財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


 受付の男性が深々と頭を下げる。私の方をチラッと見て、にっこりと微笑んでくれた。

 船内に足を踏み入れて息をのんだ。天井を見つめてしまう。キラキラと輝く照明。シャンデリアが大理石に映えてまぶしい。そこは、船内とは思えないほどの広い空間だった。

 パーティー会場の中央に大きな花がふんだんに飾られている。花のモニュメントだ。その横にいる漆黒のタキシードを着た男性と紅色の素晴らしい振り袖姿の女性がお客様にご挨拶をされている。

 崇さんは私を連れてまっすぐにそこへ進んでいく。すでに多くの人が列をなして並んでいる。主催者である清家御曹司とその婚約者様だ。しばらく並んで、ようやく順番が来た。

「玖生、先日は色々ありがとう。助かったよ。そして、婚約おめでとう。そちらが噂の婚約者殿だな。お目にかかれるのを楽しみにしてきた」

 清家財閥の御曹司は目尻がすずしげで和風男子の見本のような人だ。若いのにとても落ち着いた貫禄がある。そして、お隣の女性はまるでおひな様から抜け出てきたようだった。あまりのことに目を奪われた。