードの線が入った黒いスーツを着た男性がいた。ざわざわと女性の声がするので振り向くと、なんと彼の後には女性達が並んでいる。それを無視して私に話しかけてきたのだ。どういうこと?一体どなただろう。