「初めまして。榊原財閥で崇さんの秘書をさせて頂いております、香月菜々と申します。このたびはご婚約おめでとうございます。お招き頂きありがとうございました」
「初めまして、香月さん。君が崇の狙っていた秘書さんだね」
私は玖生さんに深く頭を下げた。
「先日は招待状の件で大変なご迷惑をおかけしました。助けて頂き本当にありがとうございました。全て私の責任です。崇さんには何の落ち度もありません。申し訳ございませんでした」
玖生さんは驚いたように私を見て、笑顔で答えた。
「とんでもない。お役に立てて何よりでした。実はこういうことはよくあることなんです。事件を未然に防ぐためやっていますからね。それに、崇の大切なあなたを私が守ったんですから、崇は私に貸しがひとつ出来たわけです。こちらこそお礼が言いたいくらいだ」
びっくりした。まるで貴公子然としていた人が崇さんを見て意地悪な微笑みを浮かべている。



