「気持ちはわかるが、黒沢はお前を見ると逆上するに違いない。俺達だけのほうがまだましだろう」
「そんな!」
私が興奮しているのを見て、彼は私をそっと抱きしめた。背中をポンポンと叩く。そして私の目を上からじっと見て小さな声で言った。
「お前を守りたい。任せておけ」
そう言うと、私の手を取ってついたての横に椅子を置いて座らせた。いつもはそこへ防犯システムのカメラとパソコンを隠しておいてあるのだ。
すぐに、部屋をノックする音が聞こえた。辰巳さんの声がする。
「連れてきました」
「ああ、入れ」
「失礼します」



