財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


 すると、横にいたおひな様が小さな口を開いた。

「玖生さん。香月さんが困っているじゃないですか。すみません、香月さん。なんだかよくわかりませんが、気になさらなくていいんだと思います。お二人はとても親しいんですよ。内緒らしいですけどね」

「その通り。内緒ですけどね。崇、今後とも頼むよ。今日は楽しんで行ってくれ。あ、言われたとおり、部屋は一番いいところにしたぞ。(せいぜい頑張れよ……)」

 玖生さんは、最後のひと言をこちらに聞こえない小さい声で彼に囁いた。

「……!」

 崇さんがなんだか焦っている。つい笑ってしまった。玖生さんがそんな私を見て言った。

「香月さんの笑顔はすごいな。崇が惚れるのもわかる。ほんとうに美しい……」

 すると、横にたたずむ綺麗なおひな様が玖生さんに小さい声で言った。

「玖生さん。言っておきますけど、私達はまだ結婚していませんからね。考え直すなら今ですよ」