財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「それに……父の会社のことをなぜご存じだったんですか?父は誰にも言っていないと思います」

「お父さんのことは、あのとき君から初めて聞いて知った。その後、少し調べさせてもらった。秘書とするにあたって、父がそういうのに厳しくてね。だから研究費の借り入れ先やその他付き合いのある銀行、取引先などそういったことも調べて知っていた」

「……」

「黒沢の父親の銀行がメインのひとつだったので、実は心配していた。まさか頭取が公私混同するとは思っていなかった。わかりやすくほぼ全ての融資から手を引いたとすぐに連絡がきた。驚いたよ。お父さんの研究所が心配でそれも調べさせたが、さすが君のお父さんだ。びくともしない。僕は何もしないですんだ」

 そうだったのね。御曹司の秘書になるんだもの、家族の仕事や借金の有無、親戚なども少し調べられたに違いない。元々、私はただの社員だった。最初から秘書課に入ったわけでもない。

「父は榊原から出たときに、不測の事態に備えていたそうです。こういうことも考えて、グループ以外の銀行とも取引していたみたいです」